第23話 無双
どうも、現在絶賛執筆中の初心者Pです。
今回はとても短くなってしまいました。それと、残酷な表現&主人公がちょっと壊れます。
それでも大丈夫な方は、第23話どうぞ~。
第23話 無双
「はぁ……はぁ……」
あれから一体どれだけの時間が経っただろうか。気分的には丸1日戦いっぱなしだ。しかし、どれだけ斬って捨てても数が減ったようには見えない。
それどころか、増えているような錯覚に陥る。ここまでくると、精神的ダメージの方が大きいのかもしれない。
「グルアァ!」
「薙ぎ払い!」
「グギャウ!?」
飛び掛かってくるウルフには薙ぎ払いで対応。グリズリーは攻撃を避け、隙を見て斬り捨てる。スライムは魔法でドカン。そして、一番の強敵はゴブリンだった。
何故、ゴブリンが強敵なのか。さっきまでなんの脅威にもならなかったと言っていたじゃないか。そう思うかもしれない。だが、あれは単体だったからだ。
集団となったこいつらは連携してくるし、自己犠牲もいとわない。ただ、俺を殺そうと本能で襲い掛かってくる。他の魔物と違って工夫をしてくるか余計に厄介だ。
「チク……ショウ」
そんな相手と戦っていれば気力、体力、どちらも既に限界寸前。ポーションなんて持ってきてないし、あったとしても変わらないだろう。
だって、この数相手に1人は辛すぎる。というか、パーティーで来ても全滅レベルでヤバイぞこのモンスターハウス。
「ガァ!」
「うわっ、くそ!」
「グルア!」
「おらぁ!」
「ガァァァ!!」
「押し刺し!!」
こんなことをひたすら繰り返している。単純作業に見えるが、常に気を張っていて体を動かしている。これだけもう疲労困憊だ。
もうやめたい。こんなこと、どうしてここまでして続けなきゃいけないんだ。そんな義務があるのか?俺は別に世界を救うとか、そんな使命ないってのに……。
俺は完全に諦めようと思った時にふと、頭にある言葉が浮かんだ。この時どうしてこの言葉が頭に浮かんだかは分からない。けど、この言葉に救われたのは確かだった。
「ステータス表示」
名前:ユウト
種族:人族
職業:剣士・上級
LV:30
HP:98万8650/103万
MP:4万7995/4万8000
筋力:1030
防御:1000
器用:1120
俊敏:1200
知恵:960
運 :830
スキル
【片手剣・上級】
【剣術・上級】
【槍術・中級】
【竜殺し】
【見切り】
【威圧】
【闘気】
【覇気】
【強者の余裕】
【料理】
【略式詠唱】
【礼節】
【商人】
【調教】
【探索】
【危険察知】
ユニークスキル
【空間把握】
魔法
【火魔法・初級】
【氷魔法・中級】
あれ、結構強くなってる?というか、ここまで強いのにどうしてこの程度の魔物に追い詰められてるんだ?俺は。どうして、こんなにもイライラするんだ?
