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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2021年  9月
30/1001

二人称の小説

 さて、「三人称の小説」「一人称の小説」と続いて書いてきたら、ふと、気になってきたのが、


 「二人称の小説」


 です。


 そもそもあるのか?

 そう思って調べたんですが、ありますね、あるんです、ええ。


 ただ、「完全に二人称か」と言われると、ちょっとどうかなって感じのようです。


 それで私なりに勝手に考えてみました。


 たとえばこんな文章があったとします。




「俺が愛してるのはおまえだけだよ」


 太郎は花子にそう言った。


「ええ、信じているわ」


 花子はそう答えたが、太郎には自分以外に10人の恋人がいるのを知っている。




 これは「三人称」です。

 「花子」でも「太郎」でもない第三者が見たことを語っている形。


 では「一人称」にしてみます。




「俺が愛してるのはおまえだけだよ」

 

 太郎は私にそう言ったわ。


「ええ、信じているわ」


 私はそう答えたけど、でも知っているの、太郎には私以外に10人の恋人がいることを。




 こんな感じですか?


 「花子」が主体で「太郎」について語っています。

 「三人称」よりも感情が混じっている印象です。


 で、いよいよ「二人称」っぽくしてみます。




「俺が愛してるのはおまえだけだよ」


 あなたは私にそう言った。


「ええ、信じているわ」


 私がそう答えたのをあなたは信じているのかしら? あなたに私以外に10人の恋人がいることを知っている私の答えを。


 

 「私」が「あなた」の気持ちになって、「あなた」の代弁をしてる形になりますか。

 これが正しいかどうか分かりませんが、あくまで私のイメージでアレンジしてみました。


 かなーり、「あなた」に感情移入して、主体に持っていかないと難しいですね。

 それに、完全に「あなた」のセリフや動きだけで構成するのはやっぱり無理かも。


 それと、この場合の「あなた」を簡単に「あなたという名の三人称」に変換できます。

 上に書いた「一人称」の文の「三人称の太郎」の部分を「二人称のあなた」に入れ替えても何も違和感がありません。だって「太郎」=「あなた」ですし。




「俺が愛してるのはおまえだけだよ」

 

 あなたは私にそう言ったわ。


「ええ、信じているわ」


 私はそう答えたけど、でも知っているの、あなたには私以外に10人の恋人がいることを。




 ほら、なーんにも違和感がない。


 なので、苦労して「二人称」にするよりも、「一人称」にしてしまう方が書きやすいし、読む方も楽だろうと思います。


 ということで良い「二人称の小説」というものもあるらしいのですが、少なくとも私は意識してそれを読んだことはありません。


 いや、色々と面白かったです。

 他に「人称が混在している小説」というのもありますが、そこまで突き詰めると本当にキリがなくなるので、ここまでで!

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