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「さっさと倒しちまおうぜ、アル?」


 何事もなかったかのようにそう告げるユースケに頷き返し、おれは再びサンドリザードと向き合った。

 だが、これはもう瀕死といってもいいだろう。

 一応警戒はしているが、どうやらもう動きだしそうにない。


 おれはサンドリザードに近づいて、脳天を魔力を纏わせた剣で突き刺した。


「グ……ギャア……」


 サンドリザードは完全に力尽きたようだ。


「よしっ! 経験値ゲット! お疲れー!」


「あぁ、お疲れ様。といってもおれは特に活躍してないが」


「何言ってんだよ。アルの剣技凄かったぜ? まぁ確かにおれの魔術の前じゃ霞んじゃうけどな。ハハハ」


 ユースケは褒められて嬉しそうだ。

 褒めると喜ぶ、結構素直な奴だなこいつ。


「さて、問題はこいつの解体だな。大仕事になりそうだ。」


「ん?解体なんてギルドに任しちまえばいいじゃん? 確かに少し手数料取られるけどさ。」


 んん? またしても何を言っているんだこいつは?

 こんな大物どうやってギルドまで運ぶっていうんだ?


「あ、そうか。アルは知らなかったな。見てろよ……。収納!!」


「なっ!?」


 ユースケがサンドリザードに手で触れて、そう言うと一瞬にしてサンドリザードの死体が消えた。


「一体なにをしたんだ!? それも魔術なのか!?」


 だとしたらこの世界の魔術というものは凄すぎる。

 魔法でも同じ事が出来ないだろうか。


「いや、これは魔術っていうか、なんというか、あー、魔道具みたいなもんだな。この袋に収納されたんだ。この袋はなんでも無限に物が収納出来て、この中に入った物は重さが感じなくなるんだ。あとは、時間が止まって腐る事がなかったりするな。あ、生きてるものは収納出来ないけどな。」


 そう言ってユースケは腰に下げた小さな袋を見せてきた。

 こんな小さな袋のどこにあんな大きな死体が入るのだろうか。


 それに重さを感じないというのも本当だろう。

 でないとひ弱なユースケでなくとも、サンドリザードの重さに耐えられるとは思えない。

 ということは時間が止まっているというのも本当の事だろう。


「凄まじいな……その魔道具は……。ちょっと試しに使ってみてもいいか?」


「あー、これはおれにしか使えないんだ。悪いな。……本当はスキルだしな」


 最後の方は小声で、何と言ったか聞き取れなかったが、ユースケはおれが魔道具を盗むのではないかと疑っているのかもしれないな。

 凄まじい効果を持つ魔道具だし、流石に臨時でパーティを組んだばかりだし信用が足りないか。


 それとも本当にユースケしか使えないのかもしれない。

 見たことも聞いたこともないような魔道具だし、その可能性もありえるな。

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