第一話 ~ユメノヨウナデアイ~
――目の前に誰かが、いる。
……だれ?
視界はかすんでいて、よく見えない。髪の長さと体格からして、男の人だろうと、かろうじてわかるくらいだ。
男の人が、こちらに向かって手を差しのべる――
なにかを感じた。
もしかして、この人は――
気が付くと私は、彼に向かって歩き始めていた。良く見ると、視界がはれてきている。
黒くて短いさわやかな髪。キリッとしていて、整った眉。シュッとした鼻筋、シャープな輪郭。そして――
彼が背を向け、私とは逆の方向へ歩き始めた。
「まって」
私は彼のあとを追いかけたいのだが、からだが重くて動かない。紐で縛られているかのようだ。
あの瞳――間違いない。やっと会えたんだ。
あの人に――
喜びに浸っているのも束の間。
彼の背中はどんどん遠ざかって行く。ここで別れたら、次はいつ会えるかわからない。でも、追いかけたい気持ちとは裏腹に、私の体はどんなに動こうとしてもびくともしない。
お願いだから行かないで。私を置いていかないで。
彼の背中に向かって願う。
『待ってぇ!!』
……。
…………。
プロローグ、一話目と、見てくださってありがとうございます♪
よりよい作品にしていけるよう頑張りますので、コメントや評価よろしくお願いします(>ω<)