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世界樹は夢を見る  作者: 深月
アルディア第一学園
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スポットライトといっても、カラオケにあるようなものではない。

舞台で使う、ピンスポットと呼ばれるやつ。高校の文化祭で手伝いをしていたときに、演劇部が使うピンスポットを直視してしまってしばらく周りが見えなくなった記憶があったのだ。


あの白くて強い光を思い浮かべる。ピンスポットの形では光が一箇所に集中してしまいそうだから、あのライトの部分だけ。余計な機器のイメージは排除だ。

目が眩むほどの光量だけを思い出して、それが杖の先端にあるのをイメージする。そのイメージを魔力にのせて、目の前の霊石に注ぎ込む。魔力を注入するのは霊石を作るときと同じ感覚で出来たが、霊石を作るときとは違って魔力が一気に持っていかれるような感覚があった。

これで、付与できたのだろうか?


一先ずガルヴァの元にその霊石を持っていくと、丁度見本の霊石が嵌まるほどの小さな穴が開けられた簡素な杖を渡された。付与した霊石をその杖に嵌め込むと、杖全体が一瞬ぼうっと光ったあとには、振っても逆さにしても、はめ込んだ霊石が落ちることはなかった。


「おー、付与自体は成功しているようだな。

霊石が思い浮かべたとおりの道具に組み込まれると、さっきみたいにわずかに光るんだ。それが魔導具として完成した印みたいなもんだな」


なるほど、対応する道具をイメージしなくてはいけないというのはそういう理由があったのか。

ガルヴァに促されるまま、私は先端の霊石に触れてみる。

イメージしたとおりの目が眩むほどの光量・・・にはならなかった。それでも先程ガルヴァが光らせた杖よりは明るい。松明代わりに使うなら十分実用の範囲だろう。

太陽光をイメージして付与していたらどうなっていただろうか。


「一発で完成させるなんて、さすがだなフォルティエラ。

もうお前一生自習してろ」


教えることはもうないと言いたいのかも知れないが、それにしてはあまりな表現だ。非難がましい目を向けると、ガルヴァは冗談だ、と笑った。


「ほれ、手出せ」


言われるままに手を出すと、ガルヴァはその手の上に見本の霊石を5つ、落とした。


「時間も余ってるし、試したいことがあるんだろ?

お前が優秀だから余った分だ、遠慮なく使え」


杖の方も予備があるというので、私はいろいろ試して見るべく急いでまた机に戻り、霊石とにらめっこをはじめた。まず1つは太陽光をイメージして付与を。2つは、もう少し魔力を込めて色を紺色くらいにしてから付与を試そう。

いや、それならば霊石を完成させてから付与を試したほうがいい。イメージにブレが生じると純粋な比較にならないかもしれない。


こういった試行錯誤は好きだ。結果が予想通りのときも、そうでないときも、そこにはなにかしらの理論がある。説明がつく、というのはなんとなくそれだけで安心するのだ。理論の通用しない心情とか慣習とか、そういった理不尽があるものは逆に苦手だ。よくあるじゃない、こういう理由があるからそうだ、ではなくて、そういう理由もわかるが村の掟はこうだからこうだ!みたいな。いや実際によくあるのかは知らないけれど。


そうして嬉々として実験の計画を練りながら、この日の実習は終わった。



付与の方法を覚えた私は、一つの問題に突き当たっていた。

それは、付与した魔法に対応する道具をどうやって用意するかという問題である。子供の工作程度のものなら作れないこともないだろうが、それでは商品にはならないだろう。形状の似た何かを別のものに転用するのが現実的だが、そういったものが簡単に見つかるはずもない。

尚且つ私が今作るべきは、今ある小さな霊石で実用可能な出力が出せる魔導具、である。ただでさえ厳しい条件がさらに絞られることになる。


何か無いかと屋敷の中をあちこちうろうろしていて、辿り着いたのは厨房。実用的な何かを作ろうと思ったら、料理や掃除といった家事に当たるものは需要があるはずだとおもって来てみたが・・・


「お嬢様、どうされました?」


いつも給仕をしてくれているメイドさんたちと、料理人たちが居る中を勝手にうろちょろしては邪魔である。


「夕食の後でもいいのですが、厨房の中を見せていただけませんか?

魔導具のアイディアを探しているんです」


正直にお願いすると、料理長らしき白い帽子をかぶった男性が快諾してくれた。


「今でも構いませんよ、下拵えは終わっていますので」


「ありがとうございます!」


ありがたく厨房の中をのぞかせてもらう。あちこちウロウロと歩き回ると、地球では当然あるいくつかのものが、そこには無いことに気づいた。

例えば、コンロや電子レンジ、冷蔵庫。冷蔵庫は巨大なクーラーボックスのようなものに大量の氷が入れられていて、それで代用されているようだった。

そして私がこれは必要だろ!と思い切り心の中でツッコミを入れたもの。


「水はどうしているのです?」


井戸があるのは知っている。しかしそこから水を汲み上げるのは手動だ。電気を使わないタイプのポンプ。それが外に設置されているのだが、水を多く使う厨房と浴室に水道管がないのである。


「すぐ裏で水を汲めるようになっているので」


外で汲み上げた水を運んでいるということか。ならば、水を汲み上げて蛇口から出すということが魔導具でできれば。それは需要があるのではないだろうか。

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