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おっさんの目標:生け捕り

「別れ際に私に言ったお小言はなんだったのか!」

「いやそれはなんていうかってかイサトさん前見て前!」


 拾いにきてくれたイサトさんのグリフォンに乗せてもらったところまでは良かったのだが――…イサトさんがおこである。

 ……見つかる前にポーション飲んでおこうと思ったのに、まさかあそこまでタイミングよく迎えに来てくれるとは思っていなかったのだ。イサトさんと来たらグリフォンにドラゴンの追跡を命じつつ、ほとんど身体ごと俺を振り返って首を絞めそうな勢いだ。


「いやちょっと夢中になっちゃって」

「人にはポーションこまめに飲めとか言ってた癖に!」

「イサトさんはな。俺とイサトさんの防御力とかHPとか比較したら駄目だろ」

「そこ、冷静に言い返すんじゃありません!」


 怒られた。

 

「迎えに来てみたらわりと君が血まみれでズタボロだったときの私の気持ちも考えてくれ」

「それは……、その。あー……ごめん」


 それに関しては悪かった、と思う。

 確かに連れがそんな状態になっているのを発見したら動転するし、俺だってイサトさんがそんな状態だったら大慌てだしガチで説教する。小一時間は固い。

 インベントリから取り出した上位ポーションを取り出して飲み干して、左腕がまともに動くようなるのを確認してからイサトさんの持つ手綱へと手を伸ばした。じろり、と半眼のイサトさんと目が合う。


「…………」

「もう大丈夫だって」

「全く」


 ぷんすかしつつも、イサトさんはようやく俺に手綱を任せる気になってくれたらしい。イサトさんは手綱から手を離すと、グリフォンの首根に手をつくようにして身を乗り出した。


「どうなってると思う?」

「……よくわからないな」


 イサトさんの視線の先には、身体のあちこちに黒い蛇を張り付けた白銀のドラゴンがよたよたと飛行する姿がある。なんとか黒い蛇を剥ぎ落とそうと空中でもがいているものの、俺に痛めつけられた分もあってなかなか上手くはいっていないようだ。

 

「あの変態エルフと、ヌメっとシリーズは別勢力ってことなのか?」

「仲間割れ、の可能性もあるよな」


 うーむ、と二人そろって眉間に皺を寄せる。

 俺たちは最初、あのヌメっとした黒い人型が飛空艇にモンスターをおびき寄せ、襲わせたのだとばかり思っていた。だが、違った。飛空艇を『竜の牙』でもってモンスターに襲わせ、墜とそうとしたのはあの変態エルフだ。だが、そうなると……あの時俺たちが戦ったあのヌメっとした人型は、飛空艇をモンスターから守ろうとしていたのか?

 いや、違う。

 それならあそこで、俺たちに仕掛けてくる必要はなかったはずだし、飛空艇をセントラリアに墜とそうとしたりなどする必要はなかったはずだ。いや……待てよ? もしかすると、あのヌメっとした人型がセントラリアに飛空艇を落とそうとしていた、という前提すら違っているのかもしれない。

 今俺たちに見えているのは、セントラリアを滅ぼしたい変態エルフと、そのエルフを襲う黒いヌメっとシリーズという構図だけだ。それだけを見ると、ヌメっとシリーズはセントラリアを守ろうとしているようにも思えるが……マルクト・ギルロイのことを考えればそれはあり得ない。全体図に何が描かれているのかを把握するにはピースが足りなすぎる。

 考えれば考えるほどに、知らず眉間に皺が寄って行く。


「イサトさん、どうする?」

「うーん……セントラリアの住民に被害が出ないなら、勝手にやりあってろ、と言いたいところではあるな」

「確かに」


 どちらの言い分もわからないまま、手を貸すのは危険だ。

 自覚のないままに、何か取り返しのつかないことをしてしまいかねない。

 それならば、このままあの白と黒の殺し合いを見届けるか。


「でも」


 イサトさんが苦い口調で、俺をちょろっと窺うように口を開いた。


「あの変態エルフを生かしてとっ捕まえたいと思っている私がいる」

「…………」

 

