第19話 おや、ミリアの様子が…
どうも、書き出すと止まらない初心者Pです。
今回はニアとミリアが主体となって話が進みます。
この章も残すところ、この話を含めて2話。それも、次回はおまけ短編となります。
では、第19話どうぞ~。
第19話 おや、ミリアの様子が…
目が覚めた。ドラゴンとの戦いで気絶してしまったようだが、ここはどこだろう。見たところ、俺が使わせてもらっている村長宅の部屋みたいだが……。
俺は体の痛みに耐えながらゆっくりと体を起こす。すると、隣に違和感を感じた。
「ま、まさか……」
正直見たくはなかったが、確認しなければならない。俺は意を決してかかっている毛布を取り除いた。
そこにいたのは……ニアちゃんでした。
「やっぱり。おーい、ニアちゃーん。起きてー」
「んー……あ、ユウト様」
俺が揺さぶるとニアちゃんはすぐ起きてくれた。良かったと思った矢先、いきなり抱き着かれる。驚きはしたが、ニアちゃんが小さく震えているのを感じ頭を撫でてあげることにした。
頭を撫でられ少し落ち着いたのか俺から顔を離し小さな声で呟き始めた。
「怖かった……ユウト様が起きないじゃないかって」
「そうか?俺はそんなに弱くないから大丈夫だと言った気がするだけど」
「それでも!嫌な予感がしたから。ユウト様が死んじゃうんじゃないかって……」
ニアに言われてドキリとした。もし、あの場に俺しかいなかったら一体どうなっていだろうか。ドラゴンの炎に焼かれていたのかもしれない。いや、間違いなくそうなっていただろう。あの時ジーンが助けに入ってくれなければ、俺は……。
だ、ダメだ!こんなことを考えてはブルーになってしまう。あれはジーンのおかげだった。それは変わらない。だから、もっと俺は強くなりたい。誰かに助けられるだけじゃない。誰かを助けられるように。
「でも、俺は今ここにいる。大丈夫。これからも、ニアちゃんの前からいなくなったりしないから」
「……ホント?」
「あぁ、ホントホント」
「……ん、分かった。なら、信じる」
よし、何とか納得してもらえたな。なんだか、この子にはいつも必死に説得している気がする。まぁ、それも今だけだし、問題はないだろう。
ん?今だけ?本当にそうなのかな。こんなことが前回にもあった気がする。添い寝からの抱き着き、そして慰め……そしてこう言われるんだよな。
「いやぁ、お邪魔しました」
「そうそうそれ……って、村長!?」
「はっはっは、いいんですいいです。そのまま続けて」
「く、デジャブとはこれか!違う、違うからなぁ!!」
この後、村長に二度目の説明をするも信じてもらえなかった。いや、あれは分かっていて分からないフリをしているに違いない。あの村長はちょっとおかしいからな。子供に変な知識植え付けるおじいちゃんだ。そうに違いない。
まったく、せっかくゆっくり休めると思ったのに全然体を休められない。
村長への説明を諦めた俺は村長宅から逃げるように出た。少し気分転換に散歩でもしようかな…なんて思ってたら道行く村人握手を求められひたすら絶賛された。
だから、俺を休ませてくれー!!
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あれからもう1時間経ったんじゃないか?やっと村人たちが帰っていった。俺はため息をこぼしながら村長宅に行こうとした。すると、そこにジーンが来た。
「よう、人気者さん」
「うるせぇ、お前が押し付けたんだろ」
「ははっ、そうだな。悪い悪い。そう怒らないでくれ」
「はぁ……とにかく、早く街に帰って報告しに行くぞ」
「そうだな」
俺はジーンと共に村長宅へと帰った。そして、丁度二人でいた村長とニアちゃんに街へ帰ることをは離した。すると、村長がニアちゃんに何かを耳打ちしニアちゃんはコクリと小さくうなずいた。そして、そのまま俺の元へと小走りで近寄ってきた。
また、嫌な予感がする。これ、なんてデジャブ?昨日今日でデジャブ来過ぎじゃない?もう帰れよ!デジャブ実家に帰れよぉ!
「ユウト様、私を連れて行ってください」
「……何で」
「一緒に居たいから」
「……間に合ってます」
「?間に合ってるって、どういうこと?」
あれ、急にニアちゃんの雰囲気が怖くなったような。ハッ、背後に般若が見える!こいつ、まさかミリアと同等…いやそれ以上怒っているというのか!
