表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/125

一階層

 一瞬浮遊するような感覚があり、転移の光が消え、視界が戻るとそこは洞窟のような場所だった。


「ここが迷宮か……」


「やっぱり一階層は洞窟型か。テンプレだな!」


「じめじめする」


 天井に生い茂る、光り輝く苔のようなもので光源が確保されている。

 これが迷宮か。


 おれ達は思いにふけるように、しばらく転移した場所に留まっていた。

 後続の冒険者が来ない事を考えると、転移する場所は一か所ではないのだろうか?


「さて、そろそろ行くか」


「そうだな」


 おれ達は進みだした。

 先頭がおれ、真ん中がユースケ、後ろがフェミリアだ。


 しばらく行くと、曲がり角の先からなにやら声が聞こえた。


「なにかいるぞ」


 おれは、慎重に壁から顔を覗かせた。

 すると、そこにいたのは三匹のゴブリンだった。


「ゴブリンだった。三匹だ。行くぞ!」


 ユースケ達に声をかけ、おれはゴブリンに突っ込む。


 やはりというか、なんというか、戦闘は呆気なく終わった。

 ユースケ達が出るまでもない。

 おれ一人で三匹のゴブリンの首を撥ねていた。


「まぁ、一階層はこんなものか……」


 今更ゴブリンの素材なんて、小遣いにもならないので、ここは死体を放置しておく。


 迷宮は時間が立つと死体などが床に吸収されると聞くので、じっくり観察したい気もするが、それではユースケ達が暇してしまうだろうから、また今度の機会に取っておく。

 そのうち時間が取れたら一人で訪れてみよう。


「次の敵もゴブリンだったら、フェミリアが相手してくれ。戦闘力を見たい」


「分かった」


 しばらく進むと先の方に小柄な影が見える。

 またゴブリンのようだ。

 今度は二匹いる。


「フェミリア、ゴブリン二匹だ。やってみろ」


「了解」


 そう言うと、フェミリアは獣人特有の素早さで駆け出し、背後から一匹のゴブリンの喉笛を掻っ切る。

 もう一匹がやっとフェミリアに気付き、掴みかかろうとするが、フェミリアは上手くそれを躱し、すれ違いざまに胸に短剣を突き刺す。

 それでゴブリンは絶命した。


「お疲れさん」


「すげーじゃんフェミリア!」


 おれとユースケがフェミリアを労う。

 フェミリアは嬉しそうに頬を赤く染めている。


 ふむ。フェミリアの戦闘スタイルは、素早さで翻弄して一撃で決めるタイプか。

 斥候のようなスタイルだな。


「見た感じ、フェミリアは斥候タイプのように思えるな」


「罠……たぶんだけど分かる」


 なに!? 罠を発見出来るのか?

 それじゃ本当に斥候じゃないか。


「人間が私達(じゅうじん)を捕まえて奴隷にする為、森に色んな罠仕掛けた。私たちは罠を発見出来ないと生きていけない。最後は捕まっちゃったけど……」


 なるほど。

 そういう理由なら、納得だ。


「まったく、ひでぇー事するな人間ってのは!!」


 ユースケが憤っているが、おれもユースケもその人間なのでなんとも言えない。


「ならこれから先頭はフェミリアに任せてもいいか? 斥候として頼みたい」


「了解。任せて」


 これで斥候、剣士、魔術師となった訳か。

 まぁ厳密に言うと違うが。


 だがまぁ、バランスがいい組み合わせじゃないだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