 思わずしょっぱい顔になる。

 

「傷だらけになってまであのドラゴンを追い詰めた君からすると面白くない話かもしれないけど……」

「……や、逆だ。逆だからこそ思わずこんな顔してる」

 

 イサトさんの口からあの変態エルフを助けたい、というような言葉が出たことに対するあいつを助けたいのかよ、なんていう拗れた思いは当然あった。だがそれ以上に、渡りに船だと思う自分に気づかされてしまったのだ。どうやら俺は、自分で思っていた以上にこのままあのエルフがヌメっとした生き物にやられるのを見殺しにしたくないと考えていたらしい。

 あの男は、確かに気に入らない。

 イサトさんにちょっかいを出してきただけでも気に入らないし、何度もおちょくるようにハメられているのも気に入らない。

 だけれども、あの男は嘘はつかなかった。

 イサトさんに対して、「好き」だの「愛してる」だの、そんな偽りで絆そうとはしなかった。


『――俺の子を産んでくれないか』


 最初から清々しいほどの直球だった。

 それはもしかするとただ単純に理詰めでエルフを救ってくれと訴えた方が勝算があると判断した故のことだったのかもしれないが……それでも、情に訴えてイサトさんを騙そうとしなかったことに、俺はなんとなく、あの男の矜持のようなものを感じてしまっている。

 もちろんだからと言って、セントラリアを滅ぼそうとすることを認められるわけもない。けれど、そこにも何か理由があるのではないかと思うのだ。あの男の中ではセントラリアを滅ぼすことが「正義」に値するような理由が何か。

 

「まあ、事情を聞き出せるとしたらあいつぐらいしかいないもんな」

「おとなしく吐くかはわからないけどな」

「そこは吐かせよう」


 吐かぬなら、吐かせてみせよう変態エルフ。

 ヌメっとしたシリーズとはこれまで二度にわたって遭遇しているが、今のところ会話が成立した試しがない。それに比べたらセントラリアを滅ぼそうとしている危険人物とはいえ、まだあの変態エルフの方が情報を聞き出せる可能性は高い。


「目標:生け捕り、で」

「了解」


 ぱしりと手綱を軽く引いて、空中をのたうちまわる白銀のドラゴンへと接近する。苛立ちのこもった苦鳴の咆哮をあげながらドラゴンは緩くその(あぎと)を開き……


「ちょ……ッ、あいつ何する気だ!」

「イサトさん、なんとか打ち消せるか!?」

「……ッ!」

 

 ドラゴンが見据える先にあるのは、石造りながらもデザイン性に富んだ美しい建物――…セントラリアの大聖堂がある。イサトさんはスタッフを振り上げ早口にスキルを解き放とうとするものの、間に合わない!

 ドラゴンの喉奥から白々とした熱塊がせぐりあげ、高温のブレスが大聖堂に向かって吐き出される。いくら堅牢な岩壁といえど、ドラゴンのブレスに耐え得るわけもない。俺は派手に崩壊する大聖堂を脳裏に浮かべて唇を咬むものの……ブレスが届いた瞬間、カッと白い光が炸裂した。


「……結界?」

「みたい、だな」


 ドラゴンのブレスは大聖堂の岩壁に届くより先に、その表面に浮かんだ光の膜によって弾かれ、虚空へと拡散していく。これはいわゆる女神の加護、というやつなのだろうか。目を眇めた先、大聖堂の出窓の奥に法杖を携え、こちらを見据える白く華奢な人影を見たような気がした。


「グゥルルルルルルォオオオオオオ!!!」


 怒りに満ちた咆哮とともに、ドラゴンは幾度となく空中で身を捩ってはブレスを吐く。が、その全てが危うげなく結界に弾かれ、虚空に溶けていく。それでも、ドラゴンはブレスを浴びせ続ける。その喉元から、しゅうしゅうと細く煙が上がっているのが見えた。

