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片方の選択

無事についた。

しかし、元狩人(ハンター)の男と母親白狼の気持ちは

まだ、安心することなど出来なかった。


数多くの狩人(ハンター)を屠った、ともすれば、

その男の命さえも、

その数の一人になるのか……と


男の手は震える。

震えども、寒さゆえの震えではないもの、

悪寒に近いもの、


「狩られるのはどっちか……か」


だけど、逃げるという選択肢は今さらない。

逃げれば、誰かの命、その誰かが大事な娘であるのだから、

男は逃げるわけにはいかなかった。


「ウォォン」


母親狼は低く唸る。


「腹を決めろって訳かい」


男は不思議と母親狼のいってることが

わかるような気持ちだった。


男は深呼吸する、

吹雪がやみ、

静けさが辺りを支配する。


見えるのは

辺り一面の白色の銀世界

白雪姫を救う勇者のような気持ちに

その男はなるつもりはなかった。


勇者などいない世界、

勇者がいるとすれば、

世界を救うのが当たり前、

だけど、それは話の中であって、

現実に都合よくはいない。


静かに、ばれずに、

あの薬草をとってくればいいだけのことである。


狙うは薬草

あのモンスターと戦うつもりはない。


「よし、大丈夫だ」


男の声に応えるように母親白狼は低い姿勢で

男を降ろした。


「ここからは俺、一人でいい、

無駄に死なすことはできないからな。」


そう言って、男は母親白狼から遠ざかっていく、

しかし、足音がする、だが、男は止めることなどせず、

その場所に共に向かっていくのだった。


例の薬草があるところにつくと、

男は姿勢を低くし、周りを見る、

モンスターはどうやら、洞窟の方にいるのだろうか、いない


「これはチャンスだな」


しかし、油断はできない。

男は慎重に薬草のある場所へとゆっくり向かっていく。

白狼も同じく、ゆっくりと、いざ何かあれば、

男を守るつもりであった。

それは、男のためではなく、

病に苦しむ我が子の命が助かる綱であるからだ。


手前の方に草らしきものはある、

男は一瞬目を輝かしたが、



捨てた。

その薬草は~モドキに分類されるものだったからだ。

モドキとは偽物でその植物も生き残るための嘘とはいえ、

彼らにとっては悪魔にしか見えなかった。


向こう側にあるようだ。

男と白狼はゆっくりと向かおうとした、その時、


あのモンスターが現れたのだった。


「ちっ、現れたか!」


男は大剣を手にして、モンスターと対峙する。

竜のような見た目をしている、名前はわからない、

だが、名前を書く以前にそれを見たものは、

生きて帰れないから。


あのモンスターというのが、今、男と白狼を覆うように、

威圧する。


「ちっ、だが、こっちも逃げるわけにはいかないからな!」


しかし、何人もの人間がかかっても勝てなかった、それに勝ち目はなかった。

だけど、時間を稼ぐことはできるのだろうと男は思い、

鞄から音響弾をモンスターに向かって、投げつける。


辺りが鋭い金属音に包まれる

モンスターは一時、咆哮をあげながら、怯む


その間に、男は奥にあった薬草を積み 。

素早く、白狼の元へと駆け寄ると、


「このバックの中に薬草が入っている、だから、先に行け!」


母親白狼は驚いた目をしていた。

言っている意味がわからないというような目を彼に向ける。


しかし、男は笑った。


「生きて帰れば、モンスターの肉でも持ってくるからな」


そして、男は母親白狼に背を向ける。


どちらの命も助かればいいと白狼は思った。

だけど、男は自らの命を捨てるかのように、

戦いに向かう。


立ち止まり、共に戦うという選択肢はなかった。

誰かが死に、どちらかが生きて、命を救う。

そうするしか、道がなかった。


母親白狼は剣の斬撃とモンスターの咆哮が聞こえなくなった頃、

母親白狼は涙を流すのだった。




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