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転生者は他人の真似が上手なようです!  作者: 初心者P
第3章 王都 ~俺は英雄になりたくない!~
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第28話 愛されたい息子と愛したい母

どうも、徹夜続きの初心者Pです。


眠いので手短に……今回は王女の気持ちを聞きます。


では、第28話どうぞ~。

第28話 愛されたい息子と愛したい母


 翌日、目が覚めたら隣にニアがいた。この隣というのは、隣のベットということではなく俺の隣、つまりは俺のベットにいたということだ。何故に俺のベットに?とは思ったが、取り敢えず起きようとした。

 しかも、俺の体にしっかりとしがみ付いているため起きられない。というかこれ、起きてるのか?俺が動かそうとするたび、逃げるように体を動かすんだが。


「おい、ニア起きてくれ。今日も出掛けるから、頼むから起きてくれよ~」

「ん~……ん?」


 声を掛けたら反応はしてくれた。しかし、起きる気配なし。それにしても、どうして初日がニアなのか……。これは、俺の運が悪いのかニアの運がいいのか。一体どっちなんだろうか。

 そんなことよりも、早くニアを起こさないと今日1日この状態だ。それは非常に困る。だが、声を掛けただけでは起きない。ここは……恥ずかしいけど。


「ニア、起きて」

「ん~……」

「起きてくれたらニアのしてほしいこと何でも(・・・)してあげるよ?」

「起きた」

「(はえ~)」


 俺がニアに何でもしてあげると言うと、ニアは飛び起きて俺の前に正座した。目がキラキラいているし、過去最高の寝起き良さかもしれない。苦笑いしかでない。

 何はともあれニアが起きたので、俺は支度を済ませる。その間、ニアは俺のベットの上で正座をし続けている。何がお前をそこまでさせるんだ……。


「そういえば、俺の部屋に来る日程的なものは決まったのか?」

「決まった。私、ノラ、ミリアの順」

「なるほど。で、余った1日はどうなったんだ?」

「3人で来ることにした」

「……ナンダッテ?」

「3人で、来ることに、した」


 そうなると、3人が俺のベットに潜り込んでくるのか?ベットが狭くなるな。じゃなくて!今気にしなければならないのはそこじゃない。

 まさか、こんなことになるなんて……予想を遥かに上回っている。そこまでお互い譲り合わなかったのかよ。なんで、なんで譲り合いの精神がないの?そんなに、来たかったの?お兄さんには分からないよ。

 俺は考えるのをやめてさっさと出掛けることにした。


「ニア、寝癖を直して朝食を3人で食べておけよ。俺はちょっとやることがあるから今から出掛ける」

「ユウト様」

「何?」

「何でするって言った」

「今すぐ、なんて言ってないよ。それじゃ、いってきま~す」

「……ずるい」


 ニアが頬を膨らませて怒っているが、本当に俺にはやらなきゃいけないことがあったのでそそくさと部屋を出た。

 今日やるべきこと、それは王女に話を聞く。これが王子の悩みを解決する一番の近道だろう。だが、そう簡単に王女には会えない。だから、こうやって朝早く城に向かっているのだ。


 朝なら、きっと王女も暇だろ?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「さて、城には着いたが城門が開いてない」


 予想はしていたが、やはり朝早すぎると門は当然閉まっている。そのため、城の中に入ることが出来ない。これじゃ、王女に話を聞くどころか会えないな。

 だが、幸いなことに警備の兵が少ない。というか、門の前には立っていない。気配で分かるのは3人程度。ここまで警備兵がいないと、この国大丈夫かと思ってしまうが好都合。


「門……邪魔だな。ぶち破るか?」


 正直ワンパンチで門は破壊できると確信していた。しかし、そんなことをやればこの国に俺の居場所がなくなってしまう。冗談でもこれは出来ない。

 となると、門を飛び越えて行くしかないのか?だが、城を囲む城壁もそれなりに高いぞ。たとえ上まで届いても、警備兵にばれないだろうか。


「面倒くさいな。ここは、あの手でいこうかな」


 俺は門の前まで行き、そこで息を大きく吸った。そして、大きな声で「すいませーん」と叫ぶ。すると、警備兵が何事かと俺のところまで駆け寄ってきた。

 ここまで計画通り。ここから俺の腕の見せ所だ。もちろん策はある。なければこんなことはしない。ちなみに、暴力的なことじゃないぞ。勘違いするな。


「き、君!こんな明け方に何をしているんだ!」

「どうも、俺ユウトって言います。一応、この国の英雄なんすけど」

「英雄?何を馬鹿なこと……そ、その剣は近衛隊長の!?」

「はい。もらいました」

「まさか……それが本当なら」

「実は王女に会いたいんですよ。あ、これは王子から黙ってろって言われてるんで、誰にも言っちゃダメですからね?」

「王子直々に!?」

「えぇ、入れてもらえませんかね?」

「お、お待ちください!直ちに門を開きますので!」


 チョロいね。悪いことしてる気分だけど、この際どうでもいいか。実際、王子からの依頼みたいなもんだし、問題はないだろう。いざとなったらジュダックに力を借りればいいしね。

