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世界樹は夢を見る  作者: 深月
アルディア第一学園
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七の月もいつの間にか下旬。すっかり暑くなって来たので、レイと一緒に避暑に出かけることにした。

ヴォイドに許可を取っての、精霊の泉までの一人?旅である。


といっても勿論、第三訓練所から空間転移でひとっ飛び。お手軽な旅ここに極まれり。

エルミラとエイドにはまだ空間転移のことを明かしていないので、工房に篭ると見せかけて、実はお弁当も水筒も持って来ている。勿論マジックボックスに入れて。

腕輪型のマジックボックスの容量は、未だによくわかっていない。自室にあるものは色々詰め込んでみた。それはもう家具から何から全て。

その全てを飲み込んで、他に入れるものが無くなってしまって、一度は検証を諦めた。しかし好奇心には勝てず、実はこっそりと歓喜の街のさらに西、棄てられた集落に転移してそこから少し北へ飛翔の魔法で飛んでいき、その辺りにある岩やら砂やら詰め込んでみたが限界を超えることはなかった。収納したものを一箇所に吐き出したところ、総量としては第三訓練所よりも少し狭いかな、くらいの体積になったので、大体20m四方くらいは少なくともカバーできるということはわかった。

正直、現状ではそれだけあれば十分だ。マジックボックス自体複数作ることもできるのだし。

機能にも満足しているので、同じ付与魔法でもう少しだけ大きな霊石を使って、指輪型で作ろうと思っているのだけれど、丁度いい形の原石がなかなか見つからないのだ。できれば扁平で一方は平で一方には丸みがあるといった形が指輪には加工しやすいのだけれど。



まあそれはさておき、今日は久々にロキに会いに来たのだ。


『ロキ!遊びに来たよー!』


念話で声を掛けると、相変わらずの嬉しそうな少年の声が返ってくる。


『ティエラ!レイ!

どうしたの、まだあんまり経ってないよ?大丈夫?』


ざっくり1年半ほど経っているはずだが、さすがは世界樹。時間感覚が全く違う。


『たまには会いに来るって言ったはずだわ!』


レイは世界樹相手でも変わらない。学校で私の立ち位置が変わってしまってから、レイは私を心配そうに見ていることが多くなった。それでも屋敷ではこれまでとあまり変わらないのだけれど、私の内心をぼんやりと読み取ることができるレイには、多分私が以前よりも目立ちたくないとか、他人に近寄ってほしくないとか、そういう思いを強く抱いていることがわかっているんだと思う。


『学校?だっけ。楽しい?』


『つまらないわ。とっても』


正直に答えた。ロキに嘘をついたところで、学校は楽しくはならない。


『でも、学校のおかげで色々なことができるようになったの』


『カナデは色々作ってるわね。何が楽しいのかよくわからないわ!』


レイにも何か作ってあげられないだろうか。うーん、霊石のサイズと体のサイズが・・・ちょっと厳しそう。


『ロキは、何か変わったことはなかった?』


『うん、なにも。

あ、でも西の領域で綺麗な花が咲いたよ!』


『一面に花が咲いたら、遊びに行こうね、レイ』


レイと頷きあって笑い合う。こんな風にレイと話すのも久しぶりな気がする。

ごめんね、レイ。念話にも乗せずに、心の中でただ呟く。


でも、やっぱり人間は面倒くさいよ。



お弁当を食べて、他愛ない話をして、今度トリスに行くことなんかも話して、私達は帰った。

ただ話しただけ。でも、誰に気を遣うこともない時間はあっという間に過ぎた。




さて、夕食までは少し時間がある。実は精霊の泉で少し思いついたことがあったので、ささっと試してから屋敷に戻るつもりだ。


議題は、「土魔法で原石の形を変えられるのか否か」

原石だって石なのだから、土魔法でなんとかなってもおかしくない。まったく、なんで今まで試さなかったのかしら。

ただ、魔力を注ぐのではなくてただ通すという感覚が難しそうではある。大量に魔力を注ぎ込む状態と、ただ通した状態が同じであるならば、原石は割れてしまうだろうし。


やってみないとわからないことは、やってから考える。

小さめの原石を机に乗せる。魔力を浸透させて・・・すると、浸透させたはずのその魔力がふっと消えて、原石が割れてしまった。

注ぎ込まなくても、吸い込まれる?

もう一つ取り出して、同じように魔力を浸透させてそれを維持することに集中すると、今度は吸い込まれることはなかった。この状態で魔力の形を変えて、原石がそれに沿うように。

よし、形が変わった。通した魔力が霧散するようなイメージで、一気に手放す!


最後に魔力を消すときに、若干固定したはずの形が変わってしまった。

うーん、霧散するのではなくて・・・魔力がその場から消えるイメージ?


何度かやってみたけれど、やはり最後の段階がうまくいかない。

発想を変えないとだめだろうか。

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