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8.5話
「クソがッ!!」
純介は研究室のテーブルに拳を叩きつけた。あまりの勢いに机の上の紙が宙に舞う。
「これだから凡人は何もわかってないッ!! なんであのレポートを読んでこんな回答が帰ってくるんだ!!」
二か月ほど前、純介は独自で進めたラピス研究をレポートにまとめて主要国全てに送った。
世界にラピス研究の重要さを伝え、さらなる人類の進化を促すためだ。
しかし、返って来たのはラピスを盗んだ犯罪者である純介への糾弾とレポートを否定する反論。
こうしている間にも時間は刻一刻と迫っている。
「俺一人でどうにかなる問題じゃない……。国、いや世界の力が必要なんだ……」
人類の総力を持って事に当たらなければ、純介の目的は果たされない。これまで行って来た研究も全てが無駄になる。
俯いた顔を上げる。その瞳は黒く濁っているように見える。
もはや手段を選んでいる暇はない。全ては目的のため。
「いいだろ。賭けてやるよ。この天才、近藤純介の全身全霊を」
歪んだ覚悟が純介を支配していく。
「俺が世界を壊す」




