第一章・第三話
六本木防衛庁情報部―
「大変です!赤山さん、これ見てください!」
大川が司令室に駆け込んでくる。
「どうした、大川?」
「十分前、核爆発と思われる爆発によりしおかぜ、きりやまが爆沈、
P−3も原因不明の爆発により墜落しました!
その他哨戒ヘリコプター数機がミサイルにより撃墜された模様ですっ!」
「何・・・全て不審船の攻撃か?」
「いえ、しおかぜ、きりやま、P−3は内部からの爆発です。」
「となると・・・自爆工作員か?」
「かもしれません。」
「他の情報は?」
「東北地方の基地において謎の爆発が多発しています。」
「・・・自衛隊に工作員を埋め込まれたか・・・」
これはテロどころのレベルではない。
既に少しの情報は得ていたが完全ではなかった。
「それで、不審船についての情報などは?」
「は。偵察衛星によると中型の偽装漁船です。
ロケット弾などの装備が確認できました。」
「なるほど・・・それでは沿岸周辺の陸自部隊で迎撃を。」
「いえ、爆発により東北地方の自衛隊は完全に麻痺していますから・・・」
「そうか・・・」
「最早、情報部で何とかできる状態ではなくなりました。」
「確かにそうだ。幕僚本部へ連絡を入れてくれ。情報部ではもう無理だと。」
「了解しました。それでは・・・」
大川が腰から小型のサイレンサー付の拳銃を取り出す。
「な、何のつもりだ?!」
「存在意義の無くなった情報部はいらないだろう?
それに我ら"世界統一機構\"の邪魔になるものは全て排除するように言われている。
いつ情報部が息を吹き返すか分からないしな。」
「ま、待てっ!」
「まだ、何か?」
「いつから、いつから私を裏切っていた!」
「裏切る?裏切ってなんかいませんよ。貴方が、そう思い込んでいるだけでね。」
押し殺された発砲音が響き、ドアを閉め大川は幕僚本部に向かって歩いていった―