ハイオーク
長めの休憩を終えたおれ達は、六階層の探索を再開した。
出会う魔物はハイオークばかりだ。
少し手こずりつつも、誰も怪我を負う事なく、おれ達は進み続けた。
二時間程進んだだろうか。
ちらほらと他の冒険者を見かけるようになった。
六人から十人でパーティを組んでハイオークを狩っているようだ。
荷車を用意しているところもある。
あぁ、なるほど。
ここで狩りをしている冒険者は、ラースの冒険者のようなものなのか。
つまり食肉調達係。
ハイオーク専門でやっているのだろう。
中心部へ進めば進むほど、冒険者の数も増えてくる。
その分ハイオークと遭遇する事もなくなった。
「見つけた!」
フェミリアの猫耳がピクピクと動く。
何を見つけたのだろうか。
まぁ、決まっているか。
「転移魔法陣か」
「やっとみつけたぁー!」
「よかったですわ!」
六階層に入って八時間程か。
ようやくおれ達は転移魔法陣の元へ辿り着いた。
「はぁー。今回は結構時間かかったなぁ」
「疲れましたわ」
「へとへと」
ユースケの言う通り、五階層までと比べてだいぶ時間がかかってしまった。
難易度が上がっているという事だろうか。
「この調子じゃ、これから先は迷宮内に宿泊もありえるかもな。それを見据えて準備しておいた方がいいだろう」
「えぇー、マジかぁー」
「もしもの為だ。いざという時、準備を怠っていたら困るだろ?」
「分かったよ……」
「それじゃ地上へ帰ろう。今はくたくただ。話は夕食の時にでもしよう」
おれ達は転移魔法陣に乗り、地上へ帰還した。
なんだかんだ皆疲れていたのだろう。
ギルドへ行くまでの間、特に会話はなかった。
「オース、今日も頼む」
「おう、アル! お疲れさん。疲れてんなー」
「分かるか? 今日は少し手こずってな」
そう言って、おれはアイテムバッグからオークとハイオークの死体を出していった。
オーク肉納品の依頼は受注済みだ。
ハイオークのもだ。
依頼を受注するのに並んで、疲れに追い打ちをかけられた。
もっとスムーズにいかないものか。
「おぉ、結構あるなぁ。これだけ倒せばそりゃ疲れるだろうよ」
「あぁ。ハイオークなんかは初めて戦ったしな。それに六階層は人数がいないとやりにくいな。壁がないから回り込まれる」
「だろうな。六階層以降の奴らは、出来るだけ大勢でパーティを組んでる。もちろん少数精鋭のところもあるがな」
「そうみたいだな。転移魔法陣の近くでそんなパーティをよくみかけたよ」
「まぁお前さん達も、人数を増やすなり、何か工夫するなり考えた方がいいぜ」
その忠告はありがたく受け取っておこう。
本当に一度、奴隷商を覗いてみるべきかもな。