白狼
北の国の最果ての地で、狼の親子が暮らしていた。
名前はない、
ただこの世界の人間がつけたのはホワイトウルフ、日本語名では白狼である。
四本足で歩きつつ、子供に話しかけるのは母親狼
「どうしたんだい!?」
子供は息を絶え絶えにしながら答える
「いや、僕は……大丈夫……だよ」
しかし、大丈夫という言葉とは裏腹に
子供は苦しそうな様子だった。
この子には「薬」が必要だ。
だが、「薬」はいつも、武器をもって、狩りを生業としている者から奪わなければいけない。
母親狼は辛い過去を思い出す。
かつての父親狼、そして、その狼にとっては夫にあたる狼である。
彼の死は唐突であった。
あの日はなかなか帰ってこない日で、
母親狼は帰りの遅い夫を待っていた。
最初に彼はクリスマスという時期であったということを知っていたので、何か祝いでもしようとトナカイを捕まえようと出掛けにいった。
彼女は信じて待っていたが
他の女とイチャイチャしてるもんじゃないのかと気が気でならなくなり、
心配になって、彼を探しにいった。
だけど、他の外敵に襲われないように、
同じ白狼の仲間に一旦預けてもらって、
吹雪のなかを探しまわった。
途中、吹雪が彼女に心配のようなものを
与えるようにふぶいていく。
諦めよう
しかし、そのときの彼女は好奇心によって動いていた。
他の女とイチャイチャしてたら許せない怒りや
何かあったのではないかという不安、
我が子は、預けたけども大丈夫か?
それよりも私は
とか、色々な思いを抱きながら歩いていた
足は毛皮によって守られていても辛い、
だけど、寒いのがすみか、
自然の法則
人間ではないのだ。
人間は敵で身勝手だ。
だから、彼女の照りつける炎というものを見たとき、
愕然とした
彼が死んでいたのだ。
武器を持った人間たちによって、
彼らは白狼や、その他の仕留めた獣等を、人語をしゃべる猫のような何かをつれて、愉快になにかを話していた。
「今日はクリスマスだから盛大にパーティーが出来そうだな」
「そうですにゃ、私の装備、ご主人の装備、ひいては彼女さんにドレスとかも作れるんじゃにゃいですかにゃ」
「彼女を作るのは狩りをするよりも難しいんだよな~」
「そうなのかにゃ~人間のことはよくわかりませんにゃ」
「まっ、トナカイが襲われることがあったから、ここらいったいの白狼とか倒せたから、ワンチャンあるんじゃないかと期待してるよ」
「おっ久々の前向き発言にゃ!」
「俺は前衛で大剣扱う狩人だから、侮るなよ」
「そうでした、そうでした、」
笑いながら立ち去っていった。
そのあとの道には血が彼らの功績を残してるかのように
彼女は知った。
人間というのは敵だということを
それ以来、武器を持った人間を見ると殺したくなる衝動に駆られるが、行けば、殺されるのは当たり前だった。
何せ、白狼というのは、この地に来た口の悪い狩人
が雑魚と言うに過ぎないものを聞いたからだ。
しかし、薬を作ってるのは人間であるのは事実で
確か、村の外れの辺境で、珍しい薬を採集してこもっている変なやつがいるというのを、仲間の狼から聞いたことがある。
しかし、どうして村の外れで……
というのを彼女は思った、が、
その人のもとにいけば、何か治る薬があるのかもしれない。
だけども、彼が身勝手に武器を振るうような人間であったらと思うと、足が震える。
だけど、このままだと我が子を失ってしまう、
彼女は薬を探しに行く決意をした。