 

「アレ、持たないぞ」

「……何考えてんだ、あいつ」

 

 ドラゴンのブレスというのは、とんでもなく高温のビームだ。

 とてもじゃないが生体が耐えられる温度ではない。

 それは実はブレスを吐き出すドラゴンにしても同じだ。ドラゴンだからこそ使えるとはいえ、連発すれば喉が灼けてダメージは自身へと還る。RFC時代に戦ったドラゴンの多くは追い詰められるとオウンダメージ覚悟のブレスを連発してきたものだ。それ故に、サポート系の魔法を得意とするエルフの中には、まずドラゴンを狂化魔法をかけ、ブレス連発で自滅させるような戦い方をするものだっていた。

 だというのに、白銀のドラゴンはまるで己の身よりも大聖堂の破壊を優先するかのように、苦しげに身を捩りながらもブレスを吐き続ける。

 喉が灼けてドラゴンが自滅するのが先か、その決死のブレスが大聖堂に届くのが先か。……おそらく、前者といったところか。

 どうしたものかと考えあぐねる俺らの目の前で、状況に変化があった。

 ドラゴンの右の後ろ足と尾に絡みついていた黒蛇の一部が、まるで触手のように伸びあがってドラゴンの喉元に喰らいついたのだ。


「ゥグルゥ…!!」


 黒の触手はブレスに灼かれることも恐れず、うねうねとドラゴンの咥内にも滑り込んでいく。噛み千切ろうとドラゴンは暴れているものの、無理だ。あのヌメっとした物質は聖属性でなければダメージを与えることが出来ない。


「ッ……!」


 考えるより先に叫んでいた。


「イサトさん、しゃらんら★貸してくれ!」

「君、何する気だ!」


 振り返ったイサトさんと目が合う。

 おそらくそれは刹那。

 

「ああもう、あまり無茶はしないように」


 イサトさんは少し呆れたように息を吐きながらも、やけくそ半分インベントリに手を滑らせ、しゃらんら★を寄越してくれた。なんだかんだ言いつつも、俺の意図を組んでやりたいようにやらせてくれるイサトさんはやっぱり度量が広いと思う。もし逆の立場だったら、俺はきっとイサトさんを行かせられない。


「(あんがと)」

「(フォローはする)」


 そんなやり取りは指輪を通して。

 しゃらんら★を受け取ると同時に、俺はグリフォンを駆ってドラゴンの真上と接近した。そして、限界まで近づいたところで。


「派手な雷、準備しといてくれ!」


 それだけ言って、グリフォンの背から飛び降りた。

 浮遊感は短い。

 狙い過たず、俺はドラゴンの首根のあたりに着地すると同時にしゃらんら★の石突をその喉元を浸食するヌメっとした黒に向かって突き立てる。


「ギャゥ!」


 何すんだテメエ、と言いたげな咆哮が短くあがるがスルーだ。

 気にしてられるか。


「(今だ!)」

「セット3 (ファンクション)1!!」


 俺の合図に合わせてイサトさんの放った雷撃がしゃらんら★に落ちた。

 ばちばちと荒れ狂う雷がしゃらんら★を媒体に滑りを帯びた黒に走る。

 ドラゴンの喉元を浸食していた黒がぼろぼろとそこから罅割れるように崩れて剥がれていくのに、思わず口角がにっと吊り上った。一か八かではあったものの、しゃらんら★を通すことで聖属性を付加出来ないか、という試みはどうにか上手くいった模様。が、未だドラゴンの後ろ右足と尾を浸食する黒はそのままだ。細い蛇のような黒が隆起しては、白銀の鱗に咬みついては潜り込み、じわじわと範囲を広げていくのが見える。近くで見ると、よりおぞましい光景だ。


