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第18話 ジーンのお願い事を聞こう 共闘編

どうも、最近寝不足気味の初心者Pです。


第2章も終盤に差し掛かりました。


次章はまだ考え中ですが、それなりに長くなる予定です。


それでは、第18話どうぞ~。

第18話 ジーンのお願い事を聞こう 共闘編


 さて、あれだけ大きな音ってことは相当大物か……それとも、ただジーンが暴れまわっているだけか?どちらにせよ、ただ事ではないことは分かる。

 現場に急ぎたい気持ちはあるが、まずはニアちゃんを逃がすことを最優先にしなければ。


「ニアちゃん、たぶん魔物だから逃げてくれ」

「ユウト様はどうするの?」

「俺は戦ってくるよ」

「怖く……ないの?」

「怖くない、訳じゃないけど。それが仕事だし……冒険者でしょ」


 魔物と戦うのはどんなときでも緊張するし、怖いとも感じている。だが、そこで逃げる訳にはいかない。だって、そこで逃げたらこの先ずっと逃げることになりそうだから。もし、今戦っている魔物よりも強力な敵が現れた時、戦えなくなりそうだから。

 何より、大切なものを失いたくないからね。


「じゃあ、行ってくるね」


 俺はニアちゃんに笑顔でそう言って部屋を出ようとした。だが、外套を引っ張られれ一歩目を踏み出せず止まってしまった。

 引っ張られたと思われる場所を見ると、ニアちゃんがその小さな手で俺の外套をつまんでいるのが見えた。


「え、えっと……離してくれるかな?」

「……」

「ニアちゃーん、離してー?」

「嫌な、予感がする。危ない。行かないで」


 ニアちゃんは泣きそうな顔で俺を見上げそう訴えて来た。ニアちゃんのこんな表情を見ることになるとは思いもしなかったが、それよりもどうしてそんなことが分かるのかが不思議だった。

 しかし、この状況で聞けるはずもなく。致し方なく手を無理やり外し、ニアちゃんに向き直る。


「ニアちゃん、俺は冒険者なんだ。兵士とは違う。危なくなったら自分の命惜しさに逃げ出すような職業だ。だから、死なない。大丈夫だから。ね?」

「……ん」


 ニアちゃんに何とか納得してもらい、俺は外へと急いで飛び出す。あの大きな音がなってから今まで特に音は聞こえなかった。外へ出て辺りを見回しても特に何もない……。

 不審に思った俺は【探索】を使ってジーンの位置を探す。すると、ジーンは村から少し離れた場所で何かと戦っているのが分かった。


 俺は急いでその場へと向かい、ジーンに加勢する。そのつもりだったが、敵の正体を知った俺は少し尻込みしてしまった。

 そこにいたのは、ドラゴンだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「《龍破斬》!!」

「グギャァァァ!!」


 ジーンとドラゴンは一進一退の戦いをしていた。ジーンはドラゴンの攻撃を避け、カウンターを入れる。しかし、ドラゴンの固い鱗を傷付けることはできない。大技を放とうとすると必ずドラゴンが邪魔をしてくる。この中に入るなんて、無理だろ。


 俺が戦闘に参加しようかと迷っているとジーンが俺に気が付き、一旦ドラゴンと距離を置いて俺の方へと走ってきた。


「ユウト、力を貸してくれ!」

「ジーン……でも、俺には無理だ。あんなの、戦えないよ」

「ここで戦わなかったら、村に被害が出るかもしれない。それだけは避けないとならない。だから、ドラゴンの攻撃は俺が全て防ごう。ユウト、お前には攻撃を担当してもらいたい」

「で、でも……」

「ユウト、お前ならできる。数日でC級になったお前なら、なんとかできるはずだ。幸いあのドラゴンはベビードラゴンっていう、まだ幼い状態だ。ランクはBの上位くらいだし、問題はない」


 あれでベビーかよ。全長50mくらいはあるぞ?成長したら一体どれだけ大きくなるのやら。そんな奴、相手にしたくないね。

 だが、やるしかない。ここで諦めたら、そこで死合終了だ。ここで逃げたら、何も守れない。


 俺は自分で自分を奮い立たせ、ジーンの作戦に乗ることにした。作戦と言っても簡単なことで、俺がドラゴンにひたすらアタックする。その間、ドラゴンの攻撃が村に被害を及ぼさないようにジーンが盾となってくれる。

 この作戦で一番大事なこと。それは、このドラゴンを倒す(・・)ではなく撃退(・・)するということだ。倒さなくていい。ただ、ドラゴンを遠くへと追い払えればいいのだ。


「分かった。それでいこう」

「ユウト、任せたぞ」

「……あぁ!任せろ!!」


 今回は全力だ!俺はクレイモアを片手で抜き構える。これは別にかっこつけている訳ではなく、俺のスキル【片手剣・上級】を使うためである。

 重い、凄く重い。でも、何とかなる範囲だ。さてと、撃退するとは言ってもまずは弱点的なものを探さないとな。ベビーとは言うが、ジーンの技に耐えるほどの鱗を持っている。あれにどう対策するか……。


