2.過去を背負う。その運命はいつまで・・・?〜3
洞窟――――――――――――
「・・・」
神無・・・
俺は・・・
「はろーん?」
突然、少女が現れた。
「・・・何だよ」
「うっわ。そっけなーい。モテないぞ?」
「・・・アホか」
((どんな会話だ・・・
「何でいるんだ。何しに来た」
「いっぺんに聞かないでよ。せっかちだな」
「殴るぞ」
「ご機嫌斜めだ」
「悪かったな」
「別に」
「・・・何でここがわかった?」
「んー・・・?直感ってヤツ?」
「・・・そうか」
五十嵐の血・・・か・・・
「そうか。って・・・意外とあっさりね」
「剣技と武術を得意とする、五十嵐の血だ。勘や直感が鋭いのはそれで説明がつく」
五十嵐一族。
剣技と武術を得意とする一族。
勘や直感が鋭い。
その能力が他の一族と比べ、異常なくらい高いため、全国、多種多様の一族の中でも比較的、名高い。
しかし現在、血を受け継ぐ者は3人しかいない。
その人数の少なさのため、相模と同じく現在、一族とは呼ばれなくなった。
「・・・何しに来た」
「鳥羽と喧嘩したって聞いてさ」
「・・・憂か?」
「当たり」
ったく・・・
アイツ、余計な事しやがって・・・
「・・・遠回りした言い方とか、そう言う湿っぽいの、あたしニガテだから単刀直入に言う」
「・・・あぁ」
「炸波が神無を殺した。ってホント?」
単刀直入すぎッ!!(汗
つか、何の前触れもなく言うなよ!!
遠慮ねェェェ!!
「炸波」
真実が知りたい。
ただ、それだけ・・・
「・・・本当」
「!」
「・・・そっか」
俺があの時、大人しく鳥羽達と逃げていたら、あんな事にはならなかったかもしれない・・・
「キンッ!!」
少女の剣が振り上げられた。
「ちっ・・・」
万事休すか・・・!!
まぁ・・・
アイツらを逃がすコトが出来ただけでも、良かった。
これで死んでも未練はない・・・
「死ねェェェ!!」
男が刀を振り下ろした。
しかし・・・―――――――――――
「キンッ」
「!?」
その刃は、小さな少年によってとめられた。
「炸波!!?」
「よぅ」
「どうして・・・」
その少年は、確かに気絶させ、鳥羽に連れて行かせたハズだった―――
「キンッ」
「ち・・・ガキが増えやがった」
そこに居るハズのない子供。
どうして存在するのか・・・。
それは、やはり彼の能力からなるものだった。
「炸波・・・アンタ、何で・・・」
「男に、逃げろとか言うんじゃねーよ」
「・・・バーカ」
精一杯の強がり。
「な!?ばッ・・・!!お前なぁ!!」
「馬鹿」
「ちぇ・・・」
とは言ったもの・・・
これからどうすっかな・・・?
「・・・サイテー」
「なッ!?」
「何にも出来ないのに戻って来たなんて、馬鹿ね。アンタ、完璧に足手まといじゃん」
思った事そのまま…ッ!!
全く容赦ねェェェ!!
「・・・ハッキリ言わんでくれ」
燐。
俺、フツーに傷付くぞ。
コンチクショー・・・!!
「ザシュッ!!」
「ドサッ・・・」
男が刺され、崩れ落ちた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
殺った・・・!!
「まー・・・アンタも大分、出来るようになったねー」
「まぁな」
「さて・・・こっちも片付いたコトだし、鳥羽と憂を追わないとねー」
「あ・・・」
「ん?」
「いや・・・何でもねー」
そういえば、俺、幻術使って逃げて来たんだよなー・・・
鳥羽。
絶対、怒ってるだろうな・・・
「キ――――――――ンッ・・・」
「?」
金属音・・・?
「何だ?」
「・・・まさか」
「?」
神無・・・?
「キ――――――――ン!!」
音が段々、大きく・・・!?
「ッ!!?」
「ドサッ」
頭を抱え、少年がその場に崩れ落ちた。
「っ・・・」
何だ、この音は!?
頭が割れる!!
「炸波ッ!!!」
それ以降の事は、俺は何一つ覚えていない。
気絶したのかさえも、分からなかった。
ただ、何があったのかは、目が覚めるとすぐに分かった。
「神無・・・?」
「っ・・・」
「!?」
神無の体に付けられた無数の傷跡。
そこから流れる血。
「神無!?お前・・・!!」
「んー?」
「んー?じゃねーよっ!!一体、誰が・・・!?」
「んー・・・」
言葉を濁す。
「ッ!?」
まさか・・・!?
