連携
ユースケを責める女性人の声も収まってきた事だし、そろそろ進むとしよう。
「おい、そろそろ出発するぞ」
「助かった」
「アル様がそう言うなら仕方ありませんわね」
「この話は後で」
「そうですわね。ユースケさんには帰ってからまだお話があります」
「げぇ……」
ユースケは助かった訳ではないようだ。
まぁ、頑張れ。
「行くぞ! とりあえず、この壁と反対方向に進んでみよう」
おれ達は草原を進みだした。
二十分程歩いただろうか。
再びオークに出くわした。
今度は六匹だ。
「おれとフェミリアが前衛。オークをけん制している間に、ユースケとエリーの魔術で仕留めてくれ」
おれは命令を出し、一歩前へ出る。
オークは六匹全てが走り寄ってきた。
フェミリアが前へ出る。
一匹はフェミリアに任せても大丈夫だろう。
問題は残りの五匹だ。
おれ一人で防ぐには手が足りない。
「魔剣斬!」
魔力の刃を飛ばし、迫りくるオークをけん制しつつ、剣で地面に円を描き、古代語を唱える。
『サムンド・ルシウス、アンモイ、サモニア!!』
悪魔達が魔法陣の中から具現化する。
その間にも、おれのスラッシュを躱したオークが五匹迫りくる。
そこに、二つの魔術が飛んできた。
ユースケの氷投槍とエリーの雷撃だ。
これであと三匹。
「悪魔よ、オークをけん制しろ。ユースケとエリーに近づかせるな!」
命令を出しつつ、おれは一匹のオークと剣で斬り合う。
ソロの時は自分の事だけを考えていればよかったが、人数が増えるとそれはそれで大変だな。
敵が多数いると手が足りない。
ユースケとエリーの二人を守りつつ立ちまわるのは大変だ。
出来ればもう一人前衛が欲しい。
フェミリアは前衛と言っても、一撃当てて離脱するタイプだしな。
壁役には向いていない。
今のように一匹を受け持つのがせいぜいだろう。
「おりゃ!」
思考しつつも敵の隙は見逃さない。
おれはオークの喉元に剣を差し込んだ。
「ブヒィ……」
これでこいつは死んだだろう。
さて、他はどうなっているか。
フェミリアを見るとそちらも終わったようだ。
眼球に短剣が突き刺さったオークが倒れている。
フェミリアは特に負傷はしていないようだ。
目が合うと頷いてくる。
では、残る二匹はどうだろうか。
視線を移すと悪魔が連携して上手くオークをけん制している。
そこに魔術が飛んでくる。
一匹は氷の槍で貫かれて肉片が飛び散り、もう一匹は電撃で黒焦げになった。
どうやら戦闘終了のようだな。
今回の戦いでは悪魔の召喚が間に合ったからよかったが、課題が見えた。
うまく連携して立ち回らないと、ユースケ達後衛に敵の攻撃がいってしまうだろう。
ここは階層を進めるよりも、しばらく鍛錬した方がいいかもしれないな。




