表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者は他人の真似が上手なようです!  作者: 初心者P
第4章 成長 ~取り敢えずあの女は死刑な~
40/46

第36話 奪われた力

どうも、初心者Pです。


今回は力を失い、新たな力を得ます。


そんな話です。


では、第36話どうぞ~。

第36話 奪われた力


「俺、なんでここいるの?」

「それはユウトさんが死んだからですよー」


 そうか、俺死んだのか。なるほど、分かりやすくてシンプルな答えだ。ふーん……あれ?俺、死んだの?


「そ、それってつまり死んだのか!?」

「はいー、死にましたねー」

「そ、それじゃあ俺の物語はここで終わり!?」

「終わりですねー」

「ガッデム!」


 なってこった。ファルドを庇って刺されたら見事に昇天?笑えねぇよ。いや、でももしかしたらドッキリという可能性も……

 それはないか。だって、この空間にいて目の前にフローリアがいる時点で死んだのは確定だ。もう現実逃避するやる気すら起きない。


「それで、やっぱり俺に?」

「用がありますー」

「その用ってのは?」

「ユウトさんにチャンスをあげちゃうっていうことをー、伝えにきたんですー」

「チャンス?」

「はいー」

「その、チャンスってどんな?」

「生き返るチャンスです」

「……マジ?」

「マジですよー」


 ふむ、生き返るチャンスとな。ここは大きな声を上げて喜ぶところなんだろうが、俺には分かっている。きっと、生き返るにはいくつかの試練を—————なんて、お決まりのセリフを吐かれるに違いない。


「そんなことないですよー」


 そんなことはないらしい。どうやら、試練ではなく寿命が短くなるとか、その辺りだろう。だが、それだけで生き返るチャンスをもらえるならありがたいことだ。


「寿命は短くなりませんねー」


 どうやらこれも違うらしい。だったら、何もせずに生き返るチャンスをもらえるというのか?それはとてもありがたい……いや、タダより怖いものはないと、どっかの誰かが言っていたような気がする。


「タダじゃないですねー」

「さっきから人の心を読まないでもらえます!?」

「えー。でもー、聞こえてきちゃいますから、仕方ないですよー」

「それじゃあ、仕方ないか」

「ですねー」

「あはははは」

「うふふふふ」


 しかしこの女神、ニコニコである。

 俺と会話し始めてから今まで、一切表情を崩さない。それどころか、俺が質問するたびに笑みがより深まっているような。

 いや、質問している時だけでなく、俺がしゃべればしゃべるほどに……どういうことだ?


「あの~」

「はい~」

「なんでそんなにニコニコしてるんですか?」

「も~、だからユウトさんはニブチンさんだと言ってるんです!」

「えぇ!?」


 ニブチンさんとは、これまた懐かしい。俺が初めてフローリアと出会った時にも言われた言葉だ。

 しかし、まさか再び死んでもニブチンと言われるとは思わなかった。どうしてだ?あの時は確か……そうだ!俺に一目惚れしてることに気が付かなくて……


「あぁ!なるほど!」

「分かりました?」

「フローリアって俺にひっとめぼれ……うぅ」

「ユウトさん、お顔真っ赤ですけど、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫だ。問題ない」


 自分で言ってて恥かしくなってきた。こういうことは、自分で言うんじゃなくて本人に言ってもらうのがいいだろう。うん、恥かしいよ。

 さて、話を戻そう。あまりの羞恥に頭の整理が出来た。どうやら、俺は死んでしまった。死因はサザリー。チクショウ!あの女、マジで死刑だからな!!

 それで、死んだあとに再びフローリアの元へ来た。そこで、生き返るチャンスがもらえると言う話を聞いた。


「そして、その生き返るチャンスをもらえる代償は!?」

「ユウトさんの目です」

「俺の目?」

「はい。ユウトさんの目は現在、右目しかありません。しかし、それで十分です」

「え?そ、それって俺に視力を失えと!?」


 おいおい、冗談キツイぜ!それだと生き返っても結局戦えないじゃないか!ただでさえ左目を失って視力半減してるのに、両目取られたらもう無理だよ!?俺、戦力外になっちゃうよ!?


「いえ、視力ではなりません。あなたには、視力以外にも持っているものがあるでしょ?」

「視力以外?……まさか」

「はい。あなたの持っているその、コピー眼(・・・・)をいただきます。そうすれば、生き返らせてあげましょう」


 コピー眼を、失う?俺の最大の力にして、最強の切り札を失う?つまり、もうコピーの能力も使えないし、一度見たことを記憶する力も、ズーム機能も使えないってことか?

 それって、生き返った後どうやってサザリーと戦えっていうんだ。それ以前に、あのシルバーナイトとどうやって渡り合えばいい!


