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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2021年 10月
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消えた人2

 前回、「消えた人」として、ネットでの知り合いといきなり切れて消えてしまった人になるかも知れない、そう思った話を書きました。

 今回はそうして私の前から消えてしまった人、今でもふと、思い出す人について書きたいと思います。


 その人は仮に「Cさん」としておきます。私と仲間が知っている、その人が使っていたキャラの名前の頭文字です。


 知り合ったのは、私が2つ目に遊んだあるオンラインゲームです。

 私は前に遊んでいたゲームが終了してしまった時に、またその仲間に誘われて、2つ目のゲームがまだベータ版だった頃から参加しました。

 前のゲームはソフトをパッケージで買い、それに毎月課金して遊ぶタイプだったのですが、今度のはいわゆる「アイテム課金」です。無料で遊んで、必要なものがあったらお金を払って遊ぶタイプ。そういうのは初めてだったので、軽い気持ちで参加しました。


 私はゲーム下手、どんくさくてへっぽこプレイヤーの典型ですが、それでも仲間たちと一緒に狩りをしたり、ダンジョンへ潜ったりするのは楽しく、そうやって遊んでるうちに、仲良くなった人の一人がこのCさんでした。


 Cさんは、キャラを見たら結構おとぼけで、はっきり言うとあんまりゲームとか上手そうには思えないタイプの人でした。人当たりもよく、すぐに私の仲間たちとも打ち解けて、私も仲良くしてもらうようになりました。


 ところが、見た目の親しみやすさからは想像できないぐらいゲームが上手い! ランキング上位に入っていて、本人をよく知らない人からは「廃プレーヤー」とか悪口を書かれているのを見たこともあります。ですが、本人はいたって真面目に遊んでいるだけで、そんな陰口を言われるような人ではないのは、仲良くしていた私たちがよく知っています。


 その人が、どのぐらい経った頃だったか、


「このゲームを引退しようと思う」


 そう言いだして、びっくりしました。


 だって、まだまだ面白くなっている途中、やめる理由がなかったからです。飽きるというほどでもなかったし。

 そして、言った通り、その後、本当に引退してしまって、それ以来連絡が取れなくなりました。


 あの人がどこのどういう人か、仲間も誰も知りません。そのぐらい自分のことを秘密にしていた人だったもので。


 なにか理由があってやめなくてはならなかったのではなく、単に飽きたとかで、今も何かのゲームを楽しんでやってくれていたらいいんですが。

 今も仲間うちで「Cさんどうしてるかな」と、話が出ることもあります。


 どうぞ元気でいてください。

 またどこかでばったりと会えたら、私のことを「ふじこー!」(Cさんがつけた私のキャラの呼び名)って呼んでくれたらいいなと思います。

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