って、馬鹿みたいな分析してないで対策をしなくては。このままではあの殺人アイアンクローを再び食らいそうだ。
「え、えっとね。間に合ってるっていうのは、別に必要ないって意味でね?ニアちゃん以外に一緒に居たい人がいるとかそういう意味じゃないんだ」
「……ん、それならいい」
般若が消えていく。なんとかニアちゃんの怒りを収めることに成功したらしい。ったく、女神から力をもらって数日でC級まで上り詰めた俺が、女の子一人にたじたじとは……やっぱり、女の子つおい。
「でも、諦めない。連れてって」
「敬語消えてない?というか、一緒に居たいってどゆこと」
「言ったはず。ニアがユウト様の幼づ「ちょっと待ったぁ!!」…ん?」
「そのことは忘れてくれないかな?勘違いされちゃうから」
「?」
「おいユウト。今さっき幼いとか聞こえた気がs――」
ドサリ
俺はジーンが勘付く前に峰打ちで黙らせた。俺よりも強いこいつに効くか分からなかったが、本気でやれば人間なんでも出来るんだな。
そんなことよりも、さっきから村長のニヤケ顔がムカつくんですけど。ぶん殴りたいんですけど!
「ニアちゃん、あのね?俺は別に意地悪で言ってるんじゃなくてニアちゃんのために言ってるんだろ?」
「……ニア」
「え?」
「ニアって、呼んで」
「……ニア、分かったかい?」
「ん、分かった」
「それは良かっt「でも諦めない。連れって」……」
この子、ホントにミリアに似ている気がする。なんていうか、冷静で物事を遠くから見てる目とか、頑なに自分の意見を曲げないところとかそっくりだ。もしかして、ニアとミリアって姉妹?いや、でもなぁ……違う、よなぁ?
確かめる術は連れてくしかないが、ただ自分の疑問を解消するためだけに連れてくってのもなぁ。
「うーん……うーん……」
悩んだ。めっちゃ悩んだ。気になるけど、それだけで連れては行けない。どうする、どうするんだ俺!こんな可愛い子と一緒に居られるなんて光栄なことじゃないか。それに、ノラ、ミリアと続いて3人目の美少女だ。完全にハーレムじゃないか!未成年の……。
俺が美少女ハーレムに意識が傾きかけたその時、ニアがくいくいと俺の外套を引っ張ってきた。俺が視線を向けると、ニアが必殺上目使いをやってきた。
「じゃあ、私の全てをあげるから、一緒に居させて?」
上目使いからの疑問形で質問してくるなんて!この子、キュンキュンさせることに慣れてるのか!?いや、村長だなぁ!見えるぞ、ニヤニヤしながら俺のことを見てやがる。
あ、目があった。ん?何々、「もう、やっちゃいなよ。you」…だって?ふっざけんな!あの村長マジで一回ぶん殴らないと気が済まねぇ。
っと、また意識が逸れた。ここは決断するしかない。ニアにここまで(村長が)言わせたんだ。仕方ない、ここは応えてやるしかないな。
「……分かった。だが、全てをあげると言ったんだ。俺の言うこと、ちゃんと聞けるな?」
「ん、大丈夫。なんでも聞く」
ん?今何でも言ったよね?……じゃないや。これで3人目の美少女を中身した訳だが、女が3人寄れば姦しいというがそれが見れるのだろうか。
そんなことはどうでもいいか。取り敢えず、さっさと街に戻ろうか。
「すぐに出発する。ニア、準備しろ」
「ん」
「ジーン起きろ。出発だぞ」
「ハッ!俺は一体何をしていたんだ……」
俺とジーンはニアという新たな仲間を連れて街に帰還した。
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街に戻った俺はさっそくギルドへ行こうと言ったんだがジーンが「ドラゴンと戦って疲れているだろ。俺が報告してくるから、お前宿へ戻ってゆっくりやすめ」と言ってきた。俺は実際体が悲鳴を上げているため、ジーンの厚意に甘えることにし宿に戻った。
宿へと戻るとナタリアちゃんがいなかった。風邪でも引いたのかと思いながら部屋に行くと、なぜかそ子にはミリアがいた。ここは俺とあの馬鹿野郎の部屋なのだ。つまり、ミリアがいることは少しおかしなことなのだ。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
「あぁ、ただいま。で、何してるの?」
「いえ、少し掃除をしていました。ご主人様が快適に過ごしていただけるようにと」
「そうか、ありがとうミリア」
「いえいえ、それよりも……ご主人様こそ、何をなさっていたんですか?」
ま、まさかの般若2度目!?ミリアの視線を追って行くと、俺の外套の端を指を摘まんで立っているニアがいた。予想はしていたが、やっぱりこうなるよなぁ。
俺はミリアの村で何があったかと、どうしてニアがいるのかを掻い摘んで話した。もちろん、ニアを離してだ。
「なるほど、ドラゴンですか……。ご主人様、お怪我などはされませんでしたか?」
「大丈夫、なんともないよ」
「そうですか。それは良かった」