「それは、出来ない。他に、他にないのか!コピー眼意外に!!」

「ありません。それは、あなたの命と同等の価値があるもの。だから、それを差し出せば生き返れるのです。しかし、それ以外はあなたの命よりも価値が低い。言い方は悪くなってしまいますけどね」

「なんだよそれ……」


 真面目モードのフローリアの言葉だ。嘘偽りのない、真実なのだろう。だからこそ、認めたくなかった。俺の命の代わりになるものが、コピー眼しかないことが。

 しかし、生き返らねばなにも為せない。ここに一生いることは出来ない。サザリーをぶっ飛ばさなきゃ気が済まない。

 それに、ありがたいことに俺を待ってくれている人達がいる。そいつらを悲しませることは、出来ないな。


「そっか。なら、差し出すよ。俺のコピー眼を」

「分かりました。それでは、コピー眼、返してもらいます」


 その言葉の直後に来る右目の違和感。これはあれだ……あの時味わったのと同じ感覚だ。つまりは、目潰しだ。


「うぎゃぁぁぁぁぁ」


 俺は右目を抑えて悶え苦しむ。目潰しなんて人生でそう何度も経験することじゃないと思ったが、これで目を抉られたのを加えて3回だ。

 そう考えると、俺って結構凄い奴だな。目潰し2回に、目を抉られること1回。うん、痛い経験結構してるな。


「……おぉ、痛みが治まった。それに、普通に見えるな」

「当り前です。女神の目潰しですよ。痛みなんて、直ぐに消えてなくなります」

「そこは痛みなんてない、の方がありがたいな」

「そんな我が儘は私が許しません」

「ははは、そっか」


 これで、完全にコピー眼を失った。それどころか、左目自体も失っている。何度も考えているが、どうしても気になるな。

 左目をえぐり取られたんだ。きっと傷口は酷いことになってるだろう。生まれて初めてだ。自分の顔が見たくないなんて思ったのは。


「そうだ、フローリア。1つ助言をいただきたい」

「はい?なんですかー?」

「サザリーとの戦い。どうすれば勝てるかな。俺には、何も思いつかないんだ」

「そうですねー。だったら—————」


 そこから、女神の本気を垣間見た。フローリアがいくつも出す案はどれも素晴らしく、可能性に満ち溢れていた。

 しかし、その全ての案の最後にこう言うのだ。「コピー眼があれば……」ってな。


「結局はコピー眼かよ。チクショウ」

「スイマセン。私の考えた案は全て、コピー眼をもとにしてましたので」

「……それじゃあ、仕方ないか」

「はい……」


 コピー眼のことをいくら引きずってもしょうがねぇ。ここは、頭を1回空っぽにしよう。そして、考えるのはただ1つ。サザリーに勝つこと。

 フローリアが教えてくれた案は、全て予め考えておいてくれたものだ。つまり、俺のために考えてくれていた。その期待に応えるためにも、コピー眼に頼らず勝つ方法考える。


「……質問を変えよう」

「はい?」

「あの世界に、サザリーの能力を消す、もしくは妨害するような何かはないか。例えば、魔眼とか!」

「魔眼?……あぁ、あります!」

「本当か!それは、一体どんな」

「この魔眼の能力は、無力化です。相手の力を全て使えなくします」

「それって、どんだけ強い能力を持った敵も一般ピーポーに変えることが出来るってことか!?」

「はい!でも、これには制限時間があります」

「3分?」

「いえ、5分です」


 良かった。3分だったら俺、ウル○ラ○ンになるのと同じになってしまうところだった。危ない、偉い人に怒られるところだった。


「その魔眼、俺に左目に埋め込めるかな?」

「出来ると思いますよー」

「よっしゃ!それ、今すぐできる?」

「埋め込むことはできます。しかし、力を使いこなせるようになるのは早くて1年。もし、無理やり使おうとすれば、魔眼が潰れます」

「分かった。気を付けるよ」

「本当ですか?」

「あぁ、本当さ!」

「……分かりました。ユウトさんを信じましょう。では!」


ズブッ、グリグリ、グチョッ


「痛い!イタタタタ!!うぎゃぁぁぁぁぁ!!!」


 抉り取られた左目の跡地をひたすら荒らされた後、指を引き抜かれた。これ、目潰しよりもタチ悪いぞ。痛すぎる。

 ん?あれ、左目跡地に違和感が。何かある……というか、左目に視界が戻ってる!


「これで移植は出来ました。くれぐれも無茶はしないように!分かりましたね」

「あぁ!分かっている。でも、どうして魔眼なんて簡単にくれたんだ?」

「本当にニブチンさんですねー。それは、惚れた弱みってやつですよー」

「お、おぉ……そ、そうか」


 フローリアが頬を膨らませて起こっている。だが、その表情も可愛いな。怒っている顔も可愛いよ、なんてセリフもあるが、俺にはその言葉の意味を今理解したような気がする。


「どんな理由だとしても、感謝しているよ。フローリア」

「どういたしまして。さぁ、あなたを待っている人がいるのでしょう?早く行きなさい」

「本当にありがとう。また、来るよ」

「そんなこと言っちゃいけません。次来るのは、ずっと先でも大丈夫です。ずっと、待ってますから」


 フローリアのその言葉を最後に、目の前が真っ白になった。

 ずっと待ってる。そう言ってくれたフローリアのためにも、そして俺を信じてくれたノラ達のためにも次こそ勝つ!この新しい力で!

無力の魔眼!


なんか、魔眼が無力な感じが……。


そんなことよりも!次回はもっと力を。


お楽しみに~。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