短剣
「ほう、短剣ですか。確かに魔力を感じますね」
鑑定士の男は興味深そうに短剣を手に取って眺めた。
「おっと、鑑定でしたね。鑑定料として先払いで大銀貨五枚ですが、よろしいですか?」
「げぇ、たっけぇな!」
「それで構わない」
ユースケの言う通り、少し高い気がしたが、おれは大銀貨五枚を取り出して男に渡した。
「はい、確かに。では、鑑定いたしますので、少々お待ちください」
そう言って男は短剣を持って、ギルドの奥へ下がっていった。
目の前で鑑定してくれる訳ではないのか。
「なんだよー。鑑定するとこ見れるって思ったのにー」
「まぁ、ギルドの秘密なんだろう。ラースのギルドでそんな事を聞いたことがある」
あれは確か、ゴブリンマジシャンの持っていた杖を鑑定して貰った時か。
あの時は鑑定は日をまたいだが、今回は少し待つだけだし、文句は言うまい。
いや、だがラースでは鑑定料なんてかからなかったよな。
あの時は売ることが決まっていたからか?
それとも、代金から鑑定料が引かれていたのだろうか?
考え事をしていると、丸眼鏡の男が戻ってきた。
たしかに早いな。
「お待たせしました。こちらが鑑定証になります。効果など書かれているのでお読みください。この鑑定証は冒険者ギルドが発行しているものですので、売却時に正式な証明書として扱われます。失くさないようお気を付けください。再発行はしておりませんので、再度鑑定となります。もちろん大銀貨五枚が必要です」
ほう。正式な書類として扱われるのか。
流石、冒険者ギルドが発行するだけのことはあるな。
「なんて書いてあるんだよ?」
ユースケだけでなく、フェミリア、エリーまで覗き込んでくる。
皆興味津々か。
なになに……
「どうやらこの短剣の効果は、刺した場所の出血を酷くするものらしい」
出血過多の効果、流血の短剣と証明書には書いてある。
「んー……。なんか微妙だな」
「微妙」
「微妙ですわ」
全員そろって微妙との感想か。
まぁ、確かに微妙な気はするが。
「五階層で入手したにしては上等だろう。フェミリア、使ってみるか?」
フェミリアは短剣を一本しか持っていない。
予備として二本目の短剣があってもいいだろう。
「ん……使ってみる」
フェミリアは流血の短剣を使用する事にしたようだ。
手に取って感触を確かめている。
「という訳だ。二人共、問題ないか?」
「オッケーだ!」
「問題ありませんわ」
うん。皆納得してくれたようで何よりだ。
「そういえば、エリー。おれ達は同じ宿屋に泊まっているが、パーティを組んだ事だし、エリーも一緒にどうだ?」
「っ!? アル様と同じ部屋!! もちろんですわ!!」
「良かった。まだ開いている部屋はあると思うから、早く宿に戻って確保しよう」
「そ、そうですわね……」
おれと同室がよかったのか?
なんだかえらく積極的だな。
まぁ、こういう事は慌ててもよくない。
ゆっくり距離を縮めていこう。
「宿を確保したら飯にするか。今夜はエリー加入のお祝いに、豪勢にいこう。もちろんおれの奢りだ」
「うっひょー! やったぜ!」
「豪勢……じゅるり……」
「楽しみですわ!」
おれ達は賑やかな雰囲気で宿屋へ向かった。
たまにはこういうのもいいだろう。




