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魔導騎士から始まる、現代のゴーレムマスター  作者: 呑兵衛和尚
第二章・ハイスクールで熱くなれ

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25/28

第二十四話・校内予選、開幕‼︎

『異世界帰りのゴーレムマスターが、子供たちに夢と希望を与えるゴーレムバトルを広め、世界を席巻する物語』は、毎週水曜日の更新です。

──ウォォォォ‼︎


 高校生魔導騎士(マーギア・ギア)コロシアム全国大会。

 それに参加すべく、全国では県大会が始まる時期が、やってきた。

 北海道代表は、南北海道と北北海道の二つのブロックから全国大会参加者が決定し、予選登録した選手は、大会中は変更することができない。

 そのために予備登録枠というのがあるのだが、銀河たち魔導騎士(マーギア・ギア)同好会には、予備枠を埋めるほどの会員は存在しない。

 

 校内予選で敗北したチームが予備として参加できるのなら問題ないのだが、公式ルールによりそれも不可能。

 銀河たちは、校内予選から全国大会決勝まで、この三名で駆け抜けなくてはならなかった。


 そして本日は、校内予選日。

 放課後であるにも関わらず、バトルリングが設置されている第二体育館は大勢の観客によって埋められ、熱気にあふれていた。



「……それじゃあ、当初の目的通り、俺が先鋒、秋穂波先輩が中堅。星野先輩は大将として登録します」

「わたくしと十六夜くんでワンツーを取れば問題ありませんわ」 

「よろしくおねがいします。私は、戦力外と思って頂いて、結構ですから」


 にっこりと微笑む星野だが、今日に至るまで、限界を超えた特訓を繰り返している。

 銀河と秋穂波には一度も勝つことはできなかったものの、時間切れ引き分けまで持ち込む腕は、十分に身についている。


「それでは、只今より『全国魔導騎士(マーギア・ギア)コロシアム・校内予選を開始します。なお、試合の審判は私、ツクダサーガ公式審判の五百万石が務めさせていただきます‼︎」


 公式審判の制服を身につけた五百万石が、マイク片手に挨拶する。


「それではっっっっ、第一回戦の魔導騎士操縦者(マーギア・ドライバー)はスタンバイ‼︎」


 審判の掛け声で、銀河が立ち上がる。

 かたや魔導騎士(マーギア・ギア)部の先鋒は、二年の『愛山きもと(あいやまきもと)

