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<3>

「にぃ...その人誰...」


今起こったことをありのまま話すぜ。

7時前ぐらいにようやく口を聞いてくれるようになってくれたノアとこれからの事を話してると、俺をおこしに来た妹が俺に抱き付いているノアを見て背後に鬼を出現させたんだ!


「雪さん...? え、えっとですね...」


どうする。この子は異世界から来ましたーそうなんだーで納得なんてしてもらえるわけがないし、下手な回答をしたら死ぬ...!

ここは慎重に、なさそうだがありそうなことを答えなければ...。


「...実は、この子は爺ちゃんの隠し――――」


「―――そう...で、誰」


「...」


oh...

しょうがない。多分信じてはもらえないだろうけど正直に話すか。


「ノア、ちょっとだけどいてくれないか?」


「分かった」


今から真剣に話すのに、ノアが膝上に乗ってるなんて全然真剣っぽさが足りないもんな。


「雪」


「ん...?」


「今から話すことは全部本当のことだから、何も言わず信じて聞いてくれ」



「...分かった」


真剣な顔で話す俺に、雪も何かを感じ取ったのだろう。それ以降何も言わなくなったので俺は話し始めることにした。


「実はな、昨日の夕方ごろに1年ほど俺は異世界へ行ってたみたいでな、この子はその異世界で出会った子なんだ」


言ってて思う。俺が聞く立場だったら何を言ってるんだこいつ...と。しかし、雪は何も言わないまま黙って続きを言えといわんばかりだった。


だがな――


「―――終わり」


悪いな雪。続きはないんだ。


「...そう」


しかし、雪は対して動揺もせず相変わらずの無表情で俺と目を合わせたままだ。ていうかなんか気まずい。

暫くの間沈黙が続き、遂に耐えられなくなった俺は口を開こうとすると、そこで一歩先に雪が口を開いた。


「...ホントは信じられない話、だけど今のにぃは嘘ついてなかったから...信じる」


「雪様ぁ...!」


きっと、雪じゃなかったらこんなバカげた話、何を言っても信じてはくれないだろう。まぁ、最終的には魔法使って嫌でも信じさせるんだけどね。


「...にぃがその異世界行ったのは信じる...その人と出会ったのも信じる...でも」


そこで一泊置いた後、


「なんで、その人がいるの...?」


と俺に詰め寄るように言ってきたので、どうせ嘘を言ってもばれるだろうと、魔法の事やノアの事を包み隠さず全て話した。


話し終えると、雪は暫く考える仕草を取った後、ノアの方を向くと、


「...よろしく」


とだけ言った。

ノアも何故か最初は雪を見て唸っていたが、全くの他人を、兄の俺が話した事を信じて、ここにいてもいいと言ってくれたその器の大きさに何か変わったのだろう。


「これからよろしくお願いします!」


ベッドから立ち上がると、元気な声でお辞儀した。


「んじゃあ、ノアにはこの世界のことを教えてやらないとな?」


時計の針が8時半過ぎを指していることを見た後、雪に確認を取る。


「...今日はしょうがない」


ズル休みキタコレ。


「何がしょうがないの?」


「それ含めて今から全部話すから一旦リビングに行こうか」


首を傾げるノアをリビングへ連れていき、俺たちの普段の生活や、学校の事を話す。終始ノアは驚きっぱなしだったが、外に出ればもっと驚くだろう。

俺は、雪とノアを連れて家を出た。


♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


「ここが俺と雪が通う学校の桜川学校だ。えっとさっき言った一週間の内に五日行かないといけないところな」


「凄く大きいんだね...」


目の前に広がる校舎を見て驚愕の表情を浮かべるノア。だがそれも無理はない。今まで通りかかった際に見た学校とは大きさが段違いなのだ。それもその筈。この桜川は中高一貫校で全校人数が三千人は超えるというマンモス校だからだ。


