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お前は神を信じるか  作者: 美里亜
田口 誠 1
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1・いつも通り

朝目覚めるとき小説だとか漫画の中でパチッとかいう効果音で起きるあれは嘘だと思う。


今日も今日とて目覚ましの不快な音にうーんと唸りながら開かない目を必死こいて片目だけでも機能させながら手探りで時計を掴む。ただ止めるとまた五分後に同じように鳴り出すというお節介な機能ごと止めるためにアラームのスイッチをオフにする。気を抜くとこのまま二度寝をしてしまうからぼーっとしつつもベッドから抜け出す。まぁ、毎朝のことだ。………冬場はよく二度寝をしてしまうのだけれど。


ぼーっと目が覚めるのを待つ。気がつくと10分とか普通に経っていてビビる。あぁ、朝だと思うと同時に活動を開始する。

ほんとは真っ先にパジャマ代わりのシャツのまま洗面台に言って顔を洗うべきなんだろうがめんどくさい。さっさと制服に着替える。さすがにネクタイを今締めると大惨事になるのでもうやらない。あれはさすがに反省した。

ネクタイと鞄を手にブレザーを適当に羽織ってリビングへ向かう。あれそういや教科書ちゃんと入れたっけか。多分大丈夫だろうとそのまま向かう。



リビングに行くといつも通り父さんが新聞を読んでいて母さんが台所にいる。そんでいつものように顔を洗ってこいとかおはようだとかをいってくるんだ。いつも通り適当に返事をしたら洗面所に向かう。そう。いつも通りだ。


リビングの扉を開けて自分の指定席になっている場所に荷物を降ろす。


「おはよう誠。顔洗ってらっしゃい?すぐにご飯できるから。」


すると俺に気がついた母さんがやはり声をかけてきた。


「ん。おはよう。顔洗ってくる。」


返事をして洗面所に向かう。そういや最後に父さんと会話したのはいつだったか。最近は朝も早くから会議だとかでいなかったし。夜も遅かった気がする。うん。


「父さんもおはよう。」


部屋を出る直前何の気なしに言ってみた。父さんはああだかおうだか言ったけどよく聞き取れなかった。でも挨拶してよかった気がする。なんでだろうか。首をひねりながらも顔を洗って食卓に着く。

ご飯をたべて歯を磨いて。そんなことしてるうちにそろそろでないといけない時間になって。あれ?こんなもんだっけ?とよくわからない疑問がわき上がる。でも気にしてたら遅刻するなと思いネクタイを適当に締めて鞄を持って、玄関へと向かう。

靴を履きながら後ろ髪を引かれるようなそんな気がした。あれ?もしかして俺忘れ物してる?いやそんなはずはない。朝飯の後、一応確認した訳だし。大丈夫なはず。よくわからない感情のまま扉に手をかける。


「いってきます!」


いつもより大きな声で言ってみた。よくわからない感情が強くなるだけだった。




扉を開けると、いつも通り向かいの家から幼なじみのちい——戸部 智加がちょうど同じタイミングで出てきて挨拶をする。そしていつものように途中まで一緒に登校するのだ。


「はよっす!」

「おお!なんだ、今日は二度寝しなかったのか?珍しく時間通りじゃねぇか。」


智加は朝早いことを感じさせない様子で、にかっと男らしく笑う。嫌みも一緒なのがよけいだ。


「うっせぇ。やればできるやつなんですぅ。」

「……そうだな。」


ムカッとして思わず言い返したらなんか予想に反してからかいの言葉はなかった。が!どう考えてもかわいそうなやつ的な目をしてる気がする。なんだよ。べつにこんくらいの見栄はいいじゃねぇか。


「そっちの学校、テストいつから?」


何気ない会話をしながら歩き出す。


「ん?あーと確か来週……だったはず。」

「かー!頭のいいやつは余裕ですねぇ!」

「僻むな僻むな。で?そっちは?」

「こっちは二週間後。数学の課題が終わる気がしない。」

「よし!怒られろ!」

「今から決めつけんなよ!」


ちいは幼なじみで中学までは同じ学校だったけれど、高校からはこいつは商業、俺は進学校と違うところに通っている。でも家は向かいだし、途中までの通学路は同じだし、なにより普通に腐れ縁かもしれないレベルで友達なのだ。いまさら距離を置くとかあまり考えられない。

家から25分ほどだろうか聖堂と思われる半廃墟を通り過ぎて二つ目の交差点。ここでいつも分かれる。


「じゃ、後でメールするわ。いってら!」

「おー。いってら。」


あいつは駅の方、俺は商店街の方へ。たぶん、いつも通り休み時間にメールして、なんだかんだと放課後に遊ぶ約束をするのだろう。………テスト?まぁうん。何とかなると信じている。

この交差点はいろんな人が行き交う。駅へ向かう学生やサラリーマン。学生に限って言えば、多種多様な制服姿が見える。ほら、今すれ違った子なんて有名私立女子校の制服だった。サラリーマンもいろいろな会社へ向かう人がいるのだと思うが、いかんせん同じようなスーツだ。高校生に見分けなんてつかん。あぁでもあの今時珍しい感じで七三に分けた20代と思われる人はいいスーツな気もする。わからんけど。

ほかにもこの辺の地区には外国人も多く住んでいるらしく、ちらほらと日本人的じゃない髪や顔立ち、身長の人ともすれ違う。そういえば同じ学校にイギリスとのハーフがいたような気もする。そう考えると結構多いのかもしれない。

そんなことをぼんやりと考えて商店街を抜けると俺の通う学校が見えてくる。高台に位置していてたどり着くにはこの長い坂を上る必要がある。通学にゆっくり行って40分かかるのに自転車を使わない理由はこの坂にある。朝からそんな体力は使いたくない。それなら早めに起きて歩いていきたいと思うのだ。まぁ、寝坊したときなんかは自転車をかっ飛ばすのだが。

ゆっくりと坂を上り校門の前に着く。

さて、今日もがんばりますか。




伏線ってどう張るの………誤字脱字報告は大歓迎です。不定期でちょぼちょぼ書いていきます。

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