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魔導騎士から始まる、現代のゴーレムマスター  作者: 呑兵衛和尚
第一章・魔導騎士(マーギア・ギア)は夢を見る

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15/28

第十五話・未来のために、できること

『魔導騎士から始まる、現代のゴーレムマスター』は毎週水曜日の十時更新となります。


まあ、一応、不定期更新の可能性もありますが……。

 全国縦断・魔導騎士(マーギア・ギア)体験会。

 

 東京では、全部で五回、五箇所の会場で行う事になっている。

 そして四箇所は先日で完了、今日は五箇所目の会場である東京ビックサイトにやってきた。


「……でかっ‼︎ 伊勢さんや、ここ、採算取れるの?」

「体験会だけなら、取れへんやろなぁ」

「なるほど、先行体験機の販売目的なのか。体験会中に販売するって話しだったけど、ここでやるの?」

「そのための手続きも全部終わっとるよ。ほな、会場作りを始めましょか」

「そうですね。では、わたしは販売ブースを使ってきますわ」

「私は体験会のスケジュール管理ね。会場整理のアルバイトも雇ってあるし、みんなで頑張りましょう‼︎」

「「おー‼︎」」


 おー‼︎ って気合い入れてるけど、伊達と津軽かよ。

 お前ら、仕事はいいのか?


「十六夜、こっちが追加のパンフレットな。昨日刷り上がったやつだから、また足りなくなりそうなら早めに連絡よろしく」

「俺は朧月さんと、事務所で留守番でも良かったんだけどさ。津軽が、パンフレット持ってくついでにアルバイトするっていうからよ、来たぜ」

「……まあ、そういう事ならよろしくお願いするわ」


 やれやれと思ったけど、知らないバイトよりも知っている悪友だよな。

 そんなこんなで体験会の準備も終わり、明日の朝からは忙しい二日間が始まる。

 始まるんだけど、伊勢さん、そこの男性はどなたですか?


「あ、社長。こいつ、うちらのペーパーギアをがめったやつや。謝りたいんやて」

「あ、あの、その節は、誠に申し訳ありませんでした。ケジメをつけるので、まずは謝罪します」


 あ、確か、亀尾とかいう人か。

 数時間しか持たないペーパーギアを持って帰った人だよな。

 でも、あの日のペーパーギアは、みんなに配る予定だったからなぁ。ちゃんと謝罪するのなら、今回だけは許してもいいか?


