宝箱
エリーを抱きしめていると、ユースケがなにか言いたそうにジト目で見てくる。
「どうした、ユースケ?」
「べっつにー。それより半端な時間だし、地上へ戻ろうぜ」
「ん。そうだな。おそらくあの扉の先に転移魔法陣があるのだろう」
おれらが入ってきた扉とは真逆の位置に、もう一つ扉がある。
あの扉の先に転移魔法陣はありそうだ。
おれ達はレッドゴブリンの死体を回収して、扉の先へと進んだ。
エリーはおれに寄り添ったままだ。
「おおぉぉ!!」
扉を開くとやはり転移魔法陣はあった。
だが、それ以外にもあるものがあった。
ユースケの嬉しそうな声からも分かるだろう。
宝箱だ。
「ユースケ、大丈夫だとは思うが少し待て。またミミックだったらいけない」
「でもよ、この状況だし大丈夫じゃね? 見た目もこの前のと違うし」
ユースケの言う通り、今回の宝箱は質素だ。
シンプルな木製の作りに、鍵が掛けてある。
「確かに大丈夫だろうとは思うが、一応念のためだ。ルシウス、近寄って確認してみろ」
おれは悪魔を宝箱に接近させることで、魔物かどうか判別することにした。
もしあれがミミックならば、近寄った悪魔に攻撃してくるだろう。
「ミャー」
ルシウスは何事もないかのように、宝箱にすり寄った。
ふむ。本物のようだな。
「大丈夫みたいだな」
「イヤッホー! 宝箱ー!」
ユースケ嬉しそうに宝箱に飛びつく。
「ん、開かねぇ。鍵がかかってるぞこれ」
「見ればわかる。フェミリア、開けれるか?」
罠を解除出来るのなら鍵開けも出来るのではないだろうか。
「ん。無理。フェミリアは探索専門」
無理か。
そういえば今までの罠も、回避はしてきたが解除はしてこなかったな。
フェミリアは罠を発見できるが、解除は出来ないということか。
まぁ、被害さえ被らなければどちらでも構わない。
「そうか。ならおれが開けるか」
『ゴマーラ!!』
古代語を唱えるとカチッという音がして、鍵が外れる。
そして、ひとりでに蓋が開いた。
「おおぉーーー!!」
箱の中を覗くと、中に入っていたのは一振りの短剣だった。
ただの短剣ではない。
魔力を感じる。
おそらく魔道具だろう。
ユースケがそっと短剣を取り出す。
「なんだか凄そうな短剣だなぁ」
「あぁ。魔力を感じるからおそらく魔道具なのだろう」
「魔道具!? すっげーじゃん!!」
ユースケがはしゃいでいる。
確かに魔道具は高値で取引されるから、その気持ちも分からないでもない。
だが、売ると決めた訳ではないぞ。
鑑定に出して、それから売るかおれ達で使うか決めるつもりだ。




