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小椋夏己の千話一話物語  作者: 小椋夏己
2023年  5月
155/1001

カエルとパン

 有名うどん屋さんが開発した、新しいタイプのうどんから、


「カエルが発見された!」


 とのニュースがありました。


 CMとかでもよく見かけるので、私もどんなものかは知ってます。シェイクするんですよね、なんでうどんをシェイクするかはよく分かりませんが。


 ってことは、


「カエルもシェイクされてたのか……」


 つまり、うどんから野菜からみんなカエルと仲良くしてたってことですよね。

 ちょっと汗出そう……


 でも個人的には虫よりいいかなとも思いました。

 いや、カエルも嫌ですよ? ただ、私は爬虫類や両生類より虫の方が苦手なだけです。


 それでも、ちゃんと「食材として入ってます」と食用として入っていて、それを分かって食べるならいいですが、まさか食用として入ってない、どこをどう通ってきたか分からないカエルが入っていたら、アマガエルぐらいなら平気で触れるとしても、やっぱり嫌です。


 そう思いながら、先日見た漫才のことを、ふと、思い出してしまいました。


 「ザ・セカンド」というM1の逆をいくように芸歴16年以上の人だけが出られる漫才の大会です。たまたま途中から見たんですが、そこで「ギャロップ」がやっていたネタと、全く違うんですが、なんとなく共通点を見てしまったんです。


 漫才の内容をちょろっとだけ書きますので、


「これからザ・セカンドの録画見ようと思ってるんだからネタバレしないで!」


 という方は回れ右してください。


 さて、漫才の内容ですが、日本人にはフランス料理は合わない、みたいな漫才だったんです。


「今日は中華の口やな、今日はうどんの口やなってなっても、今日はフレンチの口やなってならんやろ」


 そんなところから始まって、


「どんなフランス料理食べても、パンが一番おいしかったってなるねん」


 と、あるかも知れないと笑ってしまう一言があったんです。


 その一言を活かすために、少年がフレンチのシェフに憧れて、苦労して苦労して苦労に苦労を重ねて、何十年もかかって結婚式の披露宴のコースを作れるようなシェフになって、見事な料理を作りあげて食べてもらった挙げ句が、


「パンが一番おいしかったって、パンは作ってないです、外注してます!」


 と、その苦労が台無しになるようなオチに吹き出してしまいました。

 

 その漫才のどこを同じように感じたかなんですが、その混入していたカエルのことを、うどん店の会社が、


「サラダは作ってません、外注してます」


 と言ったので、笑ってはいけないと思いながら、


「ギャロップのフレンチのシェフと一緒」


 と、吹き出してしまいました、ごめんなさい。


 漫才の方は肝心のフレンチではなく、自分が作っていない外注したパンだけがおいしかったように言われたという、なんだか脱力するような、数十年の苦労はなんだったんだ、みたいなオチですが、うどん屋さんの方は、


「うちサラダは外注してるから作ってないもんね」


 と、なんとなく無責任な言い方で、同じ、


「外注してます」


 の言葉を使っても、印象ってこんなに違うんだなと、なんだかブラックジョークを見てるように笑ってしまったんです。もう一度ごめんなさい。


 外注してるのは事実なんでしょうが、外注してても最後は自分のところの商品になるんですから、そういう言い方はしてはいけなかったのかも知れないなあ、と思いました。買った人はそのサラダ屋さんのサラダ買ってるわけじゃないですからね。


 シンプルに「ごめんなさい」って言ってただけの方がイメージはよかったかも知れなのになあ、と思いました。

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