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 ゴブリンキングに攻撃が通った事で、思わず笑みを浮かべてしまう。


 あんなに強大に思えていたが、どうだ。

 今は等身大の存在に思える。


 奴も無敵じゃないんだ。

 一人じゃダメでも二人でかかれば、なんてこともない。


 これがパーティの力というものか。


「ギギャアアアァーーー!!」


 ゴブリンキングは格下に傷を付けられた事で、激怒したようだ。


 いいぞ。

 お前が冷静でなくなればなくなるほど、おれ達の勝率は上がる。

 ここは更に怒り狂うよう、おちょくってやるか。


 ユースケの傍まで一旦戻り、地面に円を描き、古代語を唱える。


サムンド(召喚)・ルシウス、アンモイ、サモニア!!』


 円に光の文様が表れ、輝きだし、猫、犬、烏の姿をした三体の悪魔が具現化する。


「うおっ、なんだそりゃ!?」


 ユースケが驚いている。

 そういえば悪魔召喚について説明していなかったな。

 というか、魔法についても詳しく説明していないが。


「ユースケ、こいつらはおれの使い魔だ。戦闘に参加させる」


「大丈夫なのかよ? 明らかにただの小動物なんだが」


「まぁ、見ていろ。ルシウス、アンモイ、サモニア! 標的はあいつ、ゴブリンキングだ! おれとユースケがメインで攻撃するから、お前らはサポートに徹しろ!」


「ニャー!」「ワン!」「カー!」


 悪魔たちに命令を下し、おれは再びゴブリンキングに突っ込む。


 そんなおれを追い越して、氷の槍がゴブリンキングへ飛んでいく。

 ユースケの魔術か。


 だが今回はそれだけじゃない。

 炎が、(いかずち)が、羽が飛んでいく。

 悪魔たちの魔法だ。


 氷の槍を叩き砕いたゴブリンキングだったが、続けざまに放たれた魔法を躱す余裕はなかったようだ。

 まず雷が直撃した。


「ギギギ!!」


 その事で感電し、一瞬動きが止まった所に炎と羽が降り注ぐ。

 炎は奴の体を包み込み、羽は皮膚を切り裂いていく。


 そこへおれが接近し、袈裟斬りに斬りつける。


「グギャアア!?」


 今度は深く入ったようだ。

 確かな手ごたえを感じた。


 ここが攻め時か。

 おれは魔法を使うことにした。


ファーニング(炎よ)!!』


 戦闘中なので、短い単語のみで魔法を行使する。


 奴に纏わりつく炎の温度を上げたのだ。

 地味だが、効果的だろう。


「ユースケ、チャンスだ! 風の魔術で奴の態勢を崩してくれ! そこで斬りかかる!」


「オッケー! まかしとけ! 鋭利な風(トルネードカッター)!!」


 風に煽られて、炎が勢いを増す。

 その炎が奴の視界を妨げている。


 そして、踏みとどまれなかったのか、ついに体勢を崩した。

 ここだ!


 おれは接近して、剣を振りかざす。


 しかし、奴は粘り強かった。


「ガアアアァーーー!!!」


 突然の咆哮。

 魔力を放出したのか、炎が掻き消される。


 そして、大剣を振り下ろしている。

 その軌道はおれの攻撃を防ぐものじゃない。


 不味い、相打ち狙いか!


 その時、緑色のものが飛んできて、ゴブリンキングの顔にへばりついた。


 チャンスだ!

 おれは無理やり剣の軌道を変え、ゴブリンキングの攻撃を防ぐ。


 そして、その場で回転するように、視界が塞がれたゴブリンキングの首を斬りつけた。

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