「考えるよりも動く。コピー・オン!」


 とりあえずどれくらい鱗が固いかを確かめるため一気にドラゴンに近付き斬りつける。すると、クレイモアは鱗に弾かれ振りかぶった位置まで戻されてしまった。鱗には傷ナシ。

 ここまで固いとは予想外だ。まさか、傷の一つすらつかないなんて、これじゃあどうしようもない気がするぞ?いや、俺の得意とするあれなら……だが、剣が重すぎる。


「グギャァァァ」

「ヤッベェ!!」


 ドラゴンは体をくねらせ尻尾で反撃してくる。俺は考え事に集中していたため、これをうまく避けられず脇腹に食らってしまった。ゴロゴロと地面を転がり、止まったころには痛みにもだえ苦しんだ。

 イッテぇ、これは骨の2~3本は逝ってるよ。しかも、その骨が内側から自らを傷つけてくるよ。痛いよ、凄く。


「ガァァア!!」

「火!?」


 倒れていた俺にドラゴンは口から炎を追撃してくる。急いで避けようとしたが、脇腹の痛みで体が動かず、反応が遅れてしまった。あ、俺終わった……と思った時、ジーンが炎と俺との間に入って止めてくれた。


「《パーフェクトシールド》!!大丈夫か、ユウト」

「ジーン……ごめん、骨をやられた。痛くてうまく動けない」

「骨か、これを使え。ポーションだ。即効性だからすぐに痛みは引く」

「ありがとう」


 俺はジーンに渡された瓶に入った緑色の液体……ポーションを決死の覚悟で飲み干した。苦くてとても不味かったがジーンの言う通り痛みはすぐに引いた。だが、まだ脇腹の辺りに違和感が残っており、完全に治ったとはいかなかったようだ。

 痛みが引いたので落ち着いて物事を考えることができる。とは言え、ジーンが盾でなんとか炎を防いでくれているし、他の攻撃も防いでくれている。あまり悠長なことは言ってられない。


 まず、ドラゴンの鱗に傷は付けられなかった。このままでは撃退どころか、ダメージすら与えられない。だが、俺がいつもピンチになった時に狙う場所……口なら分からない。しかし、口は炎が出てくる危険地帯。そんな場所に正面から近付いたら、一瞬でお陀仏だ。

 どうする、ユウト○貞10……何歳だっけ。この危機的状況を切り抜ける術は何かないのか。口以外で柔らかいところ。分からない。俺のコピー眼ではドラゴンのスキルは……あ、あった!!


「ジーン、次のタイミングで俺は出る」

「何か策はあるのか?」

「あぁ、とっておきのがな」

「分かった……今だ!!」

「行くぞ!!」


 俺はジーンの陰から飛び出しドラゴンの駆け寄る。狙うは口の上、顔の一部。口の中よりももしかしたら柔らかいかもしれない部分。

 俺はそこ狙って剣を構える。今回はあの《押し刺し》ではない。剣を突き立て、剣の腹に左手を添える。


「食らえ!《一閃付き》!!」


 ドラゴンの顔にある程度近付いた俺は右足で思いっきり地面を蹴り加速する。そして、その勢いに乗って右手を突き出し剣を刺す。

 俺が狙ったのは口の上……目だ。コピー眼で思いついた。口よりかは狙い難いが、効果は抜群だ!!


「グギャァァァ!!??」


 クレイモアは見事に命中!ドラゴンは目に剣が突き刺さったまま顔をブンブンと振った。俺は剣にしがみ付き吹き飛ばされないように踏ん張った。

 俺が必死に踏ん張っていると、剣がドラゴンから抜け勢いそのまま俺は吹き飛ばされた。


「うわぁぁぁ!?」


 ガツン!!


 地面に体を強打してしまった。受け身なんて急に取れる訳ない。全身に痛みが走り、一瞬意識が飛びそうになるがなんとか耐える。体をゆっくりと起こしドラゴンを見る。

 目を貫かれたドラゴンは苦しみの絶叫を上げながら暴れまわっている。そして、しばらく暴れた後どこかへと飛び去ってしまった。


「ミッション……コンプリート」

「ユウトーー!!大丈夫かーー!!」


 俺はジーンの声を聞き、緊張が解け安堵してしまったために地面に倒れてしまった。薄れゆく意識の中、この後何が起こるかを考えた。……また、宴か(ガクッ


 俺の初ドラゴン戦闘はこうして終わった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

視点変更


 まさか、本当に一人でドラゴンを撃退していまうなんて。正直、今でも信じられない。

 俺がユウトに一人で戦えと言ったのは、村のためなんかじゃなくユウトの実力が知りたかったからだ。それは期待以上の成果を出した。

 この男、きっと大物になる器を持っている。強大敵に立ち向かう勇気、それに見合った力、その力をうまく使う知恵。まさに、勇者……いや、英雄にすら届くかもしれない。


「ユウトーー!!大丈夫かーー!!」


 倒れているユウトに声を掛ける。しかし、返事が返ってこない。一瞬不安になったが、ユウトの笑った顔見て安心した。

 ユウトが死ぬにはまだ早い。この先、きっとユウトが必要になる時が来る。絶対にな。その時までは、最低限俺が守ってやる。


 そして、英雄となったユウトを見れれば俺の人生に悔いはない。そのためなら、俺はS級にだって……。

ドラゴンはファンタジーのテンプレ!


というか、この村には呪いでもかかっているのでしょうか?魔物に襲われ過ぎでは??


そんなことは置いておき、次回はニア&ミリアのタッグ話です。


お楽しみに~。

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