ミリアが目に見えるくらい安心している。そんなに俺のことを心配してくれるのか。ありがたいが、なんか怖い。前回の胸の件に、今回はニアだ。何をされるか……。
それより、今日は良くしゃべるな。いつもは話しかけないと何もしゃべらないのに、そんに俺のことを……いや、あんまり期待するのもダメだな。自惚れるな。うん、そうだそうだ。
「ドラゴンとの戦い、お疲れ様でした。ですが、ニアさんの件は了承しかねます」
「ですよねー」
「ご主人様、あなたは一体何人の女性を侍らせる気ですか?」
「侍らせ……べ、別に俺はそんなつもりないから!」
「それでも、周りからはそう見えるのです!もう少し自重してください!」
「うぐ……ごめん」
ミリアの言う通りだ。確かに、女の子をたくさん連れていればそういうことを想像してしまうのは当然。たとへ事実はことなっても、人間はそうやって勘違いしていまう。変な噂が立つ前に、この辺りで終止符を打っておくべきだな。
「分かった、ミリアの言う通りだ。これからは自重しよう。約束する」
「分かってくだされば良いのです。それで、ニアさんは奴隷として連れて来たんですか?」
「ん、違う。私は、ユウト様の奴隷じゃなくて、妻」
「あ!」
「……」
さっきまで収まりそうだったミリアの怒りが再び燃え始めた。般若も進化して、もう般若というより悪魔に近くなっている。怖い、非常に怖い。
チクショウ、ニアが余計なことを言うからミリアが怒っちゃったじゃないか。ニアが妻って言うから……あれ、何でミリアが怒ってるんだ。
「妻?ニアさんはご主人様の奥様になられたのですか?」
「そう、私はユウト様の奥さん」
「歳はおいくつで?」
「私は7歳」
「それなら結婚はできません。法律上、結婚は成人した15歳からです。私は15歳になっているので結婚できますが、あなたはできませんね」
「知ってる。だから、婚約者として一緒に居る」
「む、諦めませんか」
この世界って15歳が成人なのか。というより、ミリアがもう成人していることに驚きなんだけど。目玉飛び出るかと思った。というか、何故に結婚できるアピールしてるの?もしかして、結婚願望でもあるのだろうか。
そんなことを俺が考えている中、ニアとミリアの口論は続いた。ミリアがニアを俺から遠ざけようとしている気がするが、気のせいかな?
「あなた、どうしてもご主人様の傍に居たいのですね」
「ん、当然。惚れた男の人の傍に居たいというのは、女の本能」
「なるほど。それは一理あります。しかし、許せません!」
「何故?あなたはユウト様の奴隷。私とユウト様の関係に口出しはできないはず」
「く……分かっています。私は奴隷、ありえないことも分かってるんです。でも……」
おいおい、ヒートアップし過ぎじゃないか?ミリアが若干押されている。しかも、涙目な気がする。まさか、ミリアが泣かされるところを見るなんて想像もしていなかった。いや、まだ泣いてないんだけどね。
「でも……そうあってほしいと思ってもいいじゃないですか!!」
ミリアの叫びが部屋中に響いた。ミリアの目に涙が溜まっている。口はへの字に曲がり、完全に涙を堪えている顔だった。俺はもちろん、ニアも驚いているようで目を見開いている。
ミリアは自分が叫んだことに気が付き俯いた。自分の服を固く握り肩を震わせている。
「ミリア」
俺はそんなミリアをそっと抱きしめてやった。ミリアはビクッとしたが、すぐに力が抜けて俺に体を預けて来た。
「ミリア、何をそんなにムキになっているか分からないけど。たぶん、叶うよ。その願いは」
「無理ですよ。だって、私は奴隷ですよ?」
「奴隷なんて関係ないさ。夢や願いってのは、信じ続ける人が叶えるんだ。だから、諦めないで信じ続けて、絶対に叶うってね」
「……本当に、叶うでしょうか」
「あぁ、叶うさ!ミリアが望むならね」
「……ふふ、ありがとうございます」
ミリアに笑顔が戻った。何がミリアを苦しめていたのかは分からないけど、やっぱり女の子には笑顔が似合う。泣きそうなミリアを見ていてそう思った。女の子の涙より、笑顔の方が良い。そんなことを言っている人たちの気持ちが分かった気がした。
この後、ニアがミリアに謝り、ミリアはニアを許した。こうして、ニアとミリアの口論は終わった。
ミリアは何が気に食わなかったのか。そして、ニアもどうしてあんなに熱くなっていなのか。俺には分からないことだらけだけど、一つだけ分かったことがある。
それは、この日からミリアが少し明るくなったということだ。なんていうか、良くしゃべったり笑ったりするようになった。でも、それは俺だけで他の人とは通常運転なのがたまに傷だが……。
そういえば、ノラどこ行ったんだろ。
いかがでしたか?ニアが仲間になって、ミリアが少し変わりました。
これからミリアがユウトとどうなるのか……。
次回はノラ視点の短編です。
皆さんのメインヒロインは誰でしょうか。やっぱり、自分にとってのヒロインはいるものですよね。
それでは、次回をお楽しみに~。




