オークション
オークション会場は人で溢れていた。
どうやらオークションはもう始まっているようだ。
現在出品されているのは、どうやら有名な画家が描いた絵画のようだ。
遠目に見えるその絵は、おれには幼子が描いた落書きのようにしか見えない。
だが、次々と値が上がっていき、今では大金貨三枚だ。
本当にそんな価値があるのだろうか?
こいつら会場の熱気に飲まれているんじゃないのか?
そんな風に考えつつも、絵画、壺、希少な魔法薬と次々に落札されていく。
「金はあるところにはあるんだな」
「そうだな……」
おれの呟きに、ユースケが少し青白い表情でそう答える。
「どうしたユースケ? なにかあるのか?」
「いや、なんていうか。あんな品にこんな大金だろ? おれが今まで稼いだ金なんて、なんだったんだろうと思ってな」
確かにそうだな。
おれも毎日オークを討伐し続けてきて、それなりに懐は温かくなったが、それでもこの場で使われているような大金は持っていない。
「まぁ、そうだな……。だが、ランクアップすれば今より割のいい仕事だってあるさ。ユースケは四等級に上がったばかりだろう? おれも四等級になってそんなに日は経ってないが、それでも常時依頼一つにしたって五等級より四等級の方が圧倒的に高額だ。これなら三等級へ上がれば更に期待出来るはずだ」
「うん……そうだよな。あーあ、可愛い女の子奴隷が出品されてたら買おうと思ってたけど、今は無理かぁー」
なんだこいつ、そんなことを考えていたのか!?
真面目に返したおれが馬鹿みたいじゃないか。
「はぁ……。ユースケはどこまでもユースケだな」
「え? なにそのユウスケ=馬鹿みたいな感じ!?」
「実際馬鹿だろ」
「馬鹿じゃねーよ! オークションといったら可愛い女の子奴隷! テンプレだろ!」
なんなんだその"てんぷれ"というものは。
いや、こいつと真面目に話そうと思ったおれが馬鹿だった。
ユースケの話は、話半分で聞くのがちょうどいいな。
「その"てんぷれ"とやらが何かは知らんが、お前の言っていたとおり、どうやら次の出品は女奴隷みたいだぞ」
「なにぃー!? ってうっひゃぁー!!! 猫耳娘じゃねーか!!」
「っ!! 急に王声を出すな。今めちゃくちゃ目立ってるぞお前」
周りにいたオークション参加者だけでなく、遠く離れた席にいた客まで何事かとこちらを伺っている。
冒険者登録の時といい、悪目立ちがこいつの特技かよ……。
「あっ! アル! 今あの娘こっち見たぞ!! 絶対おれの事見た!!」
それだけ大声ではしゃいでいれば、そりゃ振りむくだろうさ。
はぁ……。




