表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/49

3-9

 @


 一週間後。

 武衛府へ向かうと、師匠のゴウが俺とスグの元へやってきた。

「おい、聞いたか」

 その顔を見て、もうなんの話なのか検討はついたが、知らないふりをして聞き返す。

「何かあったんですか」

「科挙だけどな、三人辞退者が出たから、追加の試験が行われる」

「本当ですか!?」

 俺はわざとらしく言う。

「ああ」

「そんなことあるんですね」

「全く理解できないよな。辞退するくらいなら科挙なんて受けなきゃいいのに」

 ……俺は胸をなでおろした。

 これで追加の試験が行われなかったら、気が狂うところだった。

「試験を受けられるぞ」

 スグは信じられないという表情を浮かべて、それからこれまで見たことがないほどの顔を崩した。なんだ、あんなかたくなになっていたのに、本当は科挙を受けたいんじゃないか。

 喜ぶ弟子の姿を見てこちらまで嬉しくなった。

「やはり神様は見てくれているのですね」

 そんなことを言うので、「神様は目の前にいるぞ」と言いたい気分だった。もちろんそんなことを言ったら、彼女は試験を辞退するだろうから、死んでも言わないが。

 三人は勝手に辞退したのではない。金と引き換えに辞退したのだ。俺は貧しい受験者に金をやるから試験を辞退してくれと言ったのだ。そうすれば一年分の俸禄以上の金を今すぐに払ってやると。それまで溜め込んでいた有り金を全て注ぎ込むことになったが……結果良ければ全て吉田。

 ……とにかく、よかった。

 懐は寒くなったが、スグが武人になってくれれば全部チャラだ。

 

 @

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