「(次は!)」

「(取りに来てくれ!)」

「(…………)」


 魔法少女な予感を察知したのか、少し厭そうな気配が伝わってくる。

 く、と俺は笑みを咬み殺しつつ、しゃらんら★をドラゴンの首から引き抜いた。しゃらんら★が突き刺さった深度としては浅いので、直接のダメージはそれほど与えていない……はずだ。


「おい、聞こえてるか」

「…………」


 ドラゴンの眸が俺を見る。

 灰がかった蒼に縦に裂けた金の瞳孔。

 獣の眸でありながら、確かな知性を感じさせる。


「お前を助けてやる。だから――…おとなしく俺にぶった斬られろ」

「………………」

 

 グゥと鳴る喉の音が、おそらくは同意だった。

 俺がイサトさんに向かってしゃらんら★を放り投げるのとほぼ同じタイミングで、ばさりと羽ばたいてドラゴンが上昇を開始する。

 傷つき、折れた皮膜翼でよくも、という勢いだ。風圧に息が出来なくなりそうで、俺はドラゴンの首根に腕を回して身体を伏せた。

 ば、と翼を大きく広げての安定は一瞬。

 豆粒のように小さなセントラリアの街並みが眼下に広がる。

 今更だが、何かとんでもないことをしようとしているような気がしてきた。

 まあ、イサトさんのフォローを信じてはいるのだけれども。

 ドラゴンがぐぅ、と大きく息を吸う。

 そして――……、ド派手なサマーソルト。

 身体にかかる遠心力に逆らわず、俺は腕を離す。

 ポーンと高く虚空に放り出された先で俺はインベントリよりずらりと大剣を引き抜いて携えた。こちとら空を飛ぶなんて器用な真似は出来ないため、後はひたすら落ちるだけだ。自由落下に身を任せ、轟々と唸るような冷たい風の中前のめり、こちらに向かって突っ込んでくるドラゴンに向かって大剣を振りかぶる。

 少しでもタイミングを間違えれば俺の一振りはドラゴンの首を刎ね飛ばすし、万が一にでもあの野郎が裏切ってブレスでも吐いたならば、俺が消し炭となる。

 ギリギリの綱渡りのような交錯の瞬間、俺を睨み据える竜の双眸が笑ったような気がした。

 

「グルォオオオオオオオオオウ!」


 ドラゴンが吠える。

 鋭い牙が眼前で閃いて――…その牙が俺を掠める寸前、ドラゴンが無理矢理に身体をうねらせた。それは背面飛びのフォームにも似た横回転。勢いのついたまま俺の振り下ろす大剣の先に差し出されるのは、黒に浸食された右足と、尾だ。

 

「ゥ、ラァアアアアア!!!!」


 俺も、吠える。

 落下の勢いと、ドラゴンの特攻の勢いとをぶつけあった結果、ぎちぎちばきばきと白銀の鱗を引き裂いて大剣がずぶりと肉にめり込む。これだけ勢いをつけてもすっぱり両断といかないあたりが流石ドラゴン。下手をすると逆に腕を持っていかれて肩がはずれそうだ。ぎりぎりと音がするほどに奥歯を噛みしめ、大剣を持つ腕に力を込める。