「そっか。じゃあ、働け‼︎」

「え?」

「え? じゃねーよ。明日と明後日、有給取ってうちでバイトしろ。それでチャラだ、なんだか神妙な顔してケジメとか言ってるけど、警察なんか行かなくていいからな」


 そう俺が笑いながら告げると、亀尾はその場にへたり込んで泣き出した。


「あ、社長、泣かせたらあかんわ」

「そんなんじゃねーよ、伊勢さん、こいつ明日と明後日、バイトさせるから。雑用でも何でも使ってくれ」

「グスッ……ありがとう、本当にありがとう……」

「あ〜。ほな、亀尾は明日八時にここに集合な。会場整理の担当を任せるわ」


 それで話しはおしまい。

 あとから伊勢から聞いた話でも、あのやらかした山田錦弥とかいう男には、かなりの社員が追い込まれていたらしい。

 伊勢は上手くやって会社を辞めた方で、中には山田の悪行を擦り付けられて社会的にも信用を失った人もいたらしい。

 まお、それらが明るみに出て、山田錦弥はかなり重い刑罰を受ける事になるそうだ。


「それじゃあ、明日もよろしくお願いします‼︎」

「「「「「「お願いします」」」」」


………

……


 東京ビックサイトの体験会では、『タイプ・オールインワン』の先行販売も行われた。

 前から小町と伊勢さんには、販売用に、今から大量に作っておいてと頼まれていたんだけど、ここで大放出とはなぁ。


 一つのタイプにつき100体。

 タイプ2、3、4、6、8、9、10、11、12の9タイプを販売する事にした。

 トータルで900体、一人一騎のみと限定。

 バトルリングシステムは販売しないので、辻バトルなどは自己責任となる。

 まあ、トリセツに注意書きはしっかりとつけてあるので、問題はないだろう。

 ちなみに販売価格は、一騎1万5千円。

 トータル1350万の売り上げですが何か。

 まあ、会場費用とかオクタノルム、トラスのレンタル費用なども含めて、500万ぐらいは経費で掛かっているし、魔導騎士(マーギア・ギア)の材料費もそこそこ高い。

 儲けで考えると、トータルの利益が600万前後と試算できるけど、まあ、そんなものだよなぁ。

 一番の目玉商品の『マテリアルセット』は、もう少し格安にしたいところである。

 今回は、あくまでも先行販売だからね。


 先に、先行販売する『タイプ・オールインワン』以外にも、本番用のフルカスタマイズ可能な『マテリアルセット』というのも紹介したよ。

 そっちの問い合わせが大半だったけど、マテリアルセットは普通にネットでの予約販売だと説明したから。


「……でも、凄いよな……」


 思わずつぶやく。

 会場には四つのバトルリングを設置してある。

 それぞれ小町、伊勢、伊達、津軽に監督を頼み、スムーズなイベント進行ができている。

 販売ブースは、さすがに綾姫だけでは手が足りないので亀尾と、彼の上司の五百万石が急遽販売ブースに入ってくれた。

 他に雇った当日のアルバイトには人員整理をお願いし、俺は本部席でイベントの統括責任者として待機している。


「はじめまして。ツクダサーガの営業の水鏡と申します。今回は、我が社のゲームとの提携について、良いお話をお待ちしました」

「今はイベント中ですので、名刺だけ、お預かりします。後日、こちらで検討してから、改めてご連絡しますので、よろしくお願いします」

「かしこまりました。では、企画書だけお渡ししますので、お時間のある時にでも目を通していただけると幸いです」


 こんな感じの営業が、二日目に次々とやってきた。

 中にはアニメタイアップ企画として、作品に登場するロボットの外見のものを作ってもらえますかという話もあったんだけど、それは丁寧にお断りした。

 まあ、魔導騎士(マーギア・ギア)がゴーレムだっていう説明については、どこの企業も信用していなかったし。

 そのために魔法陣の中で精製される魔導騎士(マーギア・ギア)の動画も公開したんだけど、『よくできたCG』ってコメントがつけられたりと、やっぱり信用してくれなかった。


 だけど、今となっては、そんなことはどうでも良くなってきた。

 俺たちが作った魔導騎士(マーギア・ギア)が、大人、子供関係なく、楽しんでもらえている。

 それで良い。

 ゴーレムについては、そのうち信用してくれる人が、増えていくだろうからさ。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「かんぱ〜い‼︎」

「「「「「「カンパーイ!」」」」」」


 三ヶ月間のキャラバンを終えて、俺たちは無事に札幌に帰ってきた。

 今日は、イベント終了の打ち上げで、札幌駅裏にある焼肉屋にやってきたのである。


「しっかし、予想以上に長くなったわ。当初の発売日を変更する羽目になるとは、思わなかったなぁ」

「そもそも、キャラバンの場所を増やした社長が悪いわ。もう少しで終わりっていう時に、リクエストに答えてキャラバン走らせたりするから、長引いたんやで?」

「グッ……」

「まあまあ。でも、みんな喜んでくれたじゃないですか」


 小町のフォローで、どうにか立ち直れる。

 まあ、頼まれたら行くしかないって、行った俺が悪かったよ。

 イベントに参加できなかったら子供達のために、病院の駐車場でもやったよ。

 沖縄まで行って、在日米軍基地近くで海兵隊相手にもやったよ。

 そうだよ、ノリと勢いで増やした結果、ながびいたんだよ。


「でも、インターネット予約販売のみ、一体一万円と二万円は、かなり格安じゃない?」

「まあ、最初だからさ。定価はオールインワンが一万円、マテリアルは二万円ってきりのいい設定にしたんだから」

「一人一騎のみ、ユーザー登録システムも便利やな。クレジットカードのみも、転売屋潰しにはなるで」


 その転売屋が面倒くさい。

 面倒くさいんだけれど、対策がなかなかできない。

 ちなみにだけど、国外には販売しない方針なので、海外の人が欲しかったらイベント会場で直接買うしかないんだよ。

 体験会の後半では、販売予定もないのに文句を言ってきた人もいたからなぁ。


「でも、これで十月一日の予約開始が楽しみですね」

「ネット通販部担当が、頑張ってくれたからさ」

「……上手く取り込まれたよ……」


 伊勢と津軽は、結局、ゴーレムファクトリーの社員になった。

 ネット通販部を伊達に、広報部を津軽に任せた。

 まあ、各部署一人ずつしかいない小さい会社だけど、ここからゴーレムファクトリーは大きくなる。

 大人子供関係なく、夢を配りたいからなぁ。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



──ゴンゴン

 ファ? 

 何の音だ?


──ゴンゴン

『銀河‼︎ 早く起きなさい‼︎ 今日から学校でしょう? 入学式早々に遅刻なんてしたら、お父さんの雷が飛んでくるわよ‼︎』

「うおわぁらば、い、今起きるわ」


 やべえ、今日から学校だったの忘れていたよ。

 せっかく目当ての高校にも入学できたのに、入学式早々に遅刻だなんて最悪だわ。

 飯食ってる場合じゃねぇ‼︎


──ドダダダダッ

 急いで階段を駆け降り、カバン一つで玄関から飛び出す‼︎

 

「銀河、あんた、大切なものを忘れているじゃない‼︎」


 かーちゃんが叫ぶと同時に、玄関から綾姫さんが走ってきた。

 その手には、俺の宝物が入った鞄が握られている。


「銀河さんダメですよ。せっかく、魔導騎士(マーギア・ギア)部のある高校に入ったのに、愛機を忘れるなんて」

「これは失礼、ありがとうございます‼︎」


 丁寧に返事しないと、親父の雷《物理》が飛んでくるからなぁ。

 せっかく、全国大会出場回数ゼロの魔導騎士(マーギア・ギア)部がある高校を選んだんだ。

 俺が、俺の手で、北広島西高等学校魔導騎士(マーギア・ギア)部を全国大会優勝まで導いてやる‼︎


 あ、俺の名は、十六夜銀河。


 全国魔導騎士(マーギア・ギア)闘技会(コロッセオ)のチャンピオンになるために、並み居る強豪校でなく、この魔導騎士(マーギア・ギア)弱小高校に入学した。

 親父の命令で、小学校と中学では公式大会不参加だったけど、これからは違う。

 ようやく親父から許可が出たんだから、今までやれなかった分、存分に楽しませて貰う‼︎


──ピッ……1st Stage end

──ピッ……to be continue next Stage


 物語は、終わらない。

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


これにてファーストステージは完了。

十六夜悠の物語は、息子の銀河が引き継ぎます……

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