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お前は神を信じるか  作者: 美里亜
田口 誠 1
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3.異変

眠気と戦って放課後。あ?勝敗?眠気に勝てるとでも思うのか、とだけ言っとこう。

玄関で靴に履き替えてさねが来るのを待つ。そこでふと脳裏にさねが後ろから脅かして来る光景がよぎる。……うしろ?振り返るとちょうどさねがいて、驚いた顔をしている。


「気づかないと思ったのに。」


そういうと少し困ったような笑顔に変わる。気づいたというより、わかったというか、なんだ?これ?


「いや、なんとなく?虫の知らせ的な、うん。」


言葉にしてみればわかるかとも思ったがそんなことはなかった。


「うーん、失敗。次は智加と相談してうまくやろうかな。」


にっこりと笑顔で何言ってんですかね、このひと。俺が微妙に顔を引きつらせると声を挙げて笑いながら移動を促す。いや、誰のせいで………はいはい。そんなに押さなくても行きますよー。


「西側だっけ?智加を待たせないようにさっさと行こう。ここにずっといる訳にもいかないし。ほら!」

「だー!押すなって!」


校舎を後にしながら二人でふざけていると『あぁ後少しだ』なんて声が頭に響く。疑問に思って足を止めようとするとさねに押される。カラかいをふくんだ声に言い返すとそんな言葉なんてなかった気がしてそのまま駅の方へ向かい始める。まぁ、ちいに文句言われる方がよっぽどいやだし気になったからな気がするが。




駅ビルに着く。学校からは話しながらのんびり歩いて40分と言ったところ。結構遠いよね。


「智加はもう来てるのかな?」


周りを見つつさねが疑問を投げかける。ちいはなんだかんだと相手の行動を予想して先回りする癖がある。それを考えるに、俺たちの着く時間を予想してここに来ているはずである。そしてあいつはイタズラ好きである。以上の結果から考えるに、


「そこか!」


後ろを振り返り入り口の方を見つめる。決まった!……じゃなくて、入り口に見慣れた学ラン姿を見つけた。


「あはは!マコおめぇ、なんて勢いで振り返ってんだよ。めっちゃ不審者!!」

「うるせぇよ。オメェのせいで奇声あげて不審者になるよりましだろうが!」

「ん〜マコは学習しちゃってきてるね。智加、今度ちゃんと作戦会議しよっか。」

「オーケー!いいな!!」


この二人は俺を何だと思っているのか。




エスカレータに乗って四階にあるゲーセンへと向かう。


「マコは今回なんか狙いがあるのか?」

「あん?ん〜、見てみてほしいのあったらかな。」

「マコの欲しがるものってよくわからないんだよね。」

「直感的に生きてるからなー、こいつ。」

「いやでも、持っててよかったことの方が多いべ?!」

「べ?」

「ノリでながせよ!」


戯れながら移動する。ゲーセン付近はいろんな音が混じっていてガヤガヤとうるさい。

ゲーセンの中をざっと流し見ながら歩く。するとその中に見知った形のぬいぐるみを見つけて足を止める。


「うーん、ぬいぐるみとってもなー。」


持ってるゲームのマスコット的存在のぬいぐるみを見ながらつぶやく。


「あぁ、もしかしなくてもお前のハマってるゲームのやつのなのか。ソレ。」

「なんというか、かわいくないね?」


うん。かわいくない。むしろサンドバッグ用ってかんじ。ゲーム内でもいじられ要員だったし。


「むこうにストラップサイズのあったし、そっちのがまだマシじゃね?」

「ストラップ……」


その大きさなら邪魔にはならないしあっても良いかもしれない。ちいの示した方へと足を向ける。


「……とるんだ。」

「な?言った通りだろ?」


後ろで二人が何か言ってるが気にしない。ストラップを見つけると百円を入れる。うん。こういうタイプなら一発でとる自信がある。


「よっし!うまくいった。」

「とれちゃう辺りがすごいよね。」

「根っからのゲーマーだしなー。」


褒め言葉である。


「他にはなんかとるの?」

「オレはいいわ。」

「そう、マコは?」


さねはこういうことは見てるだけでしないから、必然的に俺の動向次第で次のみんなの行動もかわる。


「うーん。」


軽く周りを見回す。景品系に欲しいのは見当たらなかったし、他は………

とそこまで考えたところでポテチの大きな袋が目に入る。


「ポテチ………お菓子ね。」


必要な気がする。こういうときは考える前に動く。その方が良いこともある。うん。


「お菓子?とるの?」

「とる。」

「また、珍しい。」


なんと言うか虚をつかれたような顔を二人がしている。

まぁうん。今までお菓子系はほとんどとらないでいたからなぁ。そういう反応されるのも仕方ない。

移動して百円を入れる。アームが掴んだが半分くらい進んだところで落ちる。もう一度。今度は穴のところまで運ばれてくる。そして一個目ゲット。ふふふ我ながら上手くいった。


「上手いね。」

「まぁ、基本は一緒だしなー。」

「よし、次はあれ。」


チョコ菓子系の袋詰め?みたいのをさす。


「なに?やけ食いでもすんのか?」

「ん〜何となく。気分だよ気分。」


ポテチのでかいサイズで三人で分ければ一人普通サイズの一袋分はあると思うし、この袋詰めも結構な大きさである。なんでそんなのをとろうと思ったかと聞かれても何となくとしか言えない。

ポテチよりも詰まってるからなのか途中で落ちやすい。結果的に四百円でとった。


「なんていうか、無駄な技術だよね。」

「否定はしない。」


クレーンゲームが上手くても得することはほとんどない。あれだ、インターネットでとった景品をふっかけた値段で売るとかなら別かもしれないが。



景品を近くに常設してある袋を一枚もらっていれる。周りをざっと見回してうなずく。


「うん。これくらいで良いかな。次どこいく?」


その言葉がきっかけになったように音が消えた。(・・・・・)


「は?」

「「!!」」


ガヤガヤとうるさかったゲーセンの音が一切なくなった。いや、ここだけではない。エスカレータも止まっている。お店から流れていた音楽も何もかもがないのだ。


「なん、だ?」


嫌な汗が背中をつたう。変に体がこわばる。二人に目線を向けると何かに警戒したように腰を低くして周りを見ている。

また(・・)始まる?

また?またってなんだ?何が起きている?

混乱するのに心のどこかで冷静な自分がささやく。


『————この可能性で終わりにしなくては』


可能性?なにがおわるんだ?なにを、忘れている?(・・・・・・)



周りにいた人も不安げに周りをきょろきょろと見渡している。

これ以上続けば誰かが叫んで恐慌状態になる。そんな絶妙なタイミングにそれは聞こえた。



「さぁ、ゲームの時間だ。」



「!」

「チッ!」

「………」


大っ嫌いな、嫌みのような愉悦のような、ひどくバカにしたようなそんな声。

さねが眉根を寄せて、ちいが舌打ちをする。

俺は無感動に、ただただ、戻れないことを理解した。

ゆっくり更新失礼します。ちょっとづつでも進められたら良いと思います。はい。次はファンタジー突入イエイ!ってなったらいいなぁ。ここまで閲覧ありがとうございます!

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