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後始末

 ゴブリンキングの頭が宙を舞う。

 その表情は伺い知れないが、きっと驚愕の表情をしている事だろう。


 おれはゴブリンキングの胴体に蹴りを入れて倒し、片足で踏みつける。


「勝ったぞおおおぉーーー!!!」


 雄叫びをあげた。

 腹の底から、めいっぱい叫んだ。


 嬉しかった。

 一人ではないとはいえ、明らかに格上と思われる存在に勝ったからだ。


「やったな、アル!」


 いつの間にかユースケが傍に来ていた。

 アンモイたち悪魔もだ。


「あぁ。最後はどうなるかと思ったがな。緑色の何かが奴の視界を妨げなければ危なかった。あれはユースケの魔術か?」


 そう問いかけるも、ユースケは違うと答える。

 ルシウスたちの方も伺うが、違うと首を振る。


 ではいったい、あれは何だったのだろうか?

 そう思い、斬り飛ばされたゴブリンキングの顔を見る。


 すると、緑色のものの正体は、カエルだった。


「運に助けられたか……」


 まさか自然の生き物に窮地を助けられるとは。

 何かが引っかかる気もするが、まぁ、運も実力のうちという事だろう。


「ありがとうな。お前のおかげで助かったよ」


「ゲコゲコ」


 おれがお礼を言うと、まるで返答するかのようにカエルは鳴く。


「面白いカエルだな」


「ゲーコ! ゲコゲコゲーコ!」


 カエルは何かを喋り続けている。

 すまないな。おれはカエル語は分からないんだ。


「さて、敵の頭も潰した事だし、さっさとこの争いを終わらせますか」


「そうだな。アル、見てみろよ、ゴブリン達が街の外へ逃げていくぞ!」


「しょせん群れを纏める頭がいなけりゃ、ゴブリンなんて烏合の衆だ。大方、一番強いゴブリンキングがやられて、恐れをなしたんだろうよ」


 ゴブリン達の混乱は酷いものだ。

 我先にと街の外を目指している。


「ユースケ、おれは残ったゴブリン達を討伐してくる。ユースケは彼女たちを頼む」


 そう言って、ゴブリンに捕らえられていた女達の方を指し示す。


「分かった! フェミリア達の事は任せてくれ!」


 ユースケをこの場に残し、おれはゴブリンの討伐に移る事にした。


 街の外へ向かっているゴブリン達には、攻撃しない方がいいだろう。

 下手に攻撃して、街中へ逃げられたら厄介だからな。


 おれが狙うのは街中にいるゴブリン。

 この場におらず、ゴブリンキングの死を目撃していない奴らだ。


 まずは守備隊の人達と合流しよう。

 そして、事情を説明して街中のゴブリンの探索に協力して貰うのだ。


 おっとその前に、ゴブリンキングやゴブリンマジシャンの死体の回収もしておかないとな。

 上位種だから金になるだろう。

 ゴブリンアサシンの死体も忘れずに回収しなくちゃな。


 そうしておれは、後始末する為に動き出した。

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