 実力的には愛山の方が上、機体設定では銀河の圧勝。

 この一戦、実に目が離せない。



◾️◾️◾️◾️BATTLE START ■◾️◾️◾️


──ゴゥゥゥゥゥゥ

 巨大な円形闘技場。

 全国高校生バトルコロシアム予選で使われるステージであり、全試合共通のノーハンデフィールド。

 銀河のブレイザーが屈伸運動をしながら、スタートラインに待機する。

 かたや愛山の『信濃』は四輪駆動型ケンタウロス。

 異形型と呼ばれるタイプであり、背中に巨大な砲門が装備されている。


 公式戦のスタートラインに両機が並ぶと、クリスマスツリーと呼ばれるスタートコールが点滅を開始。


──3…2…1…GO‼︎

 観客一体のカウントダウン。

 それが終わった直後、いきなり信濃が高速で走り込みつつ砲門をブレイザーに向ける‼︎


「走りながらの射撃なんて、そうそう当たるものじゃないってね‼︎」


 ブレイザーが左右に不規則なステップを踏みつつ、信濃との間合いを詰めていく。

 だが、信濃は急加速して後方にバック‼︎

 すかさず停止してブレイザーに向けて砲撃を開始する。


──ドッゴォォォォォォン

 魔導騎士(マーギア・ギア)プロリーグ・ドイツ代表が好んで使う『88mm砲(アハトアハト)』が火を吹く。

 それはブレイザーの近くに着弾すると、爆発して地面を吹き飛ばした。


「うおぃ、どこからアハトアハトなんて持ってきたんだよ‼︎」

「ドイツのメーカーから輸入したんだ‼︎ 大会公式準拠だから、問題はないだろうが‼︎」

「闘技場が吹き飛ぶ威力だぞ‼︎ 正気か!」


 ブレイザーの足に魔力を循環させて加速すると、そのまま信濃の右側端に回り込む。

 アハトアハトは胴体固定型であり、回頭角度は正面120度。

 その資格に回り込んだブレイザーが、力一杯の震脚を行い、鉄山靠を叩き込もうとした時。


「掛かったな‼︎」

──ガコン

 胴部右側面が開く。


「ウォア‼︎」

「くらぇぇぇぇ‼︎」


 開いた胴部に組み込まれた、対魔導騎士(マーギア・ギア)用地雷『クレイモア』。

 そこから射出される百発の弾丸が、ブレイザーの全身に突き刺さる‼︎


「ちっ、フォース‼︎」


──プゥン‼︎

 すでに突撃体制なので回避不可能。

 それならばと、胴部正面に魔力の膜を展開して、少しでもダメージを軽減しようとしたのだが。


──ドゴドゴドゴドゴドゴッ

 クレイモアはフォースを貫通し、ブレイザーのダメージゲージを加速させた。


「なん……だと?」

「君のブレイザーの動きは、十分に計算してある。そして、リミッターカットもね」

「さすがだわ先輩‼︎ クレイモアに魔力をコートしたのか‼︎」


 そう。

 愛山は信濃に搭載している『クレイモア』に、ファーストリミットの設定をした。

 本当ならばアハトアハトにするべきなのだが、ブレイザーが側面に回り込んでくるのを見越して、あえて火力の低いクレイモアにセットした。

 それでも、一撃必殺のアハトアハトほどでは無いが、クレイモアの面に対する攻撃は致命傷に近い。

 事実、ファーストリミットが発動できない機体なら、これで決着である。


「まあね。まさか受け止められるとは思っていなかったけどさ……」


 さらに後ろに切り返し、弱っているブレイザーに向かってアハトアハトを構える。


「動けないだろ? これで一勝だよ」


──ドッゴォォォォォォン

 力一杯の一撃。

 それはブレイザーに直撃するかと思われたが、ブレイザーが視界から消えた。


「何だって‼︎」

「先輩、頭上がお留守だぜ‼︎」


 直撃直前に、ブレイザーは斜め上前方にジャンプ‼︎

 そのまま信濃の頭上に飛び上がると、両手を組んで、力一杯信濃の頭をストライク‼︎


「オ、ル、テ、ガ、ハンマァァァァァ‼︎」


 両腕に魔力を込めた一撃必殺。

 信濃の視界には、ブレイザーの姿が見えない。

 それでも咄嗟に後退しようとしたのだが、時、遅し‼︎


──ガギィィィィーン

 信濃が咄嗟にあげた右腕。

 それがブレイザーの一撃を止めたのだが、腕が吹き飛び、胸部を腰まで抉り取った。


「止めるのか‼︎」

「オルテガハンマーは、頭上からの振り下ろしだろ、なんで技の名前を叫ぶ‼︎」

「お約束だ‼︎」


 咄嗟に後方に下がって間合いを取るものの、信濃の残りゲージは1。

 そしてブレイザーも1。

 次の一撃で、勝負が決まる。

 だが、信濃は胴部に装着されているアハトアハトを切り離し、背中からスタビライザーを広げる。


──ゴゥゥゥゥゥゥ

 そのまま高速で走り出すと、ブレイザーの周囲を回り始める。


「時間切れを狙ったのかよ」

「まさか。君って、やっぱりわかりやすいわ」


 高速で走り出した信濃の機体温度は、ゆっくりと冷えていく。

 それに対して、リミッターワンを全力で酷使したブレイザーは、間も無く臨界点。


「うぉぉ、そんなのありかよ‼︎」

魔導騎士(マーギア・ギア)コロシアムはチーム戦だよ? 猪突猛進に進むだけじゃなく、頭を使ったほうがいい」

「それなら、信濃だって熱暴走するじゃないかよ」

「信濃の背中のスタビライザーは、ドイツ製の冷却システムだよ? なんでこんなパーツがって思っていたけど、リミッターカットを知ったら、なるほどなぁってね」


 そう。

 信濃の背部スタビライザーは、ドイツ代表が使っている冷却フィン。

 機体各部にこっそりと設置して、魔力により稼働させるのが本来の使い方。

 だが、その設定ができない愛山は、背中に傘のように展開して高速で走ることにより、冷却を始めたのである。


「ち、ちっくしょぉぉぉ‼︎」


──キィィィィィン

 ブレイザーが両腕に魔力を集める。

 魔導砲と呼ばれている、ブレイザーのオリジナルの技なのだが、そこで足を止めたブレイザーを、信濃が見逃すはずがない。


「……全く。君に足りないのは、実践経験だよ。もっと、場数を踏み給え‼︎」


──キュィィィィィィン

 信濃が高速で接近。

 途中でアハトアハトを拾い上げると、それを槌のように構えて、ブレイザーの後方に回り込む‼︎


「これで終わりだ‼︎」

「そうくると思っていましたよ‼︎」


──ドッゴォォォォォォン

 足元目掛けて魔導砲を撃ち込み、衝撃で空中に飛び上がるブレイザー。

 そのまま大地に着地して、更に一撃をとかまえたのだが。

 ブレイザーの真下では、アッパースイングにアハトアハトを構える信濃の姿があった。


「ゲーム……オーバー‼︎」


──ドッゴォォォォォォン

 信濃のアッパースイングが、ブレイザーを穿つ。

 それでダメージゲージが振り切られる。


◾️◾️◾️◾️GAME OVER ■◾️◾️◾️


 バトルリングがブレイザーの負けを宣言し、試合が終わる。


 これには魔導騎士(マーギア・ギア)同好会の全員が絶句する。


「うぉおぉぉぉ、冷却‼︎」


 慌ててブレイザーをパワーBOXに収めて冷却を始める銀河。

 その様子を見ながら、愛山は会場の観客目掛けて、右拳を突き上げた!



 校内予選・第一回戦。


 ◯信濃  vs ブレイザー⚫︎


「……星野さん。いきなり後がなくなりましたわ」

「一対一の代表選まで持ち込めば、或いはなんとかできますよね?」


 グッと拳を構える星野だが、その言葉には頭を振る。


「私もファーストリミットは全開でいかないとなりませんわ。そうなると、私も十六夜くんも、機体の冷却時間で代表選には参加できませんわよ?」


 本当に、後がない。

 それは魔導騎士(マーギア・ギア)部も同じかと思われるが、スタビライザーで冷却していた信濃は、軽い調整だけですぐに稼働可能になる。

 明らかに、この校内予選は、部が悪いものとなった。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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