「にぃ、あまりここにいたら...」


「っとそうだな。公務員にでも見つかったらサボりってことがバレるしさっさと行くか」


そんなこんなで、一通り案内をし終え家に帰るころには日も落ちかけていた。

今日案内してみて思ったが二人とも美少女で、ノアに関しては銀髪でもあるのでとても目立ったため10回位ナンパされて困ったものだ。いやマジで。


どっと疲れが出たため、スーパーで買った食材をテーブルに置いた後、3人そろってソファへもたれ掛かる。


「雪...お前普段もあんななのか?」


「たまに...声はかけられる」


溜息が出た。ていうか心配だ。断っても必要に付きまとってくる奴らに当たったら、誘拐何て事もあり得る。


ノアはノアで、アニメで出てくるキャラクター並みの整った顔をしてるし...


...いやぁ!参った参った!

完全に俺主人公ポジションだわぁ!


「なら俺が守ってやらないとな!」


「でも...学校の帰りとかだから」


「大丈夫。確か異世界のアイテムでクラッシュラッカーってアイテムがだな...」


そうしてアイテムウィンドウを表示させる。

が、


+++++++++++++++

・????

・????

・????

・????

・????

・????

・????

・????

・????

+++++++++++++++


「うわぁ...これじゃどれがクラッシュラッカーか分かんねぇな」


目前に表示されたウィンドウを眺めながら呟くと、雪とノアが揃って首を傾げる。


「どうしたの...?」


「あぁ、いや、朝に説明したウィンドウってあるだろ?そこに表示されてるアイテムが全部ハテナになって何のアイテムか分からなくなってんだよ」


「異世界の影響だね」


ノアも目前でウィンドウを表示させたらしく、それを見て苦笑した。


「取り敢えず全部出してみるか」


そう言って、床にアイテムを片っ端から出していく。

目の前にポーションやら何やら色々と出てくる光景に、雪は大きく目を見開いた。


幸い魔物の素材等は持っていなかったので、俺は安堵の息を漏らしつつ、クラッシュラッカーを探す。


「えーっと...あ、あったあった」


アイテムの山から目当ての物を取り出した俺は、それを雪に渡した。


「...クラッカー?」


まぁそう思うよな。大きさ形がこの世界の祝い等で使われるクラッカーそのものだし。


「クラッカーっちゃクラッカー何だけど、これ凄いからな」


何せ火の術式を組み込んでいるので、クラッカーの紐を引いた瞬間に前方にいる人が十メートル位は飛ぶからな。

ま、異世界(あっち)ではゴブリン位にしか通用しないけど。


「今使ったらご近所さんに迷惑かかるからやんないけど、ナンパとかに会ったら是非使ってくれ」


「...分かった。ありがとう」


雪はクラッシュラッカーを仕舞い礼を言うと、キッチンの方へ歩き出した。

そろそろ夕時なので、夕食の準備をするのだろう。


「あ、俺も手伝おうか?」


「いい、にぃがすると変になる」


「......」


何も言えねぇ...


「...じゃあ風呂掃除してくるわ」


「ん...お願い」


今度料理覚えるか...。


そんな決意を胸に風呂掃除をする事十分。

掃除を終え、リビングへ戻るとノアが興味津々といった様子でテレビを見ていた。

何見てんだー?と言いながらテレビに目を向ける。

そこには、ゴスロリ少女が怪獣に魔法を撃つシーンが映っていた。


「レント!この子カッコいい!」


目をキラキラと輝かせて言ってくるノア。

そんなノアを見て、俺は安堵の息を漏らした。


「あぁ、そうだな。流石はルリハちゃん」


「ルリハって言うのこの子!」


「おう、この他にも三人の魔法少女がいるんだけど、ルリハちゃんが一番強いんだぜ?」


「ルリハちゃん凄いね!」


と、暫くアニメの話に花を咲かせていると、雪が夕飯を作り終わったのか俺達を呼んだので夕食となった。

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