保健室の5歳児
誰かに優しく抱きしめられそれが悲しく離れた。
桜太は気が付くと保健室のベッドの上だった。
白い天井が見え日光が優しく部屋に射し込んでいる。少し動くと布団が冷たい。
まだ、少し頭がグルグルまわっている。
一体、今までのことは夢なのだろうか?
突然、先生が父親と言い出して 他の先生たちは動物になって…………
桜太は夢でも見ていたのかなんなのか、夢と現実の狭間にいた。
「なんだか……身体が軽いし視界がいつもと違う……」
桜太はボーッとしながらそう感じた。
「ベッドもなんだか大きい……」
そんな事を思っているとベッド脇のカーテンがガーッと開いた。
そこには卓也がしっかりしろよと言わんばかりの顔で立っていた。
「桜太 大丈夫かぁ?」
なんだか、卓也が少しだけ大きくそして凛々しくみえる……
「桜太、お前こんなに可愛くなっちまって(笑)」
卓也は笑いながら桜太の頭をポンポン叩いた。
桜太は夢と現実の狭間からボヤけた目でふと自分の手を見た。
その手は5歳児の手のように小さく可愛い手になっていた。
ボヤけた視界でよくよく自分の身体をみると全てが幼い子どもの身体になっていた。
理解ができず一瞬時が止まった。
そっと身体を起こして
遠くの身だしなみチェックの鏡をみるとそこには可愛い5歳児くらいの男の子がベッドのうえにいた。
「なんじゃーー!コリャァァァーーーー!!!!」
桜太は5歳児の声で叫んだ。
「桜太、落ち着けっ!!1回深呼吸だっ!!大きく吸ってえ〜ゆっくり吐いてぇ〜〜」
桜太はゆっくり深呼吸をした。
そして、叫んだ。
「うわぁー泣!!なんじゃーコリャァァァーー!!!」
バシッ!!
卓也は桜太の頭を叩いた。
「バカっ!!うるせぇよ 落ち着け」
桜太ははんべそで頭をおさえた。
「う”ぅ〜泣 だってぇ〜」
すると保健室の奥から誰かがやってきた。
「桜太 気がついたか??」
カーテンの向こうから何かが近づいてくる。
卓也の後ろ脇から白いフサフサの大きな狼があらわれた。
「桜太、大丈夫か?」
「あ”ぁ”ーーーーー!!!!」
桜太はまた気を失って倒れた。
「あっ、すまん」
白い狼は桜太に謝ったがもぅ桜太は気を失っていた。