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世界樹は夢を見る  作者: 深月
アルディア第一学園
60/201

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二章はしばらく0時、8時、16時の1日3回更新の予定です。

「おはよう!」


教室に入ると、アイラたち幼馴染3人組は既に揃っていた。

ティナの机の周りに集まっていた3人に声をかけると、口々に挨拶を返してくれる。

うんうん、学校って感じ。


自分の机にカバンを置いて、その輪に加わる。ティナの椅子にはアイラが座っていて、その後ろにティナが立っている。ティナの手がくるくるとせわしなく動いているので、何をしているのかと後ろからのぞき込んでみると、ティナの手の動きにあわせて、アイラの長い金色の髪が部分的に編み込まれていく。


「へえぇ、すごい。ティナ、器用なんだねぇ」


感心して思わず声に出してしまう。私の髪もだいぶ長いけれど、こんな風にアレンジしたことはない、というか、できない。転生前もこういうのは苦手で、いつも大体一本に結ぶか下ろすかの二択だった。

今日の髪型も、きれいに梳かしてはいるが、それだけだ。こういうの自分でできたら楽しいんだろうなぁ。


目を輝かせて見ていると、あっという間にアイラの髪は仕上がってしまった。左右の細い編み込みが中央で束ねられ、それを巻き込むように小さなお団子がつくられていて、後ろ髪はさらりと肩に落ちている。いわゆるハーフアップというやつだ。アイラはきりっとした顔立ちなので、より一層お姉さん感が増して見える。


「自分では伸ばさないの?」


ティナの髪は肩上までのミディアムヘアだ。アイラの金髪よりももう少し茶色に近いふわふわとした髪で、もちろんそのままでもおっとりした雰囲気のティナにはよく似合っているのだけれど、せっかく自分でいろいろできるなら伸ばしてみたいと思ったりはしないのだろうか。


「ううん、わたしは・・・人の髪をいじるのが、すきなの」


そういうものなのか、と納得する。確かに自分のことをするのと人のことをして喜んでもらうのって、別物だよね。そう伝えると、ティナは素敵な笑顔で頷いてくれた。


その後もしばらく雑談をしていたが、もうすぐ始業の時間だ。自分の席に戻って着席すると、程なくしてガルヴァが入ってきて、初めての授業が始まる。

ちなみに教室には黒板はなくて、ホワイトボードのようなものが置いてある。といっても表面がツルツルした、書いた文字が消せるようなものではない。材質としては見た感じ、紙だ。大きな模造紙を貼り付けた板のようなもの。

一度書いたら使い捨てなのかと思ったらどうやらペンが魔導具のようで、持ち主が文字が消えるようにイメージすると実際に消えてしまうのだそうだ。ガルヴァが自慢気に説明してくれた。学校の備品であってガルヴァのものではないのだけれど。

それが各教室に一本配置されている、わけではなく、授業の度に先生が持ち込むスタイルのようだ。高価なものだろうし、置いておくわけにはいかないのだろう。


記念すべき第一回目の授業は、算術。

よりにもよって、という感じである。うっかり眠ってしまわないようにしないと。




足し算から始まった退屈な算術を乗り切り、文字の書き取りを丁寧に行い、そして自分の中の精霊の力を感じ取るという飽きるほど屋敷で繰り返した訓練を終えて、昼休み。

なんとか眠気に耐えきった達成感と、これから毎日続くこの苦行に1年耐えきれるのかという不安が入り混じりつつ、目下の楽しみは友達とのランチ、である。

学園にはお弁当を持ってくることもできるが、食堂もある。学食なんて大学以来だ。アイラは家がレストランをしているらしく、昼食もお弁当を持ってきていたが、ティナとアレンは食堂で食べるということだったので、アイラには食堂でお弁当を広げてもらうことにして、私達は4人で食堂へと向かった。

既に人であふれかえったような状況だが、食堂は広い。まだ席には余裕があるように見えた。アイラ一人に席取りをさせるのも難だし、私達はそのままメニューを一緒に見るべく列に並ぶ。

食堂はバイキング方式だ。並べられた様々なメニューが乗ったお皿から好きなものを取っていき、最後に取ったものに応じてお金を払う。セットになったものよりも、細かく自分好みにおかずをとれるのでこれはありがたい。それほど好き嫌いがあるわけではないけれど、例えばサラダなら野菜の種類だけでなくドレッシングを選べるし、スープも数種類。きっと女子受けがいいと思う。


ブロッコリーのサラダと、ソテーした白身魚、それからコーンスープを選んで、トレイに載せる。アレンは育ち盛りの男子全開で、大きなハンバーグを選んでいた。そのトレイの上に、野菜は見えない。まあ、好きなものを食べればいいとは思うけど・・・


「アレン、野菜も・・・食べないと。

そんなだから、アレンは小さいままなの」


ティナの言葉に硬直するアレン。確かにアレンは他の男の子にくらべて背が低い。きっと気にしているのだろう、カットされたトマトを追加でトレイにのせている。その様子を見てアイラが笑いを堪え切れずに肩を震わせている。

ティナはおとなしいけど、物言いは結構はっきりばっさりしていて、こういう光景は既に何度か目にしていた。


会計を済ませて席につくと、午前の授業の話や他のクラスの噂話なんかをしながら賑やかに食事を終えた。

初日に友達を作ってよかったと思う瞬間である。


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