1.カレーと謎の生命体ッ!?
「腹減ったなぁ・・・」
五十嵐 恭
17歳
次男
「そうだな。燐、今日の晩飯は?」
五十嵐 戒生
18歳
長男
「カレー」
((答え返ってくるの速ッ!!!
「ニンジンと玉葱買ってきて」
「えーっ」
「・・・カレーにピーマン入れてあげようか?」
奥の手。
「あ・・・いや・・・」
↑ピーマン苦手な人
「はい。行ってきます・・・」
((弱味につけこむなよ。
人聞き悪いわね。
好き嫌いがあるのが悪いのよ。
((腹黒ッ!!
「んじゃ、行ってくるわ」
「戒生兄ぃ。恭が余計なモノ、買ってこないように見ててね」
「はいはい」
「タッタッタッ・・・」
はじめまして。
五十嵐 燐、16歳です。
三兄妹の長女(?)です。
「ふぅ・・・」
この五十嵐家には両親がいません。
あたしが5歳ぐらいの時、亡くなったそうです。
物心がやっと付き始めた頃、両親のコトはあんまり覚えていません。
それ以来、三人でこの家に住んでいます。
・・・つか、何で保育所入らなかったんだろ?
「カチャッ」
「ただいまー」
「おかえり」
((帰ってくんの速いな。
「買ってきたぜ。ニンジンと玉葱」
「と、グロンニョ♪」
満面の微笑みで差し出した紫色の物体(?)らしきもの。
「何?ソレ」
「グロンニョ♪」
「スライム・・・?」
「れっきとした生き物だ!」
そこを強調すんなよ。
「戒生兄ぃ・・・変なモノ買って来ないで。って言ったよね・・・?」
「買ってないぞ。恭が勝手に拾って来たんだ」
「何で見逃してんの・・・?」
「いやぁ・・・何か面白そうだと思ってさ」
ちぃ・・・!!
このボケボケ兄弟めッ・・・!!!
「とにかく・・・恭。捨てて来なさい」
「えーっ!?」
「そんな得体の知れないモノ、家に置いておけるワケないでしょ?」
「そんなぁ・・・」
「じゃあ、どうしろと?」
「カレーに入れ・・・」
「へぇ・・・食べるの。そんな得体の知れないモノを食べるの」
「うん」
「つーか、美味いのかよ?」
いや、それ以前にこれ、食べ物!?
美味しかったら食べるの・・・!?
「それは良いけど・・・戒生兄ぃ」
「何だ?」
「また来るよ」
「夜だぜ?フツー来ねーよ」
いやいや・・・あの人、フツーじゃないから。
「バンッ!!!」
ものすごい勢いでドアが開いた。
「のふッ!!?」
「ガンッ」
突然現れた者の足が、素早く床に顔を押し付けた。
「ッ・・・!!」
ほら。
やっぱり来た。
初っ端から、戒生兄ぃに容赦ない攻撃!!
お約束の床に顔面強打ッ!!
正直、こんなコトをするのは、やっぱりこの人しかいないと思う。
「いらっしゃい。蒼波さん」
「ん」
蒼波 憂
18歳
戒生兄ぃの幼馴染
蒼波一族、族長の娘
「蒼波さん。今日はどうしたんです?」
「うむ・・・最近、未確認生命体がこの近辺に出現したと、言う事を聞いてな。それの退治の依頼が来たのだ」
そう。
蒼波一族は、主に武術などを使い、生活をしている。
その特殊な能力を持つ為、そっち関係の仕事の依頼が多いらしい。
そして、蒼波さんは何故か、自分の依頼をいつもウチに持ってくるのです。
また、変な依頼持って来ましたね。蒼波さん。
「そういえば・・・戒生は何処だ?見当たらぬが」
「下」
「下?」
無言で下を見る。
「ガンッ」
鬼ィィィィィィィ!!!!!
完璧にこの人、鬼だ・・・!!
ホント。
この人、一体どんな血流れてんのッ!?
「気のせいだ」
「嘘付けェェェェェェ!!!!!今、フツーに確かめてから踏みつけただろ!?」
戒生兄ぃ復活ッ!!
「何だ。無事であったか・・・」
「残念そうな顔すんなよ」
この二人・・・
仲が良いのか。
悪いのか。
5分後――――――――――――――
「で。蒼波さん。恭が持ってるアレのコトですよね。未確認生命体って」
「まぁな」
案外、アッサリ答えた・・・!!
