風と共に去りぬのちょっとした疑問
こういうタイトルにすると、なんか文学論とかそういう風に思われるかも知れませんが、最近の流行りの言い方ではっきり言っておきます。
「安心してください、違いますよ!」
前回の「ベゴニア」に関係してちょっと思い出したもので、今回はその話をしようと思います。
私が初めてこの作品を読んだのは、小学6年か中学1年の時なんですが、当時は今よりもっと素直で、そして知っていることも少なくて、ひっかかりながらもそのままに読んで、それでいながら心のどこかに残っていた小さな疑問についてです。
まず最初、主人公のスカーレットが最初の子ウェードを出産した後にあるこんなシーンです。
スカーレットは結婚した後もずっと実家で暮らし、子供を産んだ後もそれまでのお嬢様のままの生活をしていて、朝は朝食作りをしているいい匂いで目を覚まします。
その時に、
「ベーコンを揚げるいい匂い」
という一文があり、
「アメリカではベーコンを揚げる、つまりフライか天ぷらにして食べるのか!」
と、ちょっとびっくりしました。
これは正しくは、
「炒める」
だと思います。これなら日本でも普通にやるので分かります。
調理方法の英語で「揚げる」は「fry」なんですが、「炒める」も「fry」のようです。もっと正確にするなら「stir fry」で「stir」という「かき混ぜる」がくっついた単語らしいのですが、おそらく、翻訳をした人はどっちも一緒にして「揚げる」にしたんだと思われます。英語はできても料理はしなかったのかも?
ベーコンは脂っこいのに、それをさらに揚げるなんてしないよねと思ったんですが、その後で「バターフライ」という、これはそのままバターをフライにして食べる料理もあると知り、やっぱりアメリカ人恐るべしと思いました。
次は、最初の夫を亡くして未亡人になったスカーレットが、未婚の若い女性のように扱ってもらえなくなり、喪中でパーティーにも出られないことが夫が亡くなったことよりも悲しくて悔しくて、でもそれを正直に言うわけにもいかず、夫の妹のメラニーに慰められてイラッとして布団を蹴っ飛ばした時に口にした悪態です。
「神様の寝巻き!」
これはそのまま、
「なんやねんこれは」
と、思いました。
※があって「そういう悪口」と説明はあったんですが、全く意味不明でした。
その後、違う本で見た時には、単純に、
「こんちくしょう!」
となっていて、もしかしたらスカーレットがお嬢様らしくない、品の良くない悪口、スラングとかを言ったんだろうかと思いました。
その後さらに調べていたら、
「メラニーは神様の寝間着のようなもの」
と言っているという説明を読みました。
これは、
「神様も寝巻きを着ている時には眠っているからあなたのことなんか気にしていない」
という意味で、まとめて言うと、
「メラニーは女性としての魅力がないやつ」
みたいな感じになるらしいです。へえ~
こういうのは原文が読める人でないと分かりませんよね。
そして3つ目なんですが、これはスカーレットが思わぬことから2番目の夫を亡くした時の1シーンです。
夫の死の原因が自分にあると分かっているスカーレットは、そのことで天罰を受けるのではないかと恐ろしく、こっそりと酒を飲んで酔っ払っていますが、弔問客にその酒臭さを気づかせないために、
「オーデコロンでうがいをして」
ごまかします。
「え、そんなことして大丈夫なのか!」
びっくりしました。ちなみにこのシーンは映画にもしっかりとあります。
夫の葬儀の夜、自分がいない間にまたスカーレット再婚されては叶わないと、こちらも非常識にもレット・バトラーが求婚しに来た時、「オーデコロンの効果がない」と言われます。
これはスカーレットのオリジナルなのか、それとも一般的なやり方なのか。
気になったので調べてみても、やっぱりよく分からなかったんですが、現実には香水にはそういう効果はないように思われる記述はいくつかありました。
ただ、レット・バトラーがすぐに「酒の匂いをオーデコロンでごまかした」と見破ったところから、やる方はあったのかも知れませんね。
香水が口に入っても少量なら問題はないですが、大量に摂取するとエタノール中毒、急性アルコール中毒になるそうです。
うがいしてペッとしただけならそれほどの量は飲み込んでいないでしょうから、お酒が飲めるスカーレットにはあまり問題はないのかも知れませんが、それにしてもやっぱり体にいいはずはないです。やめた方がいいだろうと思います。
他にもなんだか小さいことでちょこちょこと、文化の違い、時代の違い、それから私が持っている本の訳の具合で疑問に思うことはあったんですが、今思い出せるのはこの3つぐらいですか。
何回も読んだ大好きな本でしたが、今は本棚の飾りです。
本当に本、読まなくなったなあ。
それでもこうして色々覚えているのは、やっぱり子供時代に読んだからなんでしょうね。
最近読んだ本でもすっかり忘れてることが多いというのに、本当に不思議です。




