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お前は神を信じるか  作者: 美里亜
田口 誠 1
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7.救出準備

不定期投稿申し訳ない。さ、サブタイが思いつかない………

現状把握ができたところで——とは言っても大まかな部分だけだが——これからどうするのかの作戦会議。


「とりあえずは安全な拠点の確保、かねぇ。」


世界が変わったというのなら寝て覚めてもこのままのファンタジーな訳で。ならば眠れるところの確保も大事になってくる。寝ている間にゲームオーバーとか勘弁だし。


「そうだね。雨風がしのげて、出現ポイントから離れた場所ってことだよね。」

「加えて言うなら脱出経路も確保できてると尚よし?」

「脱出?なんでさ?」


「“人”から逃げる用。」


ちいの言葉に思わず絶句する。


「………………は?」

「あ、そうか。食料とかそれこそ場所とかの取り合いになる可能性が高いのか。」


さねはひどく冷静に考察しているがぶっちゃけ考えたくない話である。


「……今を生きるのに精一杯なのに?」

だから(・・・)だよ。生きるために、より安全なところをと思えば、他のやつが安全にいられるところが答えだ。奪ってでも自分を維持したい訳だ。………この国は他の国よりはそう行動するやつは最初は少ないだろうけどな。一回始まってしまえばみんながみんな同じ事を考えるさ。」


この国はデモなんてほとんどないし、区画の占拠をするような過激派もほとんどいない。だからその考えをすぐに行動に移す人間は少ないだろう。だが、すぐにはないだけで人間は追いつめられればたいていの事はやってしまう。書き変わった世界に、法なんてものはないのだから。



「ま、それは追々考えるとして。どこなら良さげだ?学校とか?」


停止しかけた思考を遮るようにちいの明るい声が先を促す。


「学校ならどうにか隠れるところも確保できそうかな?」


どう思う?そう二人がこちらを見る。———学校、ね。考えると同時に嫌な感覚が襲う。




『やっと————!』

『二人も————————。』

『俺ら今学校で———。————いよ。』

『本当?———————。』

ザ——ザザッ——

『なっ!なんでだよ!!!』

『ごめん、ね。』

『まだ!まだ、今なら!』

のばした手が空を切る。泣きそうな諦めた顔がひどく胸を苦しくした。





「——っ!!!!」

「マコ?」

「大丈夫?!顔色悪いよ?………何かのスキル?何かわかったの?」


背中に汗が伝ったのがわかる。ゆっくりと呼吸する。何が起こったのかひどく朧げで。スキルの所為でこんなに胸くそ悪いんだとしたら、こんなスキルいらねぇと言いたいくらいには体に変なだるさがある。わかった事はほぼない、というより何もわかってない。それでもとりあえず今感じた事を素直に言葉にする。


「…………学校は、ダメっつーか俺がやだ。」

「マコがそんなにはっきり言うなら却下だな。」

「んー他だと………二人の家が近い?よね?」

「家とか真っ先に襲われそうじゃね?」

「まぁ食料を探すならコンビニとかスーパーか個人宅だよね。」


だからと言って代替案がある訳でもなく、いろいろ考えてみるが答えは出ない。





どうするかと頭を悩ませていると、ふと、声が聞こえた。


「—————でよ!なんでこんな!!!」


高い、女の声。若い感じがするから同い年くらいの女の子か?目に見えてる場所ではない。どこだ………?きょろっと当たりを見渡しながら耳をすませる。


「マコ?どうした?」

「しっ。声が……」


ちいがこちらを窺いながら問いかけるが、それよりここで見逃せば後悔する気がしている。確信はないが、いつものような漠然とした感覚の中で、ここは動くべきだと何かが警鐘を鳴らす。


「———センパイ!ダメです!あ、あ、どうしよ………誰かッ!」


さっきよりもはっきり響いた声。先ほどの声より幾分か高い、恐怖の覘く声。声を聞くや否や、考える前に駆け出す。


「ちょっ、マコ!!!」

「いきなり動くなよ!オレらも行く!!」


誰かを助けるのは偽善だろう。それでも、体が動く。大丈夫。これは助けられる。知っている。

考えがある訳でも戦う事ができるようになった訳でもないが、体は動く。




路地をぬけ角を曲がる。そこで足を止めれば、目の前には、犬のような顔をした斧を持つ獣人が二体。その視線の先にはしゃがみ込んでなく少女とそれを庇うように立ち、両手を前に出し獣人を睨む少女。少女たちはこの辺では有名な女子高の制服を着ている。

幸い、こちらには誰も気づいていないらしい。


「あ?ガルムじゃねぇか。なんで上位種がこんなとこに……」

「へ?ガルムって、武器、斧だったっけ?コボルトとかじゃなくて?それにガルムって言ったらもう少し犬そのものみたいな獣形態じゃないの?でも、毛が生えてるしコボルトとはまた違うのかな?」


ちいが獣人の方を見てつぶやき、さねがそれに対して考察を始める。


「さねは、なんでそんなに冷静に分析してんの?後、強いて言うならもとの世界の知識とこっちの常識は違うんじゃね?ちいは詳しく。」

「上位種ってのはそのまんま、さっきのオークとかと違って、ある程度連携とかする知識を持ってる連中の事。

多分あの子たちはあいつらの連携にハマって追いつめられたんだと思う。ガルムについては炎耐性が少しあったはず。後装甲はそれなりだけど、攻撃力はバカになんねぇ。」

「それにしては、あの子たちほとんど怪我してないみたいだけど……?」

「あ?………おぉ、まじか。」


ちいの説明に対して向こうの様子を見ていたさねが口を挟む。それを聞いたちいが少女たちに目をやると、驚きのにじむ声でつぶやいた。


「なに?どうかしたの?」

「前に立ってる方の子、結界張れる職業だわ。それで攻撃防いでたっぽい。結界張れるやつとか結構レアだぞ。基本みんな攻撃中心のが多いし。」

「なるほど。じゃぁ、あの子が防いでる間にコッチが仕掛ければ結構簡単に終わる感じかな?」


ちいとさねが頷き合ってこちらを見る。


「助ければ良いんだよね?」

「そういう事だと思ってるがあってるか?」


俺は戦えないのにこうやって二人を危険にさらしてる。だと言うのに絶対的な何かがあるように、二人はこちらを信じてくれている。


「頼む。きっと大事な事だから。」

「りょーかい!」

「任せてよ。」


二人は笑顔でこちらに答えると前を向き集中を高める。どこか好戦的な、強い意志の感じられる空気。まだ、まだだ。俺は動けない。でも、少しづつ確かに、この世界となじんでいく。きっと、俺が剣をとるのにそんなに時間はかからない。それまでに、二人を参考に、戦いを覚えなければ。

ちいがニィっと笑って、手の先に魔法陣が浮かぶ。



「さて、お姫様たちの救出、やりますか!」



ガルムってのは犬の姿をした幻獣ですが、コボルトってのは鱗に覆われた二足歩行の獣人みたいな感じだったはず。RPG的なコボルトは犬の頭をしてますが実際は違うらしいので……マーナガルムとか、フェンリルだとかはもろに犬っていうか狼ってかんじが個人的にしているので違うし……ということでいろいろ考えましたがガルムです。創作なのでアレだと思ってください。誠が言うように神話やらに出てくるのとはまた違くて、便宜上の名前ぐらいに思ってください。

次回はヒロイン(候補)ちゃんたちと交流したい(願望)です!

ここまで閲覧ありがとうございました。

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