六階層
宴会をした翌日、おれ達は休むことなく迷宮へ向かっていた。
「うぅ、頭痛い……」
ユースケが頭を押さえて呻いている。
二日酔いか。
こいつは本当に飲みすぎるな。
「ガンガンしますわ……」
エリー、お前もか。
あんなに飲むからだ。
もしやフェミリアもか!?
おれは慌ててフェミリアを確認したが、いつも通りケロッとしていた。
こいつも相当飲んでいたように思えるが、どうやら酒に強いらしい。
これでおれを除くパーティメンバー全員が二日酔いという事態は避けられたが、それでも半分の二人がダウンしている。
はぁ……。
仕方ないな。
「二人とも、こっちにこい……解毒!」
解毒の魔術で二日酔いを治してやることにした。
体調が悪くては、迷宮探索に差し支えるからな。
「う……楽になった! ありがとうアル!」
「流石アル様ですわ!」
二人とも随分と嬉しそうだが、こんな事で褒められてもな。
「あんまり羽目を外しすぎるなよ。飲み方を覚えていけ」
少し説教臭くなってしまうのは、前世で何百年と生きたからだろうか?
よくないな。
これ以上は言わないでおこう。
「まぁ、いい。これから六階層だ。準備は出来ているか?」
「飯はバッチリだ!」
「具合も良くなりましたし、大丈夫ですわ」
「短剣……整備出来てる」
準備は整ったようだな。
ちなみにユースケの飯はばっちりというのは、飯を食ったからばっちりという意味ではない。
時間が経たないユースケのアイテムボックスに、昨日の宴会時の余りものを散々詰め込んだのだ。
エリーに良い所を見せたくて、沢山頼んだからな。
そんなに食えるはずもなく、余ってしまった。
それをアイテムボックスに収納させて貰ったという訳だ。
「よし、行くぞ! 六階層へ!」
転移の光に包まれ、移動する。
目を開くと、そこは洞窟ではなかった。
「草原か……」
六階層は辺り一面に緑が広がっていた。
通路らしきものもなく、ただただ広い草原だ。
光苔もないのに、何故明るいのだろうと上を見上げると、天井ではなく空があった。
もちろん太陽も。
「ユースケの言った通りになったな……」
「な! そうだろ!? ダンジョンに空と太陽はテンプレだよ!!」
ユースケは予測していたからか、あまり動じていないが、おれはそうもいかない。
まさかこんな不思議な事があるなんて……
横を見るとエリーとフェミリアも呆然としている。
そうだよな。
普通の反応はこうだ。
ユースケが予測しているのがおかしいのだ。
迷宮に空が広がるなんて……
ここはどこか別の場所と言われた方が納得しそうだ。