 鬩ぎあいの果て、やがてぶつんと大剣が振り切った。

 切断された右足と尾がくるくると舞いながら飛ぶのが見える。


「(イサトさん……!!)」

「(任せろ!)」


 応える声は、力強く。

 仰向けに落ち続ける俺の視線の先で、ドリーミィピンクの光が二度炸裂した。

 ヌメっとした黒が声もなく塵に還る。

 よし、上手くいった。

 ほっと息を吐いて身体の力を抜く俺の耳に、迎えであろうグリフォンの羽ばたきが聞こえる。

 そして。

 そんな俺の眼前にドラゴンの爪が迫った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この野郎」

「いや、だって君ら格好よすぎて。俺も何かしとこうと思ったんだよ」

「私、咄嗟に撃墜するところだったぞこのやろう」


 場所は、セントラリアの北に広がる草原の片隅。

 俺とイサトさんは、血まみれでへらりと笑う変態エルフを全力で睨みつけていた。この男ときたら、イサトさんがグリフォンを駆って俺を拾おうとする寸前に割り込んできたのだ。ドラゴンの右前足で身体を鷲掴みにされたときには流石にここまでかと思った。が、そのまま俺を握り潰すこともなく、ドラゴンはよろよろふらふらとセントラリアからある程度離れたところで着地したのである。

 自由落下から救ってもらったといえば感謝しなければいけないような気もするが、あの酷い着地を考えると恨み言の一つや二つ言ったところで罰は当たらない。尾と後ろ足の片方を失ってバランスが取れなくなっていたのか、本当に酷い着地だったのだ。巻き込まれた俺は死を覚悟した。

 ほとんど地面に突っ込むような着地を決めたまま動かなくなった変態エルフの口にポーションをねじ込んだのがつい先ほどのこと。どうにか失った部位を再生することには成功したものの、血を失いすぎたのか未だ地面にへたりこんだままだ。

 そんな有様でも、口元に緩く笑みを浮かべているあたりがこの男らしい。

 その眼前で仁王立ちして、イサトさんが口を開いた。


「君には全て吐いてもらうぞ」

「その前に、一ついいかな」

「……なんだ」

「もう一歩ぐらい前に出てくれるとパンツが見える」


 思わず相手が怪我人だということも忘れて全力で拳を振る下ろしていた。

 ぎゃ、と悲鳴をあげて変態エルフが倒れる。そのままごろごろと悶絶する暫し。やっぱりあそこで殺しておいた方が良かったかもしれない。


「だからさ、君本当怖いからね。怪我人相手に容赦なさすぎだからね!」

「いいからさっさと全部吐けオラ」


 我ながら荒んだ声が出たものだと思う。

 俺とイサトさんの追求に、へらへらと笑っていた変態エルフは小さく息を吐いた。それから、よろよろと身体を起こして口を開く。


「俺も使いっ走りだから、許可なく全てを打ち明けることは出来ないんだけど」

「……使いっ走り? 誰のだ」


 さりげなくナース服の裾を抑えつつ、イサトさんが問う。

 それに残念そうにしつつ、変態エルフは言葉を続けた。


「北の山脈に御座すお方」


 冗談めかした言葉ながら、その灰がかった蒼に浮かぶ色がそれが嘘ではないことを告げている。

 北の山脈、と言えばヅァールイ山脈だ。

 そこに御座すのは――…


「黒竜王か」


 イサトさんの言葉にエルフが頷く。

 ヅァールイ山脈は高レベルのドラゴン系モンスターの巣窟だ。

 そのエリアダンジョンの最奥に、黒竜王はいる。

 それだけならただのエリアボスだが、実際のところヅァールイ山脈のエリアボスはそのダンジョンを守護するクリスタルドラゴンだ。黒竜王というのはモンスターでありながら、ゲーム内では人の言葉を解し、冒険者に試練としてクエストを与える竜種を束ねる王という設定のNPCだったのだ。確か、召喚士に竜化のスキルや、ドラゴンを使役するための資格を与えるのがその役割だったはずだ。そう考えると、竜化スキルを使いこなすこの男が黒竜王に仕えるというのもそれほどおかしな話ではないような気がする。だが、俺たちが知る限り、黒竜王が人間を目の敵にしている、ということはなかった。


「でもなんで黒竜王がどうしてセントラリアを滅ぼそうとしたりなんかするんだ」


 俺の言葉に、エルフが笑う。

 そして、以前王城の広間でも言った言葉を再び繰り返した。


「――世界を、救うために」



ここまでお読みいただきありがとうございます。

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