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世界樹は夢を見る  作者: 深月
アルディア第一学園
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無限に広がる空間、それが箱の中にあるのをイメージする。多分これだけでは箱の入り口が小さすぎて大きいものが入れられない。ザルツは確か入れるものに手を触れて何か呟いていた。出すときは霊石に触れていたはず。

箱の中に無限にある空間に、触れたものに入れと命じるとそれが吸い込まれる、というイメージに修正。出ろと命じるとそれが出現するように、使っている状況を思い浮かべながら魔法を付与!


1cm級の霊石だが、最上級品になるとやはり疲労感が凄まじい。ヴォイドの指輪みたいにめまいがするほどではないけれど。


一先ずこれをアンティーク調の箱の内側に嵌め込んでみる。

魔導具化は問題なし。

辺りを見回して、小さなネジがあったのでそれを直接箱に放り込んで見る。

ネジは異空間に・・・は吸い込まれずに箱の中にちゃんと見えている。普通に手を突っ込んで取り出してみる。うん、普通。


今度はネジを手に持って、イメージした通り命じてみる。


「入れ」


ネジが異空間に・・・入らなかった。ネジに命令した自分がなんだか滑稽で悲しくなる。


「うーん・・・」


恐らく、魔導具の起動条件である霊石に触れるという条件を満たしていないからだと思うんだけど。

試しに霊石に触れた状態で命じてみる。今度は収納された。箱の中をのぞき込んでもネジは見えない。

箱の中に入ったネジを思い浮かべて、出ろ、と命じるとネジは机の上に現れた。


異空間収納自体は機能している。今度は大きな物でテストだ。

訓練用の木剣があるのを見つけたので、手に持って、片手は箱の内部の霊石に。


「入れ」


すると木剣は手から消え去った。吸い込まれるイメージで付与したものの、箱に吸い込まれたようには見えない。ただ消えただけ、という感じ。この方が使い勝手が良さそうなので有難いけれど。

逆に箱から出してみたが、これも問題なかった。


「うーん・・・?」


機能的には問題ないのだが、片手で霊石に触れて片手で収納したいものに触れる、というのでは両手が塞がってしまう。仮に剣を持った状態でマジックボックスを使おうと思ったら一度剣を収納するか、あるいはその辺に剣を置くかしなくてはならない。できれば片手で出入り自由自在という風にしたいのだが。

加えて、口で命令するというのはちょっと気に入らない。マジックボックスの存在を秘匿するには不向きだし、何より少し恥ずかしいのだ。


さてどう改善したものか。

箱の底面に霊石を嵌め込んで、腕に巻き付ければ常に霊石に触れている状態になるから実用的だとは思うけど、箱やカバンを腕に巻き付けるなんて恥ずかしい真似はできない。

ん、というか別にもっと小さいものでもいいんじゃない?内部に空間さえあれば。蓋の開け閉めが必須であれば無理かもしれないけど・・・いや、仮にそうであれば常に蓋を開けた状態にしておけばいい?


一旦銀箱猫バージョンは仕舞っておくとして。

私は再びインゴットと向き合う。身につけられて、常に霊石が肌に触れている状態に出来て、内部に空間があって・・・


腕にジャストフィットするサイズの腕輪を作ることにする。サイズの調整は別にできなくてもいい、着脱さえできれば。それなら革製のブレスレットに筒状の金具を取り付けるほうが楽かも知れないけど・・・革紐が切れたら紛失の可能性があるのは、ちょっと抵抗がある。ワイヤーブレスレットなら作れそうだけれど・・・


うん、何かしらの留具が必要だ。作れないものは既製品に頼ろう。

今日はもう時間があまりないし、明日に先送りするしかない・・・アイディアがあるのに試せないというのはもどかしい!




今日のところは諦めて、歩いて屋敷に戻る。

それなりに時間が経っているし、もうエイドは屋敷に入っているだろう。

今まで話せなかった分、たくさん話して、そして魔導具のアイディアを練ろう。


などと思いながら屋敷に戻ったのに、エイドはまだ帰っていなかった。

いや、正確には”まだ屋敷の中には入っていなかった”、である。そう、門の前でまだ修羅場を演じているのだ。

・・・通っていいものだろうか。空間転移で戻ればよかった。訓練所を出てしまった今となってはそれができない。戻って転移で・・・いやしかし・・・


「・・・!

ここは一般の方の立ち入りは禁止ですわよ!」


気づかれた。というか、喋り方が・・・ですわよ・・・

どうしよう、この女性が未来のお姉様だったらどうしよう。


「聞こえませんでしたの!?」


「いえあの・・・通らせてください・・・」


それしか言えなかった。

意外にも女性は素直に横に避けてくれたので、私は目を伏せたまま門を開け、入り、閉める。続いて扉を開けようとして、何故かこれだけは聞かなければいけない気がして、振り向いた。


「今日の夕飯、いりますか・・・?」

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