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それから武衛府の上の人間に掛け合ったが、いずれも答えは否だった。
無駄とわかっていたが、最後には中将にまで直訴したが、もちろん却下された。そもそも中将は生粋の貴族至上主義者で、反王女派だ。赤眼を弟子にしていて、しかも王女と親しい俺の言うことなど聞いてくれるはずもない。
「……こうなったら」
正直、この手は絶対に使いたくなかったが。
自宅に帰って、貯金の額を確認する。
武人になってから、無駄遣いはほとんどせず質素に暮らしてきたから、下級役人にしてはそれなりのお金が溜まっていた。もちろん、姉さんを遊郭から買い取るには程遠い金額だが。
これだけであれば……なんとかなるだろう。
俺は金貨を握りしめて、武衛府へと向かった。
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