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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年  6月
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食物アレルギー

 テレビで食物アレルギーの特集をやっていて、


「ある日突然なる」


 と言っているのを聞き、


「あ、分かる」


 と、思いました。


 私も食物アレルギーを持っています。子供の頃からの大変な偏食を克服し、なんでも食べられる人生を楽しんでいましたが、今はそれだけは食べられません。


「生の甲殻類」


 エビもカニも火を通せば食べられるのと、なぜか同じエビでも「甘エビ」「白エビ」のような身がふにゃっとしたタイプは大丈夫です。今のところは、ですが。


 気がついたのは高校の時です。その日、私はエビフライにするためのエビの処理をしていました。


 エビってそのまま調理すると丸まってしまうんですが、殻をむいて腹の方に斜めに切れ目を入れて、ぺきぺきと筋を切るとまっすぐきれいな形に料理できるんです。私はその処理がとっても好きでした。

 

 その日も同じようにペキペキやって、エビの姿勢矯正を楽しくやっていました。


 と、


「あれ、なんか手がかゆい」

 

 最初は気のせいかなと思って作業を続けていたんですが、


「あ、かゆい! かゆい! かゆいー!」


 と、こんな状態になってきました。


 もうちょっとだけだったので最後まで処理を続け、急いで手を洗ってかゆい部位に塗ってすっきりする薬を塗り、塗ってまた塗ってと、だんだんとかゆみは収まってきました。


「なんだったんだ……」


 手にそんなものを塗ってしまったので衣つけは母に任せ、その日はそのまま終わりました。


 それからどのぐらいの日数が経ったか分かりませんが、その日も同じことをしていて同じことになり、


「これ、エビのアレルギーじゃ」


 という話になったんですが、料理されたエビは全く大丈夫なので違うんじゃないか、となりました。


 ですが、それからエビの調理の度に同じことを繰り返すので、これはもうアレルギーであろうがなかろうが調理はできん。それからエビは母に任せることになりました。


 それからは生のエビとカニに触れるとかゆくなることが分かりましたが、相変わらず加熱したら食べられるので問題なく生活をしていました。


 さらに年月が経ち、ある時、親戚のお呼ばれでお寿司屋さんに行った時、きれいなキラキラした生のエビのお寿司がその中にあったんです。

 生のエビやカニって甘くておいしいので大好きでした。それでその時もパクっとその生のエビのお寿司を食べたんですが、その後からなんだか喉の奥がおかしい。ちょっと腫れてきたような気がする。


「あ、これヤバいかも」


 テレビとかで得たアレルギーの症状にそっくりです。心配はしたんですが、その時にはその程度で治まりホッとしました。ですが、もうこれで生の甲殻類を口にするのはやめよう、そう決めました。こういうのって、回数を重ねるとひどくなり、アナフィラキシーで命も落としかねない。


 というわけで、その時が私が生の甲殻類を口にした最後でした。


 それから、母が亡くなって他にやってくれる人がいないので、カニはほぼ調理しませんがエビを使う時には手袋をして気をつけてやるようになりました。それでも殻の尖ったところで破れてかゆくなることもありますが、それでなんとかなってます。さすがに使う回数は減ってますが。


 今日、番組で取り上げられていた方は元が花粉症で、今では18種類もの食べてはいけない食物があるのだそうです。


 なんとか生のエビカニだけで終わりますように!

 食べられない人生なんて!

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