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お前は神を信じるか  作者: 美里亜
田口 誠 1
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8.初対面?

いつもより短めです。戦闘描写とか無理ですよ?

少女たちの目の前にいるガルムが大きく斧を振り上げる。それに対応するように前に立つ、きれいな髪をサイドテールにした少女は手を突き出し叫ぶ。


「させないって言ってんでしょ!!《結せよ》!!!」


少女たちを覆うように薄い紫かかった様な膜が張る。振り下ろされた斧を受け止め波紋が広がりかすかに軋む。それを見た別の個体が続けざまに斧を振り下ろす。

攻撃される度にわずかに軋みが大きくなっていく。それに呼応するように前に立つ少女の顔に汗が浮かび、苦しげにその表情は歪んでいく。後ろで庇われている髪を一つの三つ編みにしてまとめている少女はその姿を見て絶望したような、恐怖とはまた違った色を浮かべる。


「センパイっ!いいです!これ以上頑張ったら!!っ……誰か!お願い!助けて!!!」


少女の悲痛な叫びが響く。





「あいよ。」

「任されたよ。」


ガルムの後ろの方から声が聞こえてきたかと思うと同時、奥のガルムの首が飛び、少女に近かった個体が氷付けになり粉々に砕ける。


「………え?」

「なっ!なに?!」


少女たちは呆然と目の前の出来事に目を瞬かせる。

崩れたガルムの体の向こうに剣を持つ少年とにっこり笑って手を掲げる少年、その奥には周りの見渡し警戒している少年。彼らに助けられたのだとわかると、サイドテールの少女は力が抜けたように座り込んだ。


「っあ、センパイ?!大丈夫ですか??!」


三つ編みの少女がはじかれたようにそばに寄り添う。

それを横目に見つつ誠は当たりの様子をうかがう。これで終わりなら良いがどこかに別の個体がいたら大惨事である。





「他はいなさそうだな。ここはさすがにアレだし、移動……できそうか?」


辺りを見回し、先ほどのような薄ら寒い感覚もないので一先ずは大丈夫だろうと判断し声をかける。

その声に反応して三つ編みの少女が顔を上げる。


「………あ………」


目が合ったかと思うと少女の目がみるみる大きく見開かれ驚愕に染まる。


「?俺の顔、なんかついてる?」


驚かれる心当たりもなく、ちいに訊ねてみる。


「いや?知り合いって訳でもねぇの?」

「初対面?だと思うけど………どっかであった事ある?」


後半は三つ編みの少女に問いかけるように言葉を発す。


「い、いえ!その、えーと………と、年も変わらなそうなのにあんな事できるんだな、と、その、はい。」


少女はしどろもどろに言葉を返す。その様子に、さっきまで襲われてたんだし、あんま無理させるわけにはいかないと思い疑問は引っ込めて笑いかける。


「ごめん。言いにくいなら良いや。それより移動できそうならここから離れよう?その、血のにおいとか移るとヤだろ?」

「そうだよね。あんまり長居したくないし。無理なら抱えようか?」


俺の言葉に便乗するようにサラリとさねが言い切る。


「え?」


「いやいや、さね!さすがにそれはどうなんだ?!」


少女は一瞬何を言われたのか分からない様子で聞き返し、ちいがさねに対し突っ込みを入れる。


「え?だって、ここにいるよりは、と思って………歩けるなら別に良い訳だし。」

「さねって時々訳がわからん。」

「あ、あるけます!大丈夫です!………センパイも大丈夫ですよね?」


真顔で言い切る様子に少女は顔を赤くしながら断言する。さっきから疲れきってうつむく少女に声をかけるが返事がない。


「センパイ?」

「おい、ホントに大丈夫か?」

「魔力の使い過ぎかな?立てる?」


さすがにヤバいのではと、ちいやさねも近づき声をかける。





『なんで、なんでいつも!』

『落ち着け。それで—————————?』

『わかってるわよ!でも!————!!』

髪の長い少女がうつむき声を荒げる。それに対して成人していると思われる男性が顔をしかめながら何かに耐えるように声をかける。それをみて、俺はなんと言ったのだったか。





「………恐怖も後悔も一人で抱えたら、壊れる。俺らもいるんだから、顔あげて少しぐらい託せよ。」


するっと言葉が出る。自分の言葉のはずなのに、何かをなぞるような漫画かなんかの台詞のような言葉に違和感だけが残る。

言葉を聞いた瞬間、サイドテールの少女は顔をバッと音がしそうなほど勢いよくあげこちらを見る。


「……———?」


小さくつぶやかれた言葉は誰の耳にも入らなかったようで不思議そうに少女をみんなが見る。


「……そっか。そうだよね。もう、間違えない。うん。あんなのはもう、たくさんだもの。」


視線に気がついてないかのように少女はつぶやく。自分自身に言い聞かせるように。彼女は一度、ぎゅっと目をつぶると顔を上げしっかりとこちらを見据える。


「大丈夫よ。なんだっけ、ここから移動するのよね?立ち上がるのだけ手伝ってもらっていい?」


意思のこもった目でニッと笑ってこちらに手を伸ばす。その手を掴み引っ張り上げると、今度はひどく楽しそうに笑うと、


「私は中西 楓。そっちの子は後輩の有働 ユキナ。で、そっちがよければ一緒に行かせてもらっていい?」


そう提案してきた。


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