 俺が内心ほくそ笑んでいると、門がゆっくりと開き始めた。そして、さっきの警備兵が帰ってきて敬礼をしてきた。


「どうぞ、お通りください!」

「ありがとう」


 さてと、城に入ることはできた。しかし、王女の居る部屋ってどこだ?王子の部屋は分かるけど、王子に聞くわけにもいかないしなぁ。王子に話したら絶対付いて来るもんね。それじゃ、結果によっては大参事で、目も当てられないよ。

 となると、仕方ないからメイドさんに聞いてみようか。王子の話だと、王女の部屋には近づけないようになっているらしいし、聞けば忠告されるだろう。そこから導き出す。


 俺はそう計画を立てた。しかし、問題発生。なんと、メイドさんが全くと言っていいほどいないのだ。城内を警備兵に見つからないよう、【気配察知】をうまく使って慎重に歩いているのだが見当たらない。

 いきなりの問題にどう対処すればいいのか。メイドさんがいないのなら、他に誰に聞こうか。あ、そういえば警備兵がいるのならジュダックもいるのでは?


「そうと決まれば探してみますか」


 そして俺はあるスキルを使おうとして気が付いてしまった。己の愚かさに。俺がジュダックを探そうとしたときに使おうとしたのは【探索】だ。もう、お分かりいただけただろう。王女、これで探せばよくね?

 今さっきのことはすべて忘れよう。うん、そうしよう。さぁ、王女を探すぞ~。


「王女、探索」


 涙を拭いながらスキルを使用し王女を探す。そして見つけた。距離、2メートル。場所は……後ろ!

 バッと振り向くとそこには上品に装飾された扉があり、ここはいかにも偉い人がいますよといった雰囲気が出ていた。


「ここか」


 俺は何事もなかったかのように扉の中の気配を探る。中に人が2人、その内1人が王女だということは分かる。しかし、もう1人は誰だ?王子、はあり得ない。じゃあ、王様?いや、王様が王女の部屋にくる理由なんて……もしかして、朝チュンですか?

 ええい、考えても仕方ない。この際誰もいいが、王女が1人になってもらわないよ困るな。だが、その人物が部屋を出る気配はない。


「……ま、いっか」


 王女が居れば別になんでもいいという結論に至ったので、俺は迷わず扉をノックした。すると、女性の声がし扉が開く。

 出て来たのはメイド服姿の若い女性だった。若いと言うが、俺と歳がほとんど離れていないくらいの見た目だ。


「だ、誰ですか?」

「どうも、王女様に会いたいのですがいいですか?」

「そ、そんなの無理に決まっています!無礼ですよ!」

「まあまあ、そんな怒らないでくださいよ。王子の依頼で来てるのですから」

「トリナが……?」


 俺が王子と言った時、部屋の中から別の女性の声が聞こえた。その声はどこか掠れていて、今にも消えてしまいそうという印象受けた。

 部屋の中を覗き込むようにして声の主を探すと、豪華なベット上で横になっている女性—————王女の姿があった。


「はい、王子です。お話、いいですか?」

「だ、だからダメだと—————」

「いいわ。入って」

「王女様!?」

「失礼します」

「あ、ちょ……」


 慌てふためくメイドさんを無視して部屋に入る。やはり王女の部屋は豪華で、細部まで装飾の施された家具が立ち並んでいた。どれも高そうというイメージしか湧かない。

 家具ばかり見ているとベットの上の王女に手招きされ、ベットの横にある椅子に座らされた。


「それで、トリナの依頼と言っていたけれど、あれはどういう意味かしら?」

「それは、王子に母様から嫌われているから好きになってほしいと相談を受けたのです」

「トリナが……そんなことを?」

「はい。これは紛れもない事実です。王子から嫌われたと思った時のことも聞きました。ですが、これだけだと王子の勘違いかもしれない。そう思い、今日王女様に直接話を伺いに来たのです」

