第一章・第五話
東京国会議事堂待合室―
「なぁ、福山。俺らって明らかに場違いだよな?」
隣に座っている藤田が話しかけてくる。
「仕方ないだろ。高校の卒業グループレポートで日本の政治・国会の問題点なんて糞みたいなテーマになってしまったんだから。」
「でもよー福山よ、このメンバーだぜ?
そりゃあまともなものはできるかもしれないよ?でも楽しみが無いって。」言われてみればそれは確かにそうだ。
五人のグループなのだが、そのメンバーと言うのが・・・
「福山だろ、それから俺だろ、生徒会の秋葉に、無口な岩代、熱血野球野郎の高波だろー・・・
しかも泊まりだぜ?二泊三日。」
「それは知ってるよ。まぁでも俺ら二人が一緒のグループに入れただけでもいいじゃねーか
それに泊まりも国会の係員の人が用意してくれるんだろ。」
「そうだけどよ・・・まぁしかし北海道からわざわざ来るとはな・・・」
「ああ・・・」
言いながら周りを見る。
スーツに身を包んだ議員らしき男、外国人らしき者など、
確かに学校の制服を着ている俺たちは場違いといった感じがした。
「みなさん、遅くなりました。係の赤坂です。」
「三日間、どうぞよろしくお願いいたします。代表者の秋葉です。」
秋葉が名詞を交換する。
「しかし・・・なんであいつがリーダーなんだ?」
「しかたないだろ、ほら、静かにして黙ってろって。」
「・・・あいよ。」
「それではご案内します。」
「はい。」
そして俺たち五人はその職員についていった。
それが、悪夢の始まりになろうとは、夢にも思わずに・・・