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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2021年  9月
29/1001

一人称の小説

 前回、「最近三人称の小説が読めない人が増えているらしい」と書きました。

 それで今回は「一人称の小説」の話です。

  

「三人称の小説を読めない人がどうして一人称の小説なら読めるんだろう?」


 ふと、そう思って、ちょっと考えてみることにしました。




 言われてみれば確かに「一人称の小説」は多い気がします。




「私は○○をどうしました」




「俺はいきなりのことに○○させられた」




 こういう書き方、その行動をしている本人が解説しているのが「一人称の小説」ですね。

 ざっと見てみても、割と多いと思います。全部とか大部分とかの印象はないですが。


 もしかしたら、感情移入しやすいんですかね? 

 自分が主人公の気持ちになりきって読めるとか、世界に没入できるとか、そういう感じなのかな?


 それと、色々と読んでいて思ったんですが、口調が砕けてるのが多かった気もします。




「○○したい!」


 と、主人公は言った。




 「三人称」だとそう書くところを、




「俺は○○したい!」




 「一人称」だと一言でそう言い切ってしまう。そうすると、なんとなく自分がそうしたいと思っているような、そんな感じになるようにも思います。

 


 それから、コスプレ的要素もあるのかな、とも思いました。

 コスプレというか、キャラになりきり? なんにしてもそんな感じかな、と。


 今、結構多いのが「悪役令嬢」とか「転生」「婚約破棄」「ざまあ」に、他なんだろう? そうそう「追放された」とかもありますね。


 それで、たとえば「悪役令嬢」だったら、




「おーほほほほ、あたくしは○○伯爵令嬢よ! ひざまずいて足をおなめ!」


 あたしは✕✕にそう言ってやったの、すごく気持ちがよかったわ!




 みたいな部分、これを「三人称」で書いていくと、ちょっと印象が変わります。




「おーほほほほ、あたくしは○○伯爵令嬢よ! ひざまずいて足をおなめ!」


 ○○伯爵令嬢は✕✕にそう言い放った。とても気持ちがよさそうな顔をしていた。




 そう書くと、「ああそうなんだ」となってしまうのかも知れない。




 「三人称の小説」が「行間を読む」楽しさなのだとしたら、「一人称の小説」は「なりきる」とか「動画的」なのかな?


 でも、今の若い人が特にそれを好むから、というのだけが理由ではないと思います。


 たとえば、夏目漱石の「吾輩は猫である」だって猫の視点から、猫という主人公が「一人称」で話す形で書かれていますしね。時代関係なく、単にその作品のスタイル、と私は(とら)えていました。


 いや、面白いな。

 今回のことで「○人称」のこと、ちょっと考えてみようかなと思うきっかけになりました。

 また思いついたことがあったら書いてみるかも知れませんが、今のところはこういう結論ということで。

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