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翌朝、俺は武衛府にいき、真っ先に試験を監督する役人のところへ向かった。
「頼む。辞退を取り下げさせてくれ」
俺が言うと、役人は冷たい視線を向けてきた。
「本人が武人になる気がないと言うんです。無理やり試験を受けさせることはできませにんよ」
「違うんだ、本人は武人になりたいんだよ。ただちょっとした誤解があって」
「それで、どうしろって言うんです。また試験をやり直せとでも?」
「実技試験の成績がよかったのは知ってるだろ? 筆記はゼロ点扱いでいいから、頼むから選考に入れてくれ」
「もう、無茶言わないでください。前も言いましたが無理なものは無理ですから」
「頼む。考え直してくれ」
「……邪魔ですから。出て行ってください」
懇願虚しく、俺は無理やり部屋を追い出される。
「チクショウ」
次の科挙は二年後だ。それまで待つなんて馬鹿げてる。スグには一刻も早く出世してもらわないと困る。
なんとかこの状況を覆す方法はないか……。
だがいい案は浮かばない。また金でなんとかしたいところだが、もう蓄えも残っていないのだ。
と、地団駄を踏んでいると、声をかけられる。
「おい、大変だぞ」
声の主は師匠のゴウだ。
「なんですか。今、俺はそれどころじゃないんです」
だが、
「それどころじゃない? 王朝の危機よりも大変なことがあるのか?」
「王朝の危機?」
「ああ、その通りだ」
「そりゃ一体どう言う……」
「塩山が突に占拠されたんだ」




