二階層
休憩が終わり、おれ達は再び活動しだした。
悪魔共はすでに送還している。
「それじゃいくぞ。 二階層へ!」
迷宮に入った時と同様に、光に包まれ、気付けば転移していた。
「どうやらここが二階層のようだな」
「またじめじめ」
「低層は洞窟型がテンプレだよ。階層が深くなれば、そのうち空とか出てくるけどな!」
空? 本当に迷宮に空なんてあるのだろうか?
ユースケの思い込みでなければ、是非見てみたいものだ。
「隊列はさっきまでと同じ、フェミリア、おれ、ユースケだ。行くぞ!」
しばらく進んでみたが、見た感じ一階層と特に変わりはないように思える。
「魔物、くる」
フェミリアが立ち止まって警告してくる。
「グルウワァーーー!!」
前方から猛突進してくる魔物。
あれは、戦狼というやつか。
数は三体。
「ユースケ! 魔術を使え!」
「オッケー! 氷投槍」
氷の槍が発射され、ウォーウルフの顔面をぐちゃぐちゃにする。
これであと二体!
「フェミリア、一体を足止めしろ! その隙にユースケが魔術で攻撃! もう一体はおれが倒す!」
走り寄ってくるウォーウルフに魔剣斬を放つ。
ウォーウルフは飛んでそれを避けるが、おかげで二匹が分かれてくれた。
おれは手前のウォーウルフをフェミリアとユースケに任せ、奥の奴の相手をする。
多少すばしっこいが、所詮は雑魚だ。
動きが単調すぎる。
おれはウォーウルフが飛びかかってきた瞬間に、カウンターで前足を叩き斬る。
そして着地に失敗したウォーウルフを背後から剣で串刺しにした。
「ギャフウン……」
「死んだか。ユースケ達の方は……あちらも片付いたようだな」
ユースケ達が相手していたウォーウルフは、体中に傷を作り死んでいた。
おそらく、風の魔術を使ったのだろう。
「おれはウォーウルフを倒したのは初めてだが、ユースケはどうだ?」
「おれも初めてだ」
「そうか。なら相場が分からないな。一応持って帰るか」
ウォーウルフの死体をアイテムバッグに収めていく。
「もしかしたらこの階層はこの魔物ばかりなのかもな」
ユースケが呟いた。
「もしそうなら、倒し方に気を付けた方がいいかもしれないな。前読んだ本によると、ウォーウルフは毛皮が素材になる。おれが着けている革鎧もウォーウルフのものだ。次また会ったら、出来るだけ毛皮に傷をつけないように倒そう」
「そっか。なら考えて魔術を放たないとな……」
「もしくはフェミリアが攻撃するのがいいかもしれない。相手は四足歩行の獣だ。急所が狙いにくいが、いけるか?」
「まかせて。狩りは慣れてる」
頼もしい事だ。
おれも出来る限り一撃必殺を狙う事にしよう。




