入学式の告白!
今日から高校生の春野 桜太は新しい制服に身を包み、すこし冷えた体育館で入学式を迎えていた。錆びかけたパイプ椅子がギシギシいっている。
「えぇ、こらから本校の生徒として恥ずかしくないよう…………………」
校長先生の声が広い体育館に響きわたる―――。
クラスも決まり、担任の先生やクラスメイトもわかったところで今日の入学式とオリエンテーションは終了だ。幸い同じ中学出身の林 卓也とも同じクラスになることができた。
卓也とは中学時代、同じクラスになることはなかったが、体育祭や文化祭などの学校行事で良く話す機会があったので、何かと話しやすい存在だった。高校では同じ中学出身の生徒は卓也だけだったので、高校で同じクラスになれてかなりホッとしていた。
「桜太、一緒に帰ろうぜ!」
卓也が少し照れくさそうにでも、ハッキリした声で桜太に声をかけた。
空っぽの新しいカバンを大きく振り、2人でこれから始まる高校生活について会話に花を咲かせながら昇降口を歩いていた。
すると、生徒がいなくなりかけた校内に放送がながれた。
「♬︎*.:~~ 生徒の呼び出しをしまーす 1年3組 春野桜太 林卓也 至急 職員室まで来なさい! 繰り返します 1年3組……………」
男の先生の声だった。二人は驚いて顔を合わせた。
「えっ!?? オレたち何やらかした???」
嘘でしょ!?といった顔で少し笑いながら卓也が言った。
桜太はブルブル震えるチワワのように目をウルウルさせながら卓也に言った。
「オレ髪の毛長かったかなぁ(汗)結構、髪切ったのに、これでもダメなのかなぁ?入学初日いきなり退学っ!!!」
「んな訳あるかっ!!なんか配布物の渡し忘れとかじゃね?」
卓也は桜太と自分を落ち着かせるように冷静を装った。
2人は馴れない校内をビクビクしながら職員室に向かった。
「失礼しますっ!」(卓也)
「失礼しま〜す」(桜太)
2人が恐る恐る職員室に入るとただならぬ光景が広がっていた。
先生という先生が、桜太たちを未知なるウイルスに感染したかのような目で桜太たちを見ていた。
「役員の先生方は会議室へっ!!」
30代くらいの男の先生が少し焦りながら言った。
「2人も会議室へ!ついてきなさい!」
たぶん、放送をしたのはこの先生だろう。
2人は何がなんだか、いったい自分たちは何をやらかしたのか頭の中がグルグルわまって、宇宙飛行士が訓練で使うような過酷な装置に乗せられているようで具合いが悪くなった。
頭の中をグルグルしていると気がついたら会議室だった。
何をやらかしたのかと言う不安と、これからどんな裁きを受けるのかという恐怖で2人の顔は真っ青だった。
役員らしき先生が10名ほどコの字になった席に座り、2人は裁判にかけられるように会議室の真ん中に立たされた。
今にもチビりそうな雰囲気である。
放送で呼び出した男の先生が真ん中の席にいき席には座らず深い深呼吸をして、言った。
「何か心当たりはあるか?」
桜太と卓也の口の水分は全部もっていかれた。たぶん今、嗅ぐとくさい。
桜太はパニック気味に
「えっとえと……すみません 今日トイレにいったときゴキ●リがいて……洗剤攻めしてそのままにしてしまいま…」
「特に心当たりはありません」
卓也が少しくいぎみ言った。
「特に心当たりはありません。僕たちは何をやってしまったのでしょうか?校則違反ですか??」
卓也はもはや逆ギレしていた。
「何も心あたりはないんだな…」
放送で呼び出した先生は少し落ち込んだようだった。
「本当に何も思い出せないか?」
「はぃ……」
まわりにいた先生たちがそわそわしていた。
「いいか、落ち着いて聞けよ……」
2人は口に潤いをだすのに必死なりながら答えをあせった。
放送で呼び出した男の先生は軽く他の先生たちに目配せをして、意を決して言った。
「桜太っ!卓也っ!!君たちの父さんだっ!!思い出せないか?」
すると、まわりにいた先生たちは一斉に虎や兎に狼、猿など神々しい動物に変身した。
2人は思ってもない珍回答に拍子抜けしたのと同時に強い耳鳴りと目眩に襲われた。
桜太は強い耳鳴りと目眩で意識を失って倒れてしまった。
周りの先生たちの声が眠りに落ちるように小さくなっていった。