「グルル」
「グギャ!」
「グルガァ!」
「グギャ!」
「ガアァ!」
まだ数多く残っている魔物たちが棒立ちしている俺に威嚇してきている。それを見てるだけでイラっとする。何故、ここまで強くなっているのにこんなにボロボロにならなきゃいけないのか。そう考えると無性に腹が立ってくる。
俺は必死に威嚇してきている魔物たちに向かって【闘気】と【覇気】を混ぜ合わせた混合気をぶつけながら一言「黙れ」と言った。
すると、さっきまで騒がしかった空間がとたんにシーンと物音1つしない静かなものへと変わった。
「お前ら、覚悟はできてるよな?」
俺は怒気を孕んだ声でそう呟いた。その途端、近くにいた魔物たちがバタバタ倒れ始めた。
どうやら、混合気に【威圧】が加わったことで、さらに威力が上がったらしい。倒れた魔物は絶命しているか、虫の息だ。
「さぁ、ベレルを上げよう」
どの魔物も襲ってこない。ただただ、そこで立っているだけ。息をするだけでも精一杯といったところか。そんな相手すら容赦はしない。俺はレベルを上げたいんだ。
ゆっくりと魔物に近付いて行く。だが、魔物は逃げ出すことも動くこともできない。だた、立っているだけ。そして、俺はそんな魔物に向けて無慈悲に剣を振り下ろした。
魔物を倒し、また近付き倒しの連続。そんな作業を繰り返した、いつの間にか俺の体は魔物の返り血で真っ赤に染まってしまっていた。
この日、モンスターハウスで血の雨が降った。
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「ふ~、スッキリしたぁ」
俺は血でできた池の真ん中でそう呟いた。どれだけの魔物を斬り殺しただろうか。ついさっきのことなのに、覚えていない。いや、覚えられないほどの数だったのだ。
そこらじゅうに肉片や血、魔物だったもの達がゴロゴロ転がっている。俺はそれらを避けるでもなく、踏み潰して歩いて行った。
勘違いしないでほしいのは、避けないんじゃなく避けられないくらいギッシリなのだ。真っ赤な絨毯が思い浮かぶほど、そこらじゅうが肉片だらけ。足の置き場もない。
「これ、帰れるかなぁ」
俺は落ちて来た穴を見ながら考えた。この穴を登れば、あの場所まで帰れるかもしれない。だが、登れる保証もないし、なによりどれくらい上るか分からない。終わりの見えないマラソンみたいなことはしたくない。
となると、このダンジョンの正規ルートに行って戻るしかない。面倒くさいが、これが一番ベストな方法だろう。
俺はモンスターハウスだった場所の唯一の出入り口から出て、そこから一本道を歩いた。すると、途中で二手に分かれる分かれ道までたどり着いた。
「う~ん、どっちだろうか。ここはクラ○カ理論で右か?いや、でもここまで来た人からすると右はあっちで左がこうで……分からん!」
考えれば考えるだけ混乱する。ここは何も考えずに、右に行こう。もし間違ってたら引き返せばいいしな。
安易な考えだが、俺は進み続けた。そして、じばらく歩き続けた先に光が見えた。外か!?と思ったが、どうやら誰かがつけた焚き火のようだった。
ん?焚き火?ここには誰も近寄らないはずじゃ……。
「グギャギャ!」
俺の考えの答え合わせをするかのように現れたそいつは、俺がモンスターハウスに落ちる原因を作った特殊なゴブリンだった。
俺は復讐のチャンス!と思い思いっきり踏み込み剣を抜きながら突っ込んだ。そして、一閃突きで奇襲を仕掛けた。
「グギャァ!?」
しかし、特殊なゴブリンは驚きはしたもののあっさりと避けられてしまった。しかも、前回同様にすぐさま反撃してきたのだ。
後ろから背中を狙って斬りかかってくる。俺にはそう分かった。何故ならこいつの動きは既に1回見ている。
「お前のその奇襲に対応できる原理は、ユニークスキルの【空間把握】……だろ?」
俺はゴブリンの剣を弾き腕を掴んだ。そして、真上に思いっきり投げ天井に叩き付ける。そして、血を吐きながら落ちて来たゴブリン目がけて真上に一閃突きを放った。
空中ならば避けることはできない。剣はゴブリンの喉を貫通し、頭と胴体が分かれてしまった。
「リベンジ成功。やってやったぜ!」
俺はその場でガッツポーズをし、喜びを体現した。だが、まだ本当に喜ぶには早い。本当に喜ぶのは、このダンジョンを出てからだ。
そう思い、俺はまた歩みを進めた。
その後、近付いて来る魔物は気だけで倒し歩みを止めずにひたすら進んだ。そして……
「外だ……帰ってきたぞーー!!」
魔物の返り血で全身真っ赤染まり、刃こぼれだかれでもはや鉄屑の剣を持ったユウト。
無事、生還。
なんか、グロかったですね。自分で書いてて「うわぁ」ってなりました。
次回は強い力を持ったユウトが悩みます。
お楽しみに~。




