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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年  6月
246/1001

一番古い記憶

 今回もまた「紙兎ロペ」からの話題で恐縮です。

 しかし、いっつもいいとこついてくるんですよね、それでネタに使わせてもらうことしばしばです。


 今回のロペのタイトルは、


「一番古い記憶」


 でした。


 そしていつものようにアキラ先輩の記憶はそれらしい、ちょっと笑える記憶で、ロペのは普通の記憶。それはずるいとアキラ先輩が他のがもっと古かったと言い出して、書き換えたでしょとバレて笑う、というオチです。


 私にも一番古い記憶があります。

 それは、私と妹の名付け親でもある大伯父の記憶です。


 うちの祖父母は父方の祖父以外の3名が、まだ両親が若いうちに亡くなりました。それで当然会ったことがありません。その母の親代わりだったのが、母方の一族の長である大伯母だったんですが、その夫にあたる人の記憶が、私の一番古い記憶です。


 大伯母は料亭を経営していたんですが、その料亭を母の二番目の姉が手伝っていて、そのすぐ近くに母の一番上の伯母が住んでいたので、小さい頃は週末というとそこに行っていたようです。父が当時勤めていた会社も近くにありましたし、私のもう一つの故郷のような町です。


 その大伯父はかなり気難しい方で、他の母のいとこ達などは恐れていたらしいのですが、うちの両親とはいい関係だったらしく、私が生まれた時に名付け親を頼んだら、姓名判断をいっぱいして候補を出してきてくれて、その中から決めたそうです。

 それでなのか、私もその方をおじいちゃんと思ってなついていて、そうするとまた大伯父もかわいがってくれる、そういう関係だったようです。毎週、私が来るからと、あるお菓子を準備して待っていてくれたと聞きます。


 実際にかわいがってもらった思い出ではなく、「聞きます」と書くのは、その方は私が2歳になる前に亡くなってしまったからです。妹の名付け親にもなってくださったのですが、妹が生まれた2ヶ月後に病気で亡くなりました。


 その「おじいちゃん」がまだ家、その料亭のある家にいた頃なので、確実に1歳の後半、寒い頃だったので妹が生まれた頃かその前の1月か2月だと思います。もしかしたら3月に入っていた可能性もありますが、その頃にはもう病院だった可能性が高いので、2月頃とすると、私が1歳8ヶ月の頃になります。


 その料亭の正面から入ると広い玄関があり、まっすぐ前は厨房とかのあるエリアに続く廊下、左に客室につながる来客用の一段高くなった場所。右に細い廊下があり、少し高くなったそこを上がって向かって左は中庭、右側に下がガラスの障子になった部屋がありました。

 とんとんと段を上がり、その障子をからりと開けると向かった壁に仏壇があり、部屋の真ん中にはこたつがありました。その仏壇を背に、廊下側に向かってその「おじいちゃん」が座ってこっちを見ているのが、私の一番古い記憶です。


 その話をすると「よくそんな古いこと覚えてる」と言われたものですが、おそらくその大伯父にかわいがってもらった記憶、その「おじいちゃん」が大好きだった記憶が残っているのだと思います。もしかしたら、逆にそのすぐ後からそこに行っても「おじいちゃん」がいなくなってしまったショックから、かもと今、ふと思いましたが、どっちにしてもやはりそれがおそらく一番古い記憶です。


 皆さんの一番古い記憶はなんですか?

 中には胎内記憶、なんてのを持ってる方もいらっしゃるかも知れませんね。

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