つーか、任務って極秘じゃないの?
「では・・・」
「バッ!!」
一体、何処から短剣が出てくるのでしょうか・・・?
「ヤメロ」
「何を言っておるのだ。恭」
「グロンニョが可哀相だ!!」
「??」
駄目だ、コイツ。
謎のモンスターに愛着もっちゃったよ・・・
「つーか、恐怖って言う言葉を知らないな。恭」
「見逃してるヤツが何言ってんだか・・・」
「それを言ったらお終いだ」
「人生のね」
え?
普段からこんな会話してますよ。
何か問題でも?
「人間ってこえーな」
「!!?」
突然、謎のモンスターがしゃべりだした!!
「人間ってこんなヤツらばっかりか?」
「ウチの家庭だけだと思うぜ」
「へー」
「・・・」
絶句。
「恭、何?それ・・・?」
「グロンニョ♪」
「よッ」
「いや・・・そうじゃなくて・・・」
もぅ・・・
いや・・・
何でこんなコトばっかり・・・
「恭ってホント、変なモノ拾ってくるよなぁ・・・」
「見逃したの自分のくせに・・・」
「・・・」
わぁ♪
対抗する言葉がでないわw
「はぁ・・・蒼波さん。何とかしてください」
このままだと、晩飯が・・・
「へぇ・・・喋るんだな」
「おぅよ」
この人もかなり重症でしたッ!!!
真面目にこの人、何しに来たんだろッ
帰って良いよッ
コンチクショー!!
「グロンニョ。そういえばお前、地球に何しに来たんだよ?」
「あぁ。修旅だ。修旅」
修学旅行ッッッッッ!?
地球=観光地ですかァァァァァ!?
「トイレ行ってる間にはぐれたんだよなぁ・・・」
地味に悲しいしッ!!
「グロンニョ・・・」
「そんな顔すんなよ。集合がかかれば帰るだけだ。問題ない」
問題大有りだ。
アンタのせいで厄介なの来るし・・・
「では。地球侵略が目的ではないのだな?」
↑厄介
蒼波さん。
あなたは一体、モンスターとか、謎の生命体にどんな期待を抱いてるんだァ・・・?
漫画やテレビの見すぎ!!
「おぅよ」
「そうか・・・」
納得すんなよ!!
つーか、自分の任務どうした!?
職務放棄ですかッ!?
「ピコーン♪ピコーン♪」
「?」
「何の音だ?」
「○ルトラ○ン?」
「フツーに違うでしょ」
馬鹿ばっかり!!
「ピコーン♪」
ホント。
何の音?
「グロンニョ〜」
緑来たァァァァァァァァ!!!!!
「おぉ・・・!!隊長!!」
たいちょーッ!?
「全く、一人で出歩くんじゃない!!」
「はーい」
いやいや・・・
「一人」って言うか、まず、人間じゃないしッ
言葉の使い方おかしいよ、隊長。
何かと言うと、一匹でしょ?一匹。
「んじゃ、短い間だったが世話んなったな」
「グロンニョ・・・」
「あばよッ」
「ダッッ」
・・・効果音おかしくない?
「ダッッ」って・・・
アイツら足無いって。
手も足も無いって。
あるの目と口だけじゃん。
・・・何で、耳無いのに聞こえてんの?
「じゃーなぁ・・・!!」
「おぅ!!」
「キラーン☆」
こうして、グロンニョと隊長、その仲間たちは帰っていきましたとさっ♪
「全く・・・恭のせいで、かなり晩ご飯遅れたじゃん」
「あはは」
コイツ・・・っ!!
「・・・」
ピーマン入れてやるッッッ!!
((腹黒いよ
「燐。本当に馳走になって良かったのか?」
「どうせ二人、沢山食べるし・・・いつも多めに作りますから」
「そうか」
遠慮ないよなぁ・・・
ちゃっかりしてる。って、言うか・・・
何と言うか・・・
流石、戒生兄ぃの幼馴染。
((関係なくない?
「出来たよー」
「おぅ」
「んじゃ、いっただきまー・・・」
「ガラッ」
庭の窓ガラスが、突然開いた。
「よッ」
「グロンニョ!!」
「帰れェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!」
こうして、夜は更けてゆくのでした☆★