「……事情は分かりました。それで、何を聞きたいのですか?」


 表情をまったく変えない王女を怪しがりながら俺は質問をした。内容は王子をどう思っているか、王子のことは好きかという直接的なものだ。

 こういうのはド直球でいったほうが案外早いし、手軽なものだ。と、俺は思っていたが王女は予想外の反応を見せた。


「お答えできません」


 これしか言わないのだ。何を質問しても「お答えできません」だ。朝ごはんは食べました?なんてアホな室もんでも「お答えできません」と言われて終了。試しに名前を聞いてみても「お答えできません」って言われた。ここまでくるとロボットと話をしてるみたいだ。

 軽く王女と話した……いや、一方的に質問をしたが成果ナシ。だが、王女の反応は怪しいものばかりだった。特に、王子の話になると答えるのをためらうのだ。一瞬間が開いて、お決まりのあの言葉を言う。


「王女様、あなたは本当に王子の事が嫌いなのですか?」

「…お答えできません」

「そうですか。では王子には、お前は嫌われていた。もうどうしようもない、と言っておきますね」

「ッ……」


 俺の言葉に王女が自分の下唇を噛み締めるが見えた。一瞬のことだったし、見間違いかもしれない。だけど、これが見間違いじゃないのなら大事な証拠だ。王子が嫌われていなということを証明する。


「今、下唇を噛みましたね?」

「お、お答えできません」

「おや、言葉がつっかえましたね。図星ですか?」

「……お答えできません」

「つまり否定はしないと」

「……」

「なるほど、分かりました。あくまでも話してはくれないのですね」

「……話せるわけないじゃない」

「え?」

「私みたいのがあの子を愛してるなんて言えるわけないじゃない!!」


 それは叫び、あるいは嘆きのような言葉だった。今まで内に秘めていた苦しみを全て吐き出したような。苦しくて、悔しくて、でも言えない。そんな思いを半ば八つ当たり気味に叫んだ。

 王女の叫びに驚いたのは俺だけじゃない。さっきから聞き耳を立てていたメイドさんもだった。だが、メイドさんはビックリというより、信じられないといった顔をしている。


「話してくれますか?」

「……あの子は……トリナは私の子じゃないの」

「(そういうパターンか……)」

「トリナは捨て子だった。それを私が拾い、育てた。でも、やっぱり血が繋がってないのはいつかバレる。だから、トリナを王にさせるために育てた。とても優秀で、聡明な王に」

「そうすれば、王子に王家の血が流れてなかったとしても、もしかしたら王子は何もされないかもしれない。それ程聡明な王だとしたら、血が繋がってないという理由だけでは揺るがぬ地位になっているでしょうしね」

「そうよ。あなたの言う通り、私もそう思った。だから、毎日厳しく、たとえあの子に嫌われたとしても……」


 なるほど、理由は分かった。だが、あまりにもそれは危ない橋ではないか?母に嫌われたと思って生きてきて、本当は血が繋がってなかったと知ったら王子はなんて思う。だから嫌われたと思うんじゃないか?そんな自分を許せるのだろうか。あんなに母を愛し、愛されたいと思っていた王子が……。

 気付けば王女の目からは涙がこぼれていた。きっと、今まで誰にも話してこなかったのだろう。それが、王子の気持ちを知って話したくなってしまった。吐き出したくなってしまった。そして、話てから後悔しているのだ。王女としてではなく、母として。


「再び問います。王女様、王子……いえ、息子のことは好きですか?」

「……お答え——————」

「答えられないはずがない!今、あなたは言った。愛せるわけないと。あなたの本当の気持ちはなんだ!!」

「ッ……」

「血が繋がってないとか関係ない。王女の息子は王子、そして次の王だ!血によって王子を差別しているのは、あなたじゃないのか!」

「わ、私が……あの子を?そんな……違う」

「だったら言ってみろ。言葉にしてみろよ!」

「愛してるわ!当たり前じゃない!私はあの子の母親よ!?母親が息子のことを愛してないわけないじゃない!!!」


 王女は涙を流しながらも俺を睨みつけながらそう言った。まるで、子を守る親の眼力だ。いや、親なのだ。王女とかそんなことは関係なく、この人は母親だった。血が繋がっていない息子を本気で愛せる。素晴らしい、母親だ。

 そして言わせたぞ、愛していると。王子の望んだ展開だ。ここに王子がいないのが残念だが、まぁいいだろう。これから王子にこれを聞かせればいい。王女はもはや隠す気はないだろう。さて、これで解決。案外早かったな。


 この時、俺は完全に解決したと勘違いしていた。俺たちがこうしている間にも、闇が確実に近付いていることに気が付けなかった。

1週間の内、毎日美少女と一緒に寝られるとか……ユウト死すべし慈悲はない。


次回はちょっと残念な話です。私、悲しめの話書くのニガテ。


お楽しみに~。

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