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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2021年  8月
22/1001

けろけろ

 今回も前々回の「みんみん」を書いていた時に、ふと、思い出したことです。


 ある時、確か6月だったと思うのですが、何しろ少しばかり前のことで、もしかしたら秋だった可能性もあります。でも気持ち的には梅雨の時期、そんな雨の夕刻だったことは間違いない。


 その日、ある場所から車で家に戻る途中、お天気が悪かったこともあり、まだ夕方ちょっと過ぎぐらいだったのですが、空は暗く、大雨というほどではないですが、結構な雨が降ってました。


 そこから帰るにはいくつか道があります。一番大きな県道はその時刻にはかなり混むので、裏道を通って帰ろうと思いました。

 この「裏道1」は、田んぼや畑の真ん中をくねくねと曲がって走っている道です。あまりいい道ではないので通行する車は少ないのですが、裏道を知ってる人は結構通ってます。街灯も少ないのですが、車のヘッドライトで照らせばあまり問題はないし、対向車がない時にはハイビームでそこそこ先まで照らせばなんの問題もなく走れます。


 そこに通りがかった時、くねくね道の向こうの方からこっちに来る対向車は見えたのですが、まだ遠く、すれ違うまではいいかとハイビームにして走ってました、そしたら、


「ええっ、なにこれ!」


 ライトで遠く照らされた少し先の道を、私から見て右から左、北から南、山の方から海の方へ向かって小さなカエルの大群が道を渡ってる!

 思わず車を止めてしまいました。


 バックミラーには小さく後ろの車のライトが見える。

 2台すれ違えるぐらいの反対車線、前方からも小さくやってくる車のライトが見える。

 そしてカエルを避けようとして方向転換するほどの広さもない。


「ええ、ええ、これ、どうしたらいいの!」


 前方を、小さなカエルが本当に山ほど、数え切れないほどがぴょんぴょん道を渡ってどこかに移動してるんです。

 どう走っても踏まないなんて不可能だ……


 どうしようと思ったんですが、対向車は来る、後ろのヘッドライトもどんどん大きくなってくる。仕方なく再スタートしました。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 心の中でも口に出しても言いながら走ったんですが、絶対私が踏んだのって数十匹ってもんじゃなかったはず。だって、しばらくの間ずっと、カエルの大群のパレード状態だったんですから。


 おそらく、前の車も後ろの車も同じように思ってただろうと思いますが、本当にどうしようもなかったんです。カエルってああいう行動を普通にとるものなのかなあ。


 前々回、みんみんがひかれてたと書いていて、ふと、思い出しました。

 今は通ることのないその道、今も時々カエルの大群が通っているのか、ちょっと気になってます。

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