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非常口

作者: 鳳梨 月

 「非常口」。

非常の際は誰が使っても許されるもの。平等に命を守るために使えるもの。

様々な公共施設等に設置が義務付けられ、有事の際に生命の安全を確保するためにそこから脱出できる出口だ。

 私が、ここで言う、非常とは劇場で停電したとか、終電を逃したという類の非常ではない。

 天変地異の類の自信の生命の危機である。

 

 自身の生死の関係する場面においては、命の大切さや思いやり、モラルなどの綺麗事より、恐らく誰もが我が身大事という状況になる刹那が存在する。

 己が内の人間性のバランスが、その刹那での生死を分けるかもしれない。


 例えば、慈悲を持って1人に非常口への行く手を譲ったとする。悪く言えばヒーロー然としするその行為。しかし、その行為のために自分の足元で地が割れ、非常時に譲った他人が生き残り自分が死んだとする。果たしてその結果は、そんな非常時に他人に譲るからだという自業自得論か、それでも助けた人物の死の直前の心が救われたとする精神聖者論か。

 

 さらに、ここで私が主張したい刹那。

 誰でも利用できる非常口は、そこに貧富の格差による利権の絡んだ順序が発生してしまう時があるということだ。

「2012」という映画でも利権の上下のみで繰り広げられる醜い生存競争が描かれる。有力者や金にものを言わせた利己主義な者が下々を蔑んだ目で見下しながら、金や地位を利用して平等であるはずの非常口から我先にと脱出する。


 有史以来、人類は同種の中で優劣と上下、身分を付けてきた。1等席、2等席、3等や奴隷、使用人、下僕などという関係性を作ってきた人類は、非常口を前にしてもなお不平等だ。




「正義は勝つ」という真髄。それぞれの立場によって正義は変わるということ。







 剝き出しの人間性と人情と慈悲、自己保身。


 





 非常口の前で勝るのはどちらか。


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