「・・・俺?」
「んー・・・」
「・・・俺がやったんだな?」
「・・・」
「ッ答えろよ!!」
「黙れ」
「なッ!?」
黙れッ!?
「ったく・・・五月蠅いなぁ・・・耳元でそんな騒ぐなよ。頭痛い」
「・・・っ」
俺が神無を・・・
俺が・・・!!
「ま。そんなに気にすんな」
「軽ッ!!分かってんのか!?怪我してんだぞ!!」
「大丈夫だって。気にすんな」
「・・・」
だけど・・・!!
「・・・確かに、炸波が操られてこうなったのは事実。だけど、炸波。アンタの本当の意志じゃないでしょう?」
「あぁ・・・」
「だから、アンタのせいじゃない」
「・・・うん」
「分かれば良しっ」
あの時、何でアイツはあんな事言ったんだろう・・・?
「炸波」
「あ゛?」
「確かに炸波は蒼波の人間じゃない」
「!」
「・・・っ」
っんな事、言われなくても分かってる。
俺は所詮、余所者。
赤の他人。
そんなの・・・言われなくても分かってる。
「でもね。アンタはそのコト、すごく気にしてるケド、血の繋がりや一族としての繋がり。そんなの、本当は関係無いんだ」
「!」
「本当に大切なモノ、それは別にあるんだ」
「え・・・?」
「ドサッ」
「!!」
背中に短剣が突き刺さってる・・・!?
「神無!!おいっ!!神無!!しっかりしろ!!」
「・・・っ」
「神無!!」
出血が・・・!!
コイツ、何でここまで我慢して・・・!?
「神無!!!」
蒼波 神無。
14歳にして、出血多量で死亡。
「カッカッカッ」
「鳥羽・・・」
ただ待つ事しか出来なかった俺達の前に、炸波は帰ってきた。
「炸波!?」
その背中に、血だらけの神無を背負って・・・
「姉上・・・!!」
「・・・っ」
「炸波!!何があった!?何故、姉上が・・・!?」
「・・・」
「炸波!!」
「・・・俺が殺した」
「!?」
それから炸波は、全てを話し、神無が死んだのは自分のせいだと思っている。
「これが真実だ」
「・・・そんな事があったのか・・・」
「炸波、何も悪くねーのにな」
「パリパリッ」
↑スナック菓子の音。
「いや・・・炸波が神無を殺したのは事実だけどな。炸波が責任感じる事ねーんじゃねー?」
↑わぁ♪何か日本語おかしいぞ。
「パリパリッ」
「・・・」
「パリパリッ」
「・・・」
「パリパリッ」
「死ねェェェ!!!」
「ザシュッ!!」
とうとう矢が飛んだァァァ!!
「わぉ!?」
「ドタッ」
スナック菓子を食べていた少年が、椅子から落ちた。
「っー・・・ッあぶねーな!!何すんだよ!?憂!!」
「恭・・・貴様、空気と言うものを読めぬのか!?何、呑気に菓子など食っておる!?」
「いや・・・腹減ったし・・・」
「知らぬわ!!」
((憂ちゃん。何だか限界だったみたいです。
5分後・・・―――――――――――――
「ふぅ・・・っ」
↑恭を縄で、縛り上げた人。
「・・・」
コイツらも何だかんだで仲良いよな。
((それはアンタも同じだよ。戒生。
「で。お前らは、これからどうしたいんだ?どう在りたいんだ?」
「・・・炸波が姉上を殺したのは事実だ。だが、炸波がいつまでもそれを一人で抱えるは・・・」
「・・・寂しいのか?」
「ばッ!?」
「ガタッ」
「・・・兄上?」
「寂しいよな。そりゃー。物心ついた時から一緒にいるもんな」
「っ・・・」
「?」
↑よく分からない憂。
「・・・炸波、思春期だな」
「何かちょっと違わねー?」
↑早くも縄呪縛を解いた恭。
「何の事だか、サッパリ分からぬのだが・・・?」
「憂は男心が分かんねーな」
「??」
「・・・」
「?」
「はぁ・・・」
「ザシュッ」
「うわ!?」
「何かムカつく・・・!!」
「だからって何度も矢を放つな!!」
((何か・・・色々